分析
スーパーGT Nissan Z unveil
【スーパーGT】GT-Rからバトン受け継いだ”Z GT500”。空気抵抗減でストレートスピードが向上か?
日産は2022年シーズンから、スーパーGTの車両をGT-RからNissan Z GT500へと変更。首脳陣からの期待も大きい”Z ”だが、2021年がラストシーズンとなったR35 GT-Rの戦いぶりを踏まえて、Zに期待される進化について考えた。
原田 了
公開日時: 2021/12/10 3:54
Copy link
Viberでシェア
Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

日産の2022年シーズンのスーパーGT参戦マシンとなる”Nissan Z GT500”が、12月5日、富士スピードウェイでベールを脱いだ。残念ながら、ベースモデルの実物はまだ見ていないのだけれど、S30やZ33など、歴代の名車を彷彿とさせるシルエットがデザインされているように思う。もちろん、レーシングカーなので最も問われるのはそのパフォーマンス。
シェイクダウンからまだ間がない段階で結論付けるのは早計というものだが、ひとつだけ確実と思われるコトは、ストレートスピードが、R35 GT-Rに比べて引き上げられているであろうということだ。
Read Also:
富士を得意としていた第三世代のR35 GT-R
2017年にデビューした第三世代のGT-Rは、富士スピードウェイをむしろ得意としていた。そもそも、17年の規定変更は、コーナリングスピードが高くなりすぎたことに対応してレギュレーションを変更、ダウンフォースを約25%低減させることでコーナリングスピードを低下させる目的があった。想定した通りにコーナリングスピードをは下がったものの、ダウンフォースの低減はドラッグの低減にもつながることからストレートスピードはより速くなり、ラップタイムは前年までのマシンよりも速くなったほどだった。
2017年型の#23 MOTUL AUTECH GT-R
実際、第6戦の鈴鹿ではR35 GT-Rの24号車が、第8戦のもてぎでは同じくR35 GT-Rの23号車が、公式予選でコースレコードを更新してポールポジションを奪っている。そして富士で行われた第2戦では23号車が予選2位から決勝4位を奪い、開幕からライバルを一蹴する速さと強さを見せつけてきたレクサスLC500勢に食い込む活躍を見せ、第5戦でも23号車が予選2位から決勝でも2位につけていた。
R35 GT-Rは翌2018年も富士に強いところを見せ、第2戦は23号車が勝ち、第5戦では23号車と24号車がフロントロウを独占していた。さらに2019年シーズン、第2戦は23号車が予選でトップ3が従来のコースレコードを更新しているが、ポールが23号車で12号車も3番手につけている。そして第5戦では23号車と3号車が、予選でフロントロウを独占。コンディションやタイヤなど様々な理由はあるだろうけれど、この世代のR35 GT-Rが、決して富士を苦手とはしていなかったことは間違いないところだ。
新型コロナウィルスの感染拡大で作戦は裏目に
2020年には3年ぶりにレギュレーションが変更され、トヨタは新たにGRスープラを投入、ホンダもベースモデルはNSXで変わらないものの、実態はフロント・エンジンにコンバートするなど、こちらも車両を一新してきていた。
これに対して日産は、R35 GT-RをベースにしたNISSAN GT-R NISMO GT500は、第三世代のそれを一層発展させたモデルとして登場していた。そして高速サーキットの富士を得意としていた高速性能はそのままに、鈴鹿やSUGOなど高速テクニカルサーキットでのアドバンテージを追求していたようだ。言ってみれば得意科目はそのままに、苦手科目の対策を重視した格好だったが、しかしこの年のスーパーGTシリーズは、新型コロナウィルスの感染拡大により、開幕が大きく遅れてレースカレンダーも大幅に変更され、何と全8戦のうち半数となる4戦が富士スピードウェイでの開催となった。そしてこれがGT-Rを苦しめることとなった。
正確なところは分からないが、ダウンフォースを増したがためにドラッグが大きくなってストレートスピードでのアドバンテージを失うこととなったようで、結果的に富士を苦手とするようになったのだ。
さらにその“苦手な富士”が全8戦中半分の4戦もあることで、GT-Rの苦戦ぶりが一層クローズアップされることになった。その一方で鈴鹿やSUGOでは好調さをキープし、2020年シーズン第3戦の鈴鹿では23号車が予選2番手から優勝、第6戦は予選でクラッシュした23号車が決勝では最後尾から怒涛の追い上げを見せて大逆転で優勝。さらに今年の鈴鹿でも予選3番手から逆転優勝で鈴鹿3連勝。さらに2年ぶりに行われた第5戦のSUGOでは12号車が5年ぶりに優勝……こうなると富士での苦戦がウソのように思えるが、やはり超高速の富士から高速テクニカルの鈴鹿&SUGO重視への作戦が裏目に出たと見てよいだろう。
もうひとつ、2021年シーズンは、1基目のエンジンでもビハインドを背負っていた、とも聞こえてくる。それが証拠に、2基目のエンジンに換装したシーズン後半には、GT-R勢がスピードを取り戻していたのだ。もっともチームやドライバーサイドからは「もう少し馬(パワー)が足りない」との声も聴かれたが、ドライバーが「パワーはこれで十分」と言った例はないから、2基目のエンジンに進化してもなお、パワーでライバルに後れを取っているというのは不確かなところだが……。
エアロ・コンシャスなボディシルエット




4
このような条件下で誕生したZ GT500が、空力を徹底的に追求したのは明らかだろう。もっとも、あるチーム関係者によると「カウルを変えればGT-RがGRスープラにもNSXにもなる」と揶揄するようにモノコックを始めとするシャシーに関しては手を入れる部分は多くなくて、ライバルに差をつけるとしたらカウル(ボディワーク)、つまり空力が勝敗の分かれ目となる。
そして確かに、スポーツカー然としたGRスープラやNSXに対して、リア部分にノッチのついた2ドアクーペのようなシルエットを持ったGT-Rは開発を始めた段階から大きなビハインドを背負っていたと言えるだろう。
それが、こちらもスポーツカー然とした新型フェアレディZ(ちなみに、レーシングカーのネーミングはフェアレディが取れてZ GT500となる)をベースにしたことで、このビハインドはなくなったはずだ。
風洞実験のデータが開示されているわけではないから、あくまでも推論に過ぎないのだが、ノーズの先端が低くなり、同時に左右が絞り込まれた形状は、いかにもドラッグが低減されたような印象がある。シェイクダウンから間がない今の状況で、Z GT500のポテンシャルを判断するのは早計とは分かっている。ただ栴檀は双葉より芳しい、と感じたのが先見の明だったかどうか。2022年シーズンの開幕がますます楽しみになってきた。
Read Also:
- 【スーパーGT】日産/ニスモの車両は“野獣”から“美女”へバトンタッチ。首脳陣が語る『Z GT500』への期待
- 【特集】R35 GT-Rラストラン 第1回:本山哲「GT-Rは一番いい思いをさせてもらったクルマ」
- 【スーパーGT】GTA坂東会長がレース距離増加について改めて言及。来季は「花火が見られる」時間制レースに?
- GT500王者、関口雄飛がSARDに電撃移籍! アレジ、阪口がステップアップ|2022年TGRスーパーGT体制発表
あなたの意見が聞きたい!
Motorsport.comで何を見たいですか?
5分間のアンケートにご協力ください。
- Motorsport.comチーム
コメントを読んで投稿する
関連ニュース :
記事をシェアもしくは保存
Copy link
Viberでシェア
前の記事 スープラ祭りに始まり、スープラ祭りで終わった2021スーパーGT。トヨタは中盤戦を反省点に挙げるも「最終戦で結果を出せて良かった」
次の記事 【スーパーGT】“優勝請負人”関口雄飛のSARD移籍。狙いはスープラ陣営の底上げだけにあらず
Top Comments
コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?
View More & Comment
More from
原田 了

スーパーGT公式テスト岡山で改めて痛感した「速いクルマは美しい」。カーボンニュートラル燃料導入で排気管に着目
スーパーGT
スーパーGT
岡山公式テスト
2023/03/14
スーパーGT公式テスト岡山で改めて痛感した「速いクルマは美しい」。カーボンニュートラル燃料導入で排気管に着目

グループC時代を俯瞰できる6台の競演。エキゾースト・サウンドの魅力を再確認
スーパーGT
スーパーGT
2022/08/29
グループC時代を俯瞰できる6台の競演。エキゾースト・サウンドの魅力を再確認

ARTAに強力な“助っ人”。ベテラン伊与木仁エンジニアがチームに合流
スーパーGT
スーパーGT
第4戦:富士
2022/08/11
ARTAに強力な“助っ人”。ベテラン伊与木仁エンジニアがチームに合流
最新ニュース

F1分析|オランダでメルセデス勝利の可能性は皆無だった? 圧倒的ノリスのペース……そして”ベテラン”ハミルトンも忘れてはいけない!!
F1
F1 F1
オランダGP
10 時間前
F1分析|オランダでメルセデス勝利の可能性は皆無だった? 圧倒的ノリスのペース……そして”ベテラン”ハミルトンも忘れてはいけない!!

これは神回避! ヒュルケンベルグ、僚友ボルトレトとの衝突免れる「かなり運が良かった。まさに”紙一重”」
F1
F1 F1
オランダGP
10 時間前
これは神回避! ヒュルケンベルグ、僚友ボルトレトとの衝突免れる「かなり運が良かった。まさに”紙一重”」

フェラーリ、イタリアGPでミハエル・シューマッハーをオマージュした特別カラーリングを用意
F1
F1 F1
イタリアGP
11 時間前
フェラーリ、イタリアGPでミハエル・シューマッハーをオマージュした特別カラーリングを用意

WEC、ミシュラン&グッドイヤーとのタイヤ供給契約を延長。現体制を2032年までキープへ
WEC
WEC WEC
11 時間前
WEC、ミシュラン&グッドイヤーとのタイヤ供給契約を延長。現体制を2032年までキープへ
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします
広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード
お知らせの管理
登録