【F1メカ解説】レッドブルの”細やかな”空力仕様……ブレーキダクトを毎戦のように変更
レッドブル・ホンダは、2021年シーズン前半戦のほぼ全てのグランプリでアップグレードを投入。パフォーマンス向上に余念がなかった……。
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
今シーズン、メルセデスと熾烈なタイトル争いを繰り広げているレッドブル・ホンダ。彼らはシーズン前半戦のほぼ全てのグランプリで、マシンをアップデート。パフォーマンスの向上を目指し、タイトル争いを優位に進めようとしてきた。
彼らが投入したアップグレードパーツは、かなり規模が大きく、外見でも目立つ場合もあった。しかし、ごく小さなモノに見える場合もあった。
しかしF1チームは、パフォーマンスを向上させるものでなければ、実戦投入することはない。そのため、絶えずその効果を調べることが重要だ。
Red Bull RB16B front brake duct comparison
Photo by: Uncredited
レッドブルは、レースごとにブレーキダクト内部の分割パターンを変更し、ブレーキの冷却と空力効果のバランスを調整してきた。しかしハンガリーGPでは、ブレーキダクト自体が拡大。形状も大きく変更された。
レッドブルは、上半分が車体内側に向かって張り出すような形状のブレーキダクトを使っているが、その内部には様々な分割パターンが存在している。
その最新のデザインは、スペインGPで投入されたものだった。以後バクー、フランス、レッドブルリンク、シルバーストンでもこのスペックが使われた。またポルティマオで登場した分割パターンは、モナコでも使われている。
Red Bull RB16B front brake detail
Photo by: Giorgio Piola
ただシーズン前半戦最後のレースとなったハンガリーGPでは、形状が大きく異なる最新のブレーキダクトが使われた。この新しいブレーキダクトは、下半分が薄く絞り込まれる形ではなく、ほぼ四角形のもの。つまりダクト下半分からも、多くの空気を取り入れることができる。
ブレーキダクトが大きくなれば、当然その分空力効果は失われる。しかし冷却の需要が高く、そして空力への依存度が低いコースでは、このスペックのブレーキダクトを用いる……ことになるだろう。
Red Bull RB16B rear wing comparison
Photo by: Uncredited
なおレッドブルは、ハンガリーGPではリヤウイングを週末の途中の段階で切り替えるという選択も行なった。
ハンガロリンクは、”壁のないモナコ”とも言われるように、現在のF1開催サーキットの中では低速の部類に位置する。そのため各チームは、マシンに最大限のダウンフォースを発生するパッケージを装着し、グランプリに挑む。今年のハンガリーGPも、その前例通り多くのチームが大きなリヤウイングやTウイングを装着したマシンで挑んだ。
しかしレッドブルは、金曜日のフリー走行こそ、メインプレーンの外側の翼端板と接する部分が下に落ち込むアーチ状になったリヤウイングを使ったものの、予選と決勝ではメインプレーン外側が逆に上方に持ち上げられた仕様を使った。
フリー走行でのリヤウイングの構成は、比較的ダウンフォースを得るためのモノに見える。しかし一方で、予選・決勝の仕様は、ダウンフォースを比較的削る際に用いられるモノだった。
またフラップ中央上部の切り込みも、上記の変更に応じて変更されていた(フリー走行で使用していたフラップの方が、この切り込みが深い)。
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