ストロール、ペナルティ免れポール確定。マクラーレンは2台ともにグリッド降格
F1トルコGPの予選に関する審議の結果、マクラーレンのカルロス・サインツJr.には3グリッド、ランド・ノリスには5グリッドの降格ペナルティが出された。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
ウエットコンディションで行なわれたF1第14戦トルコGPの予選。路面状況がトリッキーだったこともあって、複数のインシデントに関して審議が実施されていたが、マクラーレンの2台にペナルティが出された。
その結果、暫定のスターティンググリッドでは、3グリッド降格ペナルティを受けたカルロス・サインツJr.が13番手から16番手に降格、5グリッド降格ペナルティを受けたランド・ノリスが11番手から15番手に降格(サインツJr.の降格で1グリッド繰り上がり)となっている。
最も厳しいコンディションとなったQ1は、赤旗掲示と天候変化により、全車が最後のアタックでタイムを出さなければQ2進出を逃しかねない状況だった。そんな中、ダニール・クビアト(アルファタウリ)やニコラス・ラティフィ(ウイリアムズ)がスピン。コースの一部で黄旗が振られることになった。
通常、黄旗が振られた該当区間ではスローダウンする必要があるため、ラップタイムの更新はほぼ不可能となるが、今回はセッション前半と比べてコンディションが大きく改善したこともあり、黄旗を受けて十分にスローダウンしたとしても、タイムを更新できてしまう状況だった。そのため、スチュワードは黄旗中に出されたラップタイムは全てチェックすると通知を出した。
そして審議の結果、ノリスはラティフィのスピンによりターン8でダブルイエロー(黄旗2本の振動)が出されていたラップで十分な減速を怠ったとして、5グリッド降格ペナルティとペナルティポイント3点が科された。ノリスのペナルティポイントは現在合計5点だ。
スチュワードは「テレメトリのデータによると、ノリスは該当セクター内で減速し、インシデント後にスピードを回復した」と報告した。
「ノリスはその後、チームにラップを中止するかどうか尋ねたが、コースコンディションが急激に変化しているため、ステイアウトするように言われた。ノリスはラップを完走し、それがQ1のベストラップとなった」
「スチュワードはカーナンバー4が速いラップタイムを出そうとしていなかったことを認めているが、コースコンディションが変化していたため、タイムを更新してしまいレギュレーションに違反した」
なおQ1の黄旗に関しては、ターン3で振られていた黄旗を尊重しなかったとして、ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)もスチュワードに召喚されているが、彼はパワーユニット(PU)交換によって最後尾グリッドに降格することがすでに決まっている。
マクラーレンにとっては、さらに痛いことにサインツJr.にもペナルティが出されている。彼はQ2でセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のアタックを妨害したとして、3グリッド降格ペナルティを受けたのだ。
サインツJr.はインターミディエイトタイヤを履いてQ2に臨んだが、路面の水量は多く、セッション途中でタイヤを交換。しかしピットを出たばかりのタイヤが暖まっていない状態で、後ろから来たペレスの進路を塞いでしまったのだ。
ペナルティの詳細についてスチュワードは次のように述べている。
「11号車(ペレス)がターン1を通過している際、55号車(サインツJr.)はピットロードを出るところだった(ピットロード出口はターン1の先にある)」
「11号車はターン2~3で55号車に追いつき、その時点で不必要に55号車に妨げられた。異常な路面状況が明らかに影響を与えていたが、チームからの無線通信では55号車に対し、11号車が後ろにいることが明確に警告されていた」
一方、波乱の予選を制しポールポジションを獲得したランス・ストロール(レーシングポイント)は、ペナルティを免れた。
ストロールがQ3でのベストラップを記録した際、ペレスがターン7でスピンしていたため、シングルイエロー(黄旗1本の振動)が出されていたのだ。しかし審議の結果、ストロールにペナルティは出されなかった。
「ストロールがターン7にアプローチした際、11号車(ペレス)がコーナーのアウトサイドへコースオフしたため、ターン7ではシングルイエローが振られていた」
「テレメトリーでは、ストロールがスロットルをオフしてコーナーに入り、インシデントをクリアしてから加速していることが明白だった」
「コースは急速に乾燥しており、1周ごとに前の周よりも速くなっていた。そのためセクターのタイムは、減速を十分に反映していない」
ストロールはチーム無線で黄旗について知らされていたが、ダブルイエローではなかったためプッシュし続けるように言われたという。ノリスがペナルティを受け、ストロールがペナルティを免れた大きな違いは、黄旗の状態にある。
FIAの国際競技規則の付則H項によると、シングルイエローは『速度を落とし、追い越しをしないこと。進路変更する準備をせよ。トラック脇、あるいはトラック上の一部に危険箇所がある。ドライバーがスピードを落としたことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが、手前で制動したこと、および/またはそのセクターで速度を著しく落としたことを意味する』とされている。
一方で、ダブルイエローは『速度を大幅に落とし、追い越しをしないこと。進路変更する、あるいは停止する準備をせよ。トラックが全面的または部分的に塞がれているような危険箇所がある、および/あるいはマーシャルがトラック上あるいは脇で作業中である。フリー走行および予選中は、ドライバーが有意義なラップタイムを達成しようとしていないことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが当該ラップを放棄するべきであることを意味する』と記されているのだ(JAF発行の日本語訳から引用)。
コンストラクターズランキング3位を争うマクラーレンとレーシングポイント。難しい路面とコンディションの予選で、明暗がはっきり分かれた形となった。
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