F1メカ解説|マクラーレン、ベスト・オブ・ザ・レストを確保するための積極開発
昨シーズン、コンストラクターズランキング4位となったマクラーレン。同チームはここ数年不振に喘いできたが、それを挽回する1年となった。ただ今季、ランク4位を維持するのは簡単ではないとチームも覚悟しており、さらなる開発をしてきた。
McLaren MCL35 front wing detail
Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
2019年シーズンのF1で、マクラーレンはコンストラクターズランキング4位となった。それまでの数シーズン、マクラーレンはフェルナンド・アロンソやジェンソン・バトンといったチャンピオン経験者を擁しながらも大苦戦していた。そこからの脱却の兆しを見せた、そんな2019年シーズンだったと言えるだろう。
ただ2019年がうまくいったからと言って、胡座をかいているわけにはいかない。それはチームも十分に理解しており、昨年以上の成果を挙げるための努力が、ニューマシンMCL35の随所に見て取れる。
マクラーレンは、昨シーズン使用したフロントウイングのコンセプトを引き継ぎ、プレシーズンテストを走った。しかしながら、いくつかの違いもある。
最も重要な変更は、フットプレートのデザインである。青い矢印で示されたメインのプレートは平坦な形状となり、その外側にリップ(赤い矢印)が取り付けられている。昨年のデザインは、メイン写真の円の中のモノ。その違いがお分かりいただけるだろう。
フットプレートが変更されたということは、この部分で生じる空気の渦が”滑らか”になる。一方、フットプレートの縁に取り付けられたリップによってより強い圧力差が生み出される。結果として、その内側の気流を引き抜くことで、フロントタイヤ周辺の気流を制御しようとしている。
この効果を最大限活用するため、ウイング本体にも変更が加えられた。メインプレーンの一番下(黒い矢印)はその湾曲率が浅くなり、さらにフラップの外側(緑の矢印)も、昨年は別パーツ化され大きく段差が付けられていたが、今年は連続した曲線を描く1枚のフラップとなった。つまりフラップの角度を変更した時には、フラップの内側部分だけでなく全体の角度が変わるということになる。
McLaren MCL35 diffuser detail
Photo by: Giorgio Piola
MCL35は、テスト後半に新しいフロアとディフューザーを取り付けるなど、マシンのリヤエンドにも変更を施してきた。
ディフューザーの後部での最も明らかな変化は、そのアッセンブリーの外縁部分にある。チームはその上面を急勾配に設計し、複雑な形状のガーニー状のパーツを取り付けている。
マクラーレンMCL35のブレーキダクト
フロントブレーキのドラムは、2020年シーズンに向けて最適化されている。メインのブレーキダクトから取り入れた気流は、ブレーキドラムの表面を通り、ホイールリムのスポーク部からマシンの外側に排出される。ドラムの表面には、空気を流すチャンネルがふたつ設けられ、より細かい気流コントロールがなされている。
フロービズを塗りテストを行なうMCL35
マクラーレンは、プレシーズンテストで、フロントブレーキダクトにフロービス塗料を塗り、空力性能の確認を行なった。これはチームが、風洞実験と実車の相関関係をチェックしていたのだろう。
マクラーレンMCL35のフロントバルクヘッド
マクラーレンは、シャシーに細かいデザインを施している。特にモノコックの下部は3つのキールが存在するような形となり、その両側にはノーズから続くターニングベインが設けられていて、フロア下に向けて効果的に空気を送っている。
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