F1

F1メカ解説|メルセデスとレッドブル、激戦のタイトル争い……ライバルに打ち勝つための”空力”セッティング

今シーズン、激しいタイトル争いを繰り広げるレッドブルとメルセデス。争いが激化していくにつれ、両チームのセッティングを細かく変更し、ライバルに対する優位性を生み出そうとしている。

Matthew Somerfield Giorgio Piola

編集: 2021/10/12 13:55

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Lewis Hamilton, Mercedes W12, Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 メルセデスのルイス・ハミルトンと、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが熾烈なタイトル争いを繰り広げている2021年シーズン。第15戦ロシアGPが終わった段階でふたりのポイント差はわずか2点差と、近年稀に見る激戦になっていると言えるだろう。

 そんな中ロシアGPでは、フェルスタッペンがパワーユニット(PU)交換を決断。このPUは年間の使用制限数を超えたモノであったため、フェルスタッペンはペナルティを受け、グリッド最後尾から追い上げることになった。

 このためフェルスタッペンのマシンは、チームメイトのセルジオ・ペレスのモノと比較して、フロントとリヤのウイングがローダウンフォース仕様となっていた。これは後方からの追い上げを実現するためには、レース中にオーバーテイクがしやすい=最高速が伸びるマシンになっていなければならないからだ。

Sergio Perez, Red Bull Racing RB16B rear wing detail

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B rear wing detail

 2台のレッドブルRB16Bの違いは外見でも明らかで、フェルスタッペン車のメインプレーンは翼端部分がより薄なった激しいスプーン形状となり、さらにリヤウイング翼端板もペレス車と比較して大幅にシンプルなモノになった。ただバランスを改善するために、フラップの後端にはガーニーフラップが取り付けられている。これは、レッドブルがアゼルバイジャンGPの時に使ったセットアップと非常に良く似ている。

Red Bull RB16B front wing comparison

Red Bull RB16B front wing comparison

 また2台のフロントウイングの仕様も僅かながら異なっており、ペレスのフラップ後端は、フェルスタッペンのそれよりも複雑に波打つ形状になっていた。これも、マシンの前後バランスを整える策のひとつだと言えよう。

■メルセデス、将来に向けた”実験”

 一方メルセデスは、フリー走行の際にドライバーごとに空力のセッティングを変え、それを比較検証していた。これによりチームは、週末に進むべき方向を探るために、多くのデータを得ることができる。ただ、セッションが進むにつれ、それぞれのドライバーが別々のルートを辿ることもある。

 これまでの例としては、ハミルトンの方がボッタスよりもローダウンフォース仕様をより好む傾向にある。

Mercedes AMG F1 rear wing comparison

Mercedes AMG F1 rear wing comparison

Photo by: Giorgio Piola

 ロシアでは、ふたりのドライバーが共にローダウンフォース仕様のリヤウイングをつけて週末の走行をスタートさせた。しかし予選を前に、ボッタスはよりダウンフォースの大きいセッティングに変更……その仕様のまま決勝レースを迎えた。

 ただボッタスのマシンのフラップ中央部分は、空気抵抗を減らすためのV字型の切り欠きがハミルトンのモノよりも大きくなっている。

Mercedes W12 front wing comparison

Mercedes W12 front wing comparison

 メルセデスは、フロントウイングも複数準備。そしてハミルトンはFP1で、新しい仕様のフロントウイングを試している。これは従来のモノとは若干フラップの形状が変化し、翼端に近い部分が少し跳ね上がるような形となっている。点線をご覧いただくと、その違いがよく分かるだろう。

 ただチームは、このデザインのフロントウイングをレースでは使わないことを決定。おそらく、今後のレースに向けたテストだったということだろう。

 ロシアGPでハミルトンは優勝を手にしたものの、ライバルであるフェルスタッペンは、最後尾スタートながらなんと2位でフィニッシュ。メルセデスとしては、ポイント差を拡大する絶好のチャンスだと考えていたはずだが、それは叶わなかった。シーズン終了後に振り返ってみれば、このロシアGPの結果は非常に重要だった……と考えることになる1戦だったのかもしれない。

■マクラーレンのウイング

 ここ2戦、マクラーレンの躍進が著しい。イタリアGPではダニエル・リカルドが優勝、ランド・ノリスが2位と、1-2フィニッシュを達成。さらに続くロシアGPではノリスがポールポジションを獲得し、レース終盤に雨が降らなければ、優勝すら手に届きそうな活躍を見せた。

McLaren MCL35M rear wing, Russian GP

McLaren MCL35M rear wing, Italian GP

 ただイタリアGPの舞台であるモンツァと、ロシアGPの舞台であるソチは、それぞれ異なるサーキット特性であるため、要求されるダウンフォース量も違っていた。

 ロシアで使われたのは、比較的ハイダウンフォースを生み出す仕様のリヤウイング(イラスト左)、モンツァでは1戦限りの登場になるであろうローダウンフォース仕様のリヤウイング(イラスト右)を使った。

 両者の間には劇的な違いが存在しており、超高速のモンツァではそのフラップが薄くなり、さらに高さも低くなっている。前面投影面積も低く、空気抵抗を低減することが目指されている。

 

Read Also:

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

コメントを読んで投稿する

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 【特集】その悔しさが彼らを強くした……F1スターが初優勝を逃したレース10選

次の記事 角田裕毅、ホームシミュレータも使いトルコへ向け準備万端「ターン8は身体には厳しそうだけど、楽しみ!」

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

View More & Comment

More from

Matthew Somerfield



F1メカ解説|ハース、アメリカGPに大規模アップデート投入。サイドポンツーンが今季のトレンドに似た形状に……パフォーマンス向上なるか?

F1

F1

アメリカGP

2023/10/20

F1メカ解説|ハース、アメリカGPに大規模アップデート投入。サイドポンツーンが今季のトレンドに似た形状に……パフォーマンス向上なるか?



F1メカ解説|メルボルンにやってきたマシンたち。接写することで見える細かな工夫|オーストラリアGPピットレーン直送便

F1

F1

オーストラリアGP

2023/04/01

F1メカ解説|メルボルンにやってきたマシンたち。接写することで見える細かな工夫|オーストラリアGPピットレーン直送便



F1メカ解説|アストンマーチン、グレーゾーン攻めた”奇抜リヤウイング”導入! 消えたはずのエンドプレート復活

F1

F1

ハンガリーGP

2022/07/30

F1メカ解説|アストンマーチン、グレーゾーン攻めた”奇抜リヤウイング”導入! 消えたはずのエンドプレート復活

最新ニュース



アロンソ、大ダメージを負ったマシンで母国戦完走……その判断は自分自身で?「フィニッシュした後は1速で走った。皆の熱気を感じたかったんだ」

F1

F1 F1

スペインGP

2 時間前

アロンソ、大ダメージを負ったマシンで母国戦完走……その判断は自分自身で?「フィニッシュした後は1速で走った。皆の熱気を感じたかったんだ」



マルティン、サンマリノ急落5位は“腕上がり”が原因「大チャンスを逃してしまった」手術判断は次戦オーストリア後

MotoGP

MGP MotoGP

サンマリノGP

3 時間前

マルティン、サンマリノ急落5位は“腕上がり”が原因「大チャンスを逃してしまった」手術判断は次戦オーストリア後



F1分析|幸運だっただけじゃない。アントネッリ、自らの判断でピットに飛び込み勝利をもぎ取る……20歳の驚異的な決断力。最速ノリスは不運|F1スペインGP決勝

F1

F1 F1

スペインGP

3 時間前

F1分析|幸運だっただけじゃない。アントネッリ、自らの判断でピットに飛び込み勝利をもぎ取る……20歳の驚異的な決断力。最速ノリスは不運|F1スペインGP決勝



「無事に戻って来れてラッキーだった」ブレーキペダルが底に……ハミルトン、市街地コースで危険なトラブル発生。序盤にガレージへ

F1

F1 F1

スペインGP

4 時間前

「無事に戻って来れてラッキーだった」ブレーキペダルが底に……ハミルトン、市街地コースで危険なトラブル発生。序盤にガレージへ

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録