ベッテル、LGBTQ+を”正しく”知ってもらうために「不寛容な国でもF1はレースを行なっていくべき」
セバスチャン・ベッテルは、LGBTQ+の権利に関して不寛容な国家で”あえて”F1がレースを行なうことは重要だと考えており、その理由を語った。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
アストンマーチンのセバスチャン・ベッテルは、LGBTQ+に対して不寛容な国でも、F1は積極的にレースを行なっていくべきだと考えている。
ベッテルは近年、環境問題の他にもLGBTQ+に関しての活動を積極的に行なってきた(LGBTQ+は、レズビアンとゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーとそれらに属さないクィアなどの性をの多様性を指す)。
昨年のハンガリーGPでは、同国が18歳未満に対する同性愛やトランスジェンダーの描写や教育を禁止する「反LGBTQ+法」が可決されたことを受けて、LGBTQ+を象徴するレインボーのTシャツやスニーカーを着用し、コミュニティへの支持を示した。
F1ではハンガリー以外でも、サウジアラビアGPでは開催に向けて人権問題が取り沙汰され、その開催の是非を問う声も上がっていた。
ゲイの男性専門雑誌『Attitude』の7・8月号の表紙を飾ったベッテルは、その独占インタビューでLGBTQ+の権利の重要性について広く認知されていないエリアにF1が背を向けることは間違っていると語った。
「F1は今年、23ヵ国でレースを行なう(原文ママ:同国複数開催とロシアGPの中止により実際には20ヵ国)」とベッテルは言う。
「LGBTQ+の権利に関して言うと、僕らが訪れる国の中には他の国よりも厳しい見方をするところもある。そこでレースをボイコットすることもできるが、一体それでどうなるんだろう?」
「もしレースに出なければ、僕らは何も変えることができないんだ」
「そうした国でレースをし、礼儀正しく、でもしっかりと重要なことは主張することで、僕らはボジティブな影響を与えることができるんだ。価値観や理念は国境に遮られるモノではない」
Sebastian Vettel. Aston Martin Racing, Attitude cover
Photo by: Attitude
ベッテルはハンガリーGPでの自身の行動を振り返り、こう語った。
「当時可決された反LGBTQ+法を支持するつもりはないと示したくて、僕はそうしたんだ」
「人気者になりたくてそうした訳じゃないけど、もしこの法案可決に悲しい思いをしていたLGBTQ+の人々が、僕が反対しているのを見て勇気づけられたら、それはとても嬉しいことだ」
「僕らの行動によって、より多くのF1ファンが多様性や包括性について考えるようになってくれたかもしれないし、そうだったら僕は嬉しく思う。僕は嬉しいし、君たちの味方になれて光栄だ!」
またベッテルは、近年はF1を取り巻く環境はかつてとは変わり、ゲイのドライバーであっても彼らのカミングアウトを受け入れられるようになったと考えている。
「かつてはそうではなかったかもしれないけど、今はゲイのF1ドライバーは受け入れられると思うし、そうであって当然だ」とベッテルは続ける。
「ゲイのドライバーは、偏見の解消を促進し、このスポーツをより良い方法へ押し上げる助けになってくれると思う。F1はゲイのドライバーを受け入れる準備ができていると思うし、そうであってほしいと願っている」
そしてF1は「We Race as One」のようなキャンペーンやスローガンだけではなく、実際に行動を起こす必要があると彼は考えている。
「状況は改善していて、エンジニアやメカニックの中には(LGBTQ+に関して)もっとオープンになれる人もいる。しかしモータースポーツにおける多様性と包括性を向上させるためには、セクシュアリティの面だけでなく、女性や有色人種、障がい者などの支援・育成など、まだまだできることがあるはずだ」
「F1は『 We Race as One 』というキャンペーンを始めた。それは良いことだけど、僕ら全員がこの活動が実際に好影響をもたらすよう共に努力する必要があるんだ」
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