特集

F1

F1の奇妙なスポンサー1:アロウズに混乱をもたらした謎のブランド『t-minus』

F1マシンには、様々な企業による華やかなスポンサーロゴが欠かせない。しかしその中には全く実態が不明なものなど、奇妙なものも数多くあった。今回は1999年のアロウズをスポンサードした『t-minus』について振り返る。

Jake Boxall-Legge

Jake Boxall-Legge

公開日時: 2020/04/22 8:54

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Pedro de la Rosa, Arrows A20

 1978年からF1参戦をスタートさせたアロウズ。1991年からの3シーズンは日本企業のフットワークがチームを買収し、チーム名称も”フットワーク”としてF1に参戦した。しかし本業の業績悪化に伴い、同社が1993年限りで撤退。1994年以降も、実体はアロウズに戻っていながら『フットワーク』の名でエントリーしていた。そして1996年にトム・ウォーキンショーがチームの運営を引き継いだのを契機に、翌1997年からはチーム名・コンストラクター名共に『アロウズ』に戻った。

 そんな1997年にアロウズは、前年のワールドチャンピオンであるデイモン・ヒルを獲得し、天才デザイナーのジョン・バーナードを引き抜くなど、低迷していたチームの体制強化を図った。そしてヒルがハンガリーGPで2位に入るなど躍進を遂げたアロウズだったが、ヒルはその年限りでチームを離脱。バーナードが設計した1998年マシン『A19』は不発だったこともあり、ミカ・サロとペドロ・ディニスのコンビで挑んだ1998年シーズンも思うような成績を挙げることができなかった。

 タイトルスポンサーだった『DANKA』を失った1999年は、ペドロ・デ・ラ・ロサと高木虎之介を起用し、それぞれが持ち込んだスポンサーであるレプソルとPIAAのロゴをマシンに掲示した。ただそれらと同等に目立っていたのが、リヤウイングやサイドポッドに掲示されていた『t-minus』という謎の文字だった。

 『t-minus』はこの年チームに参画したナイジェリアのマリク・アド・イブラヒム王子が掲げたブランドだった。彼はこのブランドを通してチームに100億円規模の富をもたらすことを約束していた。彼はエナジードリンクや衣服など多くの製品のライセンスを購入し、t-minusブランドとして売り出すことを計画していたのだ。

 しかし最終的に、マリク王子は資金をもたらすことなくチームを去った。それを受けて契約の保証人となっていた投資銀行、モルガン・グレンフェルが出資金を取り戻すためにアロウズを訴えるなど、マリク王子とt-minusはチームにとんでもない災難をもたらすこととなった。

 なお、この年アロウズは大苦戦。特に信頼性に問題があり、リタイアはふたり合わせて22回を数えた。開幕戦でデ・ラ・ロサが6位に入ったのがチーム唯一の入賞となり、コンストラクターズランキングは9位だった。アロウズは2000年こそチーム成績を持ち直したが、2002年途中をもってF1から姿を消すこととなった。

 

Read Also:

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

コメントを読んで投稿する

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 アイルトン・セナ、初勝利から35年。運を味方に、大雨エストリルを駆け抜けた日

次の記事 美しきF1マシン:「メルセデス、F1への第一歩となる漆黒の”始祖機”」ザウバーC12

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

View More & Comment

More from

Jake Boxall-Legge



史上初の予選Q1敗退“100回”!! アストンマーティンのストロール、不名誉な記録を樹立

F1

F1

イタリアGP

3 日前

史上初の予選Q1敗退“100回”!! アストンマーティンのストロール、不名誉な記録を樹立



ペレス、“あと3年くらい”は現役を続けたい? キャデラックの存在がモチベーションに「このプロジェクトが前進していくところを見たい」

F1

F1

オランダGP

9 日前

ペレス、“あと3年くらい”は現役を続けたい? キャデラックの存在がモチベーションに「このプロジェクトが前進していくところを見たい」



アントネッリ、スプリント予選のコースオフでフロア損傷。大幅にダウンフォース失い「明日また挑戦するよ」

F1

F1

オランダGP

18 日前

アントネッリ、スプリント予選のコースオフでフロア損傷。大幅にダウンフォース失い「明日また挑戦するよ」

最新ニュース



代役出走3戦目の角田裕毅、未知のマドリンクでモンツァに続く2戦連続入賞目指す「この勢いを持続させたい」

F1

F1 F1 18 分前

代役出走3戦目の角田裕毅、未知のマドリンクでモンツァに続く2戦連続入賞目指す「この勢いを持続させたい」



これが“ヨーヨーレース”の功罪か。イタリアGPは各所で膠着状態が発生……その中で際立ったメルセデスとアントネッリの傑出度

F1

F1 F1

イタリアGP

11 時間前

これが“ヨーヨーレース”の功罪か。イタリアGPは各所で膠着状態が発生……その中で際立ったメルセデスとアントネッリの傑出度



キミ・ライコネンの息子ロビンがレッドブル育成入り! 11歳の”2代目アイスマン”に翼を授ける

F1

F1 F1

イタリアGP

12 時間前

キミ・ライコネンの息子ロビンがレッドブル育成入り! 11歳の”2代目アイスマン”に翼を授ける



VR46、モルビデリ後任にニッコロ・ブレガを2027年ライダーに起用。WSBKで2026年を支配する強者がMotoGPに転向

MotoGP

MGP MotoGP 12 時間前

VR46、モルビデリ後任にニッコロ・ブレガを2027年ライダーに起用。WSBKで2026年を支配する強者がMotoGPに転向

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録