ピレリ、F1トルコGPのタイヤ選択は”アグレッシブすぎた”?「タイヤライフの把握が、非常に重要」
ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは、F1トルコGPに持ち込んだタイヤのコンパウンド選択が、結果的に「アグレッシブ過ぎた」と認めた。
Valtteri Bottas, Mercedes W12
Steve Etherington / Motorsport Images
F1にタイヤを供給するピレリは、F1第16戦トルコGPに持ち込んだタイヤのコンパウンド選択が、結果的に「アグレッシブ過ぎた」のではないかと懸念しているようだ。
昨年、パンデミックに対応するカレンダー変更で、9年ぶりにトルコGPを開催したイスタンブール・パーク・サーキット。しかし路面の再舗装が遅れ、レース週末になってもアスファルトから油分がしみ出してしまうようなコンディションだった。
ピレリは有名なターン8を含め、タイヤへの負荷が大きいサーキットであることから、トルコGPに最も硬い組み合わせであるC1~C3コンパウンドのタイヤを持ち込んでいた。その選択と路面コンディションにより、ドライバーたちが苦労するほどグリップが低い状況が生まれてしまった。
そのため、ピレリは今季のトルコGPに向けて、持ち込むタイヤを1段階やわらかいC2~C4コンパウンドに変更したのだ。だがトルコGPの主催者も路面にウォーターブラスト作業を行なうなど改善を進め、グリップレベルが大幅に向上する結果となった。
その影響か、金曜日のフリー走行ではソフトタイヤを使ったドライバーたちにグレイニング(ささくれ摩耗)の症状も見られた。
土曜日のFP3はウエットコンディションになる可能性が高いため、各チームは金曜日のデータを元に予選の戦略を立てることになるだろうが、金曜日の走行中に風向きが変わったことで、データ収集はさらに複雑な作業となった。
また予選自体がウエットコンディションになる可能性も残っているが、予選Q2がスリックタイヤを使用するようなコンディションとなった場合は、ミディアムタイヤとソフトタイヤ、どちらを決勝レースのスタートタイヤに使うかを考慮して予選を戦わなければならない。
ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは、各チームができるだけレースではソフトタイヤを使わないようにするだろうと考えている。
「ソフトタイヤはかなりアグレッシブな選択だと思う」と、イゾラは語った。
「今回のレースのために、我々が3つのコンパウンドを選んだとき、路面の処理についての計画は知らなかったのだ。そこで昨年のデータを参考にして、1段階ソフトなコンパウンドにすることにした」
「1ストップ戦略を想定しているチームは、金曜日にソフトタイヤを多めに使い、レースではミディアムとハードに集中することにしたのだろう」
イゾラは、タイヤの選択を変更するには、路面の改善作業計画を知るのが遅すぎたと認めた。
「通常、路面に変更があったり、サーキットが再舗装や特別な処理を決定したりすると、FIAから連絡がある。今回の場合は、おそらくプロモーターの判断が遅かったのではないかと思う」
「彼らがこの処理を決定したとき、我々に知らされた。だから、その情報は知っていた。しかし、レースに間に合うようにすでにタイヤを生産していた。遅すぎたのだ」
「生産や物流の面でも簡単な状況ではない。我々はタイヤを作ってから、この変更について知らされたのだ」
速いチームやドライバーが、ミディアムタイヤを使って予選Q2を突破し、よりタイヤ選択の自由度が高いミディアムタイヤで決勝レースをスタートしようとすることはよくあることだ。
だがイゾラは、今回はソフトとミディアムの性能差が1周0.3~0.4秒ほどと大きくないことから、より多くのドライバーがミディアムタイヤでQ3進出を目指すだろうと語った。
「ソフトとミディアムのラップタイムの差は非常に小さいので、ソフトで予選を通過しようとするクルマは、2~3台より多いくらいになると思う」
またイゾラは、ドライバーたちがチームに報告していたように、トルコGPのプロモーターが行なった処理によってグリップレベルが大きく上がっていることを認めた。
「グリップレベルはかなり上がった。これはおそらく、表面のアスファルトが削られ、石が見えるようになったことで、昨年と比べてより多くのグリップを生んでいるのだと思う」
「グリップの増加は、ラップタイムが昨年よりも4〜5秒速くなっていることからも明らかだ。疑いようがない」
「我々はグレイニングが発生することは予想していたが、3つのコンパウンド全てにグレイニングが見られた。特にソフトタイヤの、右フロントに顕著だ。タイヤのイン側ショルダーのグレイニングは、摩耗を促進している」
「だからチームにとっては、FP2のデータを分析して、タイヤの寿命を把握することが非常に重要になる。これは、予選も決勝もウェットだった昨年からは得られない情報だからね」
「先程言ったように、路面は全く違っている。そして昨年はタイヤが1段階硬かった。だから昨年計測したデータは関係ない」
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