F1メカ解説|フェラーリの新リヤウイングは効果大? 惜敗サインツJr.は使えず
フェラーリはカナダGPに新仕様のリヤウイングを持ち込み、空気抵抗を減らしてトップスピードを上げることを目指した。
写真:: Giorgio Piola
フェラーリは、ストレートスピードが重要となるカナダGPに、新しい仕様のリヤウイングを持ち込んだ。しかし、ひとり分しかパーツの用意がなかったため、新しいウイングはシャルル・ルクレールに割り当てられた。
予選がウエットコンディションで行なわれクラッシュのリスクが高かったため、ペナルティにより後方からのスタートが決まっていたルクレールにスペアを持たせるのが賢明だと、チームは判断したのだ。
もし予選でコースオフしてクラッシュし、ウイングの仕様変更せざるを得なくなり、ピットレーンスタートとなったとしても、ルクレールならダメージは少なく済むからだ。カルロス・サインツJr.はグリッド上位を狙える速さがあったため、2台が後方スタートになるリスクは避けたかったのだ。
新しい低ダウンフォース/低ドラッグ仕様のリヤウイングは、アッパーエレメントとビームウィングを改良し、全体的な効率を高めているのが特徴だ。サインツJr.が使用した旧仕様と比べ、中央部分で生むダウンフォースが減っている代わりに、直線スピードの向上に寄与している。
スピードトラップでは、ルクレールが342.7km/hでトップ、サインツJr.は331.3km/hに留まった。フィニッシュラインでも、ルクレールが300.6km/hでトップ、サインツJr.は294km/hだった。
新ウイングによるトップスピード向上は大きく、サインツJr.がこのウイングを使っていた場合、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)との優勝争いの後押しになっただろう。ただ、レース結果を変えるほどの効果があったかどうかは神のみぞ知る、だ。
ドライバーごとに空力セッティングを変えてカナダGPに臨んだのは、フェラーリだけではない。メルセデスも、ルイス・ハミルトンのマシンに低ダウンフォース仕様のウイングを搭載していたのだ。ただこのウイングは、マイアミGPやアゼルバイジャンGPで使われたモノに見える。
ハミルトンはスピードトラップで331.1km/h、フィニッシュラインで293.0km/hを記録したのに対し、よりハイダウンフォース仕様だったジョージ・ラッセルは307.6km/h(これはDRSなしでの結果だと思われる)、283.8km/hと最下位に沈んだ。
メルセデスは金曜日にもW13のセッティングをテストし、今シーズン苦しんでいるポーパシングの影響を軽減しようとしている。
FIAはポーパシング抑制を目指して技術指令を出し、これにより2本目のステーをフロアに取り付けることが出来るとした。メルセデスはこの指令に従い、ステーを追加した唯一のチームだった。
このステーは通常、ギヤボックスキャリア(下図右下、黄色の部分)に取り付けられていたモノだ。
しかしチームは土曜日以降、この追加ステーを取り外すことを選択した。
チームとしては、このステーによってパフォーマンスが向上したわけではないと主張したものの、他のチームは技術指令が通常のガイダンスとしてではなく、レギュレーション変更に使われることに不満を抱いていた。そのため、このステーが原因で抗議を受ける可能性があったのだ。
Mercedes W13 extra floor stay - Canada
Photo by: Giorgio Piola
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