フェラーリPUをめぐる”和解”の舞台裏。FIA会長「スタッフにかなりプレッシャーをかけたが……」
FIAのジャン・トッド会長は昨年、フェラーリPUの合法性を理解するために、スタッフにプレッシャーをかけたものの、規則違反を証明できなかったと明かした。
写真:: Giorgio Piola
2019年シーズンのF1は、フェラーリのパワーユニット(PU)が燃料流量の制限を回避しているのではないかという疑惑が持ち上がったが、最終的にFIAとフェラーリが内容非公開の“和解”に至った。当然フェラーリPUを搭載しない7チームは納得せず、共同声明を発表して内容開示を求める事態に発展した。
しかしFIAはフェラーリが規則に違反していたか確信が持てず、裁判の長期化を避けるために和解に達したと主張した。
FIAのジャン・トッド会長は、この件について初めてmotorsport.comの独占取材に応え、真実を理解しようとFIAの技術スタッフにプレッシャーをかけていたと明かした。
「フェラーリがルール違反をしている可能性があると、いくつかのライバルチームから指摘があった」
そうトッドは説明した。
「そのため、我々の技術者は何ヵ月もフェラーリを調査し、彼らがしていることが合法なのかそうではないのかを理解しようとしていた」
「私は、FIAのスタッフに可能な限りの検査を行なうよう、かなりのプレッシャーをかけたと言わなくてはいけない」
「言ってしまえば、我々がそうする必要はなかった。内部告発者が我々に情報を伝えていたからだ。しかし我々は各チームが合法的に活動しているということを確認しなければならない」
フェラーリが燃料搭載量の申告ミスを犯したアブダビGPを含め、昨シーズンを通じてフェラーリに対するチェックは行なわれていたという。
「我々は問題を解決したかった。そのため、問題を理解するために非常に複雑な検証をしていた」
「アブダビでは(シャルル)ルクレールのマシンをチェックした。スチュワードが(申告ミスは)人為的なものであると判断し罰金を科した。我々は『OK、それで問題ない』と考えることもできたが、状況を理解するためにかなりの努力をしていた」
シーズン終了時もまだフェラーリに対する疑惑は晴れていなかったものの、フェラーリは合法だと断固主張。FIAにはフェラーリがルール違反をしていたという証拠もなかったため、事態をさらに進めることはできなかったと、トッドは述べた。
「トップチームのほとんどは『状況を理解したい』と言っていたが、最も重要なのは2020年に向けて事態を明確にすることだとも言っていた。そこで我々は2020年のレギュレーションを変更し、曖昧な部分をなくすことにした」
「それから、我々はフェラーリがしていたことは合法ではないという見解に達したが、彼らは合法だと主張した」
「この件を控訴裁判所で決めることもできただろう。決定がどうなかったかは分からないし、裁定が出るまで何年もかかったかもしれない。それはF1にとって利益にはならない」
裁判の泥沼化を懸念したことから、内々で解決することを選んだFIAは、フェラーリに何らかの制裁措置を科したという。トッド自身はその内容について明かしても問題ないと考えているが、フェラーリの許可が必要とされているようだ。
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