WEC4連覇のトヨタ、「予算上の制約」でプライベートテスト日数ダダ余りに。過剰なテストによるコスト上昇には懸念も
WEC(世界耐久選手権)に参戦し今季もチャンピオンに輝いたトヨタだが、予算上の制約からテストをフルに行なうことができていなかったと明らかにした。
写真:: JEP / Motorsport Images
2022年のWECでチャンピオンに輝いたトヨタ。4連覇という偉業を成し遂げているチームだが、実は予算上の制約からテスト日程がかなり余っていたことが明らかにされた。
WEC2022年シーズンにおいてトヨタは計20日間のテストが可能とされていた。しかし実際の動きとしては5月のスパ戦直前に行なった以来、プライベートテストは行なっていないのだ。
GR010 HYBRIDが5月以降にレース以外で走行したのは、ル・マン24時間レースのテストデーと、シーズン後のバーレーンで行なわれたルーキーテストの2回のみだ。これほどまでにテスト日数が少なくなった背景には、予算上の制約や、専任のテストチームが無いことなどがあったとチーム側は明かしている。
テクニカルディレクターを務めるパスカル・バセロンは正確な日数は明かしていないものの、テスト日数に関して次のように語った。
「4月以降、我々は公式テストを除いてテストは行なってこなかった」
「現在、我々は多額の予算とテストを組んでいる他のチームと比較して、少し後れを取ってしまっている」
そう語るバセロン。実際、2023年以降に参戦を予定しているライバルメーカーは、かなり積極的なテストを実施している。
ポルシェは1月の“ポルシェ 963”のロールアウト以降、広範なテストを実施している。フェラーリも499Pを発表済みだが、彼らはテストカー2台体制で積極的なテストを行なっていることを明かして話題を呼んでいた。
LMHマニュファクチャラーであるプジョーとフェラーリは、最初のフル参戦シーズンとなる2023年に、日数無制限のテストを行なうことができる予定だ。ただ当然ながら、トヨタもLMH初年度の2021年にはテスト日数は無制限となっていた。
しかし実際にマシンをドライブさせているドライバーからは、ライバルのテストの強烈さに懸念が抱かれている様子だ。
今年セバスチャン・ブエミとブレンドン・ハートレーと共にチャンピオンに輝いた平川亮は、次のように語っている。
#7 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid LMP1: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez
Photo by: Toyota Racing
「僕たちはこの冬に何度かテストを行なうことになるでしょう。12月には僕は参加しないですけどロールアウトもあります。ただ、僕たちはフェラーリやポルシェほどには(テストは)行ないません」
「彼らは狂ったようにテストしています。テストで何をしているのかは知りませんけどね!」
そして平川はトヨタがテスト日程をフルに使っていないことを懸念しているかと聞かれると、こう答えた。
「ええ……それ(予算上の制約)が理由ですけどね」
またバセロンはWECがコストを抑えるために、プライベートテスト制限することを望んでいるとも語っている。
「我々はもちろんこのカテゴリーの精神……つまり低コストで競い合うことを維持することのできるレギュレーションを希望している」
「まだ最終決定されたわけではないが、我々はこの件について話し合っている。我々としては、非常に多くのテスト日程に向かうことを、少し心配している。もちろん、まだ決まったことではないがね」
「レギュレーションで多くのテスト日数が確保されている場合、テストチームが必要なのは確かなことだ。それは別レベルの予算が必要だ。現在、我々はひとつのレースチームでテストを行なっていて、レースチームで可能なことをやっているんだ」
そしてバセロンは2010年代のLMP1全盛期ですら、トヨタはテストチームを持っていなかったと明かしている。
「我々には余剰人員は数人しかいなかったんだ」
「完全なテストチームはなかったんだ。たしかに、プラスの人員はいたがね」
「しかしポルシェやアウディのようなレベルにはなかった。我々には数人がいるだけで、コアグループは同じだったんだ」
トヨタは2023年シーズンに向けてGR010 HYBRIDをアップグレードして臨むことを明かしており、テストは来年1月に開始される予定だ。
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