F1メカ解説|2200mの全開区間に対応すべく、各チームが持ち込んだアップデート
低速区間もありながら、2.2kmにも及ぶ全開区間も存在するバクー市街地サーキット。このコースで行なわれるアゼルバイジャンGPに向け、多くのチームがアップデートパーツを持ち込んできたが、その一部が明らかになってきた。
写真:: Giorgio Piola
F1アゼルバイジャンGPには、各チーム様々なソリューションを持ち込んでいる。ただ、メインストレートを含む2.2kmにも及ぶ全開区間がバクー市街地コースにはあるため、ここで後れを取らないためにも、もっとも低いダウンフォース仕様のパッケージに落ち着く可能性がある。
これに対処すべく、各チームが持ち込んだアップデートは、新しい仕様の低ダウンフォース仕様のフロントウイングとリヤウイングが中心だ。しかしそれだけではなく、一般的な開発競争も激しさを増している。
■メルセデス
Mercedes W13 rear wing
Photo by: Giorgio Piola
Mercedes W13 front wing detail
メルセデスは、低ダウンフォース仕様のフロントウイングとリヤウイングを持ち込んだ。フロントウイングは全体的に薄くなり、特に最も上方のフラップは後端部が切り取られ、面積が小さくなっている。またリヤウイングのフラップについても、レギュレーションでパーツの存在が許されている領域に占める範囲が小さくなっている。
Mercedes W13 mirror detail
メルセデスはまた、側面衝撃構造を覆うように形成されているフェアリングの下に、小さなディフレクターを追加してきた。チームによれば、これはミラーステーの一部だという。ただこれにより、サイドポンツーンに向かう気流を制御することを狙っているのは間違いないだろう。
■レッドブル
Red Bull Racing RB18 floor
Red Bull Racing RB18 diffuser
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルは、モナコの時点でフロントのブレーキとキャリパーのレイアウトを変更している。そして今回、冷却を改善するために更なる変更を加えた。一方、車体下に負圧が生まれることでフロアがたわむのを避けるため、リヤタイヤの前方にはフロアを吊り下げる金属製のステーが追加された。
またフロアの切り欠きの形状も変更。各所にかかる負荷をコントロールしているようだ。これによりフロア端の形状が全体的に変わり、パフォーマンスがさらに最適化されたようだ。
またディフューザーの上にあるビームウイングも、レッドブルは今回1枚に変更してきた。これにより、ダウンフォースを劇的に損なうことなく、空気抵抗を減らす方法を探っているようだ。
■フェラーリ
Ferrari F1-75 rear wing detail
Ferrari F1-75 mirror
Photo by: Giorgio Piola
フェラーリは当初マイアミで初めて使う予定だったリヤウイングを、今回のバクーに持ち込んで使っている。バクー市街地コースのレイアウト特性により合っていると考えたのだろう。
またリヤビューミラーのステーも新しくなった。ステーの上方、普通ならL字に曲がる部分の上方が少し延長され、ウォールを形成している。これにより、後方に向かう気流を制御している。これはバクーでの最適化を目指したものではなく、基本的なパフォーマンス向上のためのものである。
■マクラーレン
McLaren MCL36 rear wing
Photo by: Giorgio Piola
McLaren MCL36 front wing detail
マクラーレンは、バクー市街地サーキットが求める要求に応えるために、新しいデザインのリヤウイングを持ち込んだ。この低ダウンフォース仕様のリヤウイングとのバランスを取るために、フロントウイングにも変更が加えられている。
McLaren MCL36 rear end detail
サイドポンツーンとエンジンカウルのボディワークにも、冷却の面で変更が加えられた。冷却用の開口部のサイズが小さくなり、空気抵抗が減少している。
■アルピーヌ
Alpine A522 rear wing
Photo by: Giorgio Piola
Alpine A522 side detail
Photo by: Giorgio Piola
アルピーヌA522には、バクー仕様とも言える空気抵抗削減を目的としたアイテムが多数搭載された。フロントウイングや極端に薄いリヤウイングはもちろん、ビームウイングも空気抵抗を減らした仕様になっている。
なおアルピーヌは、バクー用ではないアップデートも持ち込んでいる。その代表的なモノはサイドポンツーンだろう。
アルピーヌはサイドポンツーンの前端を前方に伸ばし、さらにその開口部も四角いデザインに変更した。これはアストンマーチンやアルファタウリが既に使っているデザインによく似ている。これによって気流を以前よりも早く取り込むことができるだけでなく、フロントタイヤで生み出される乱流の影響も避けることができるはずだ。
■アルファタウリ
AlphaTauri AT03 rear end detail
アルファタウリはAT03に、バクー用の新しいリヤウイングを搭載した。これには、空気抵抗を減らしながらもダウンフォースを増やすことを目指した、新しいビームウインングも備わっている。
このバランスを取るために、フロントウイングも一部を変更。さらにアーチ状になっているエンジンカバーの冷却用ルーバーパネルの使い方にも注目したい。
■アルファロメオ
Alfa Romeo C42 front wing
Alfa Romeo C42 rear wing
アルファロメオC42には、バクーのサーキット特性に応じて用意された、新しい配置の空気抵抗の低いリヤウイングが搭載されている。これと同時に、フロントウイングのフラップのうち上方2枚の形状が変更。これにより、マシンの前後のバランスを取っている。
■3チームは大幅アップデート投入せず。しかし……
アストンマーチンやウイリアムズ、そしてハースは、今回のグランプリに新しいコンポーネントを持ち込んでいないようだ。しかしその中でもハースは、空気抵抗を減らすために、リヤウイングのフラップの後端を大幅にカットしている。そのため、上端が逆台形状に低くなっているのが分かるはずだ。
Haas VF-22 garage
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