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ラスベガスGPはF1とリバティ・メディアが主催者。彼らが巨額投資をする理由

F1は来季から開催予定のラスベガスGPのピットとパドックエリアの敷地を確保するため、約310億円を投資した。これまで、レースのプロモーターからの開催権料が、F1の主な収入源だったが、ラスベガスGPの実現を契機にこれが変わるのかもしれない。

Las Vegas track action

Las Vegas track action

Liberty Media

 先日初開催されたF1マイアミGPは、コースのコンディション等に関していくつか批判的な意見が出たものの、概ね大成功だったと言えよう。

 チケットは早々に完売。連日多くの観客が訪れ、コース上でのバトルに歓声が上がった。アメリカでのF1人気の拡大を、まさに象徴した格好であった。

 そして来季からは、ラズベガスでのグランプリが開催される。これでオースティンのアメリカGPと合わせて、アメリカ国内で3レースを開催する体制となり、F1のオーナー企業であるリバティ・メディアの目論み通りになりつつある。

 なおマイアミGPは、グランプリを運営するためにステファン・ロスとマイアミ・ドルフィンズによって立ち上げられたサウスフロリダ・モータースポーツがプロモーターを務めた。

 しかしラスベガスGPはまったく別の形となる。もちろんラスベガス市やサーキット周辺に林立するカジノもパートナーを務めるが、プロモーターとなるのはリバティ・メディアの子会社であるライブ・ネーションと、F1自体である。F1はこのために、既に独立した会社を設立。一部のスタッフは既に新会社に異動している。

Las Vegas track action

Las Vegas track action

Photo by: Liberty Media

 発表されたラスベガスGPの計画は、素晴らしいモノに見えた。公道をコースとして使用すること、そして主要なカジノの前を通ることについても、全て許可を得たのだ。ただ、ピットとパドックはどうするのか? その点については、大きな疑問が残った。当初チームには、パドックがコースから1マイル(約1.6km)も離れているという噂ももたらされたようだ。

 しかしマイアミGPの数日前、リバティ・メディアのCEOであるグレッグ・マフェイがウォール街の投資家たちに対し、ピットとレースコントロールのための施設を建設するために、コースに隣接する土地を購入したことを明らかにした。またマフェイCEOは、このラスベガスGPを実現し、開催を続けていくには、かなりの投資が必要となるとも語った。

「ほとんどのグランプリとは異なり、F1とリバティ・メディアは、地元の関係者やライブ・ネイションと協力して、自らレースをプロモーションする」

「このコースを建設するにあたっては、開発のための設備投資と運用費が必要である」

「リバティ・メディアは、ストリップの東に39エーカーの土地を取得する契約を締結。サーキットのデザインを固定し、ピットとパドック、他のホスピタリティとレースサポートの敷地を確保した」

「この取引は、第二四半期の間には完了する予定であり、購入価格は2億4000万ドル(約310億円)になる。この金額は、F1グループのレベルが保持する現金で賄われる予定だ」

「そしてその敷地はピットとパドック、そしてホスピタリティ用のエリアになるだろう」

 これはリバティ・メディアやF1としては、前例のない投資ということになる。ただ、仮設のピット/パドックのための敷地を見つけたとしても、そこを永続的に貸借するのは、大きなコストがかかることになるだろう。またその所有者が、土地を売却してしまったり、別の施設を建設してしまうというリスクもある。

 モナコやバクーは、イベントの合間だけ施設をレンタルして使っている。これは準備のために毎年数週間を要することになり、多額のコストと手間がかかる。

 一方でシンガポールやマイアミは、イベント以外の時にはショップや飲食店に使われるが、ピット施設は常設であるため、準備の面ではメリットがある。また街の中には、様々な資材を置いておくための土地も存在する。

Las Vegas 2023

Las Vegas 2023

Photo by: Liberty Media

 ただその土地も、F1パドックの全てを収容するには十分な広さとはいえない。税関エリアや輸送用のコンテナを置くために、別の敷地も必要である。

 土地を購入し、開発するのは魅力的なことである。そのことは、F1とリバティ・メディアが、ラスベガスGPのプロモーターを自ら務める理由であるとも言える。

「ライブ・ネイションや地元のパートナー企業と協力して、ラスベガスGPを自らプロモートするという我々の決定は、いくつかの要因によって推進されていると思う」

 そうマフェイCEOは語った。

「ひとつは近いということだ。デンバー(リバティ・メディアの本拠地)からラスベガスに行くのは、かなり簡単だ。また他の市場と比較して、アメリカの市場についてはある程度の知識がある」

「もっと重要なことは、このビジネスへの理解を深めるために、プロモーターを務めるということだ。他のプロモーターにとっても、コースで最高のF1という製品にするための方法について、我々の知識と理解を深める。将来的には、他のレースをプロモートする可能性もある」

「そして最後に、ラスベガスは大きくて特別な機会であるということだ。したがって財務的な観点から見ても、プロモーターになるための時間を割く価値があると思う」

 F1のステファノ・ドメニカリCEOも、ラスベガスGPに大きな期待を寄せている。

「ラスベガスは常に、F1の価値と魅力、そして人々を魅了すると言う面で、そのコミュニティに存在する可能性が重要だと信じていた場所だ」

「来年の11月にレースを開催するのは、最高だと思う。そのイベントは壮観であり、他にないモノになるだろう。それについては、既にマイアミで感じることができた」

 ラスベガスGPは、リバティ・メディアとF1にとって大きな賭けだ。しかしマイアミの事例を考えれば、しっかりとした収益を手にすることができるだろう。

 ただ収支は非常に重要だ。なぜならF1チームが得る分配金は、各グランプリによる収益から支払われることになる。そのためラスベガスGPの収入のうち、どのくらいの割合がF1の収入になるのか……という面については、多くの人たちが注目するだろう。

「一般的に言えば、我々(リバティ・メディア)はプライマリー・パートナーだ。そして財政的な観点から言えば、ライブ・ネイションはセカンダリー・パートナーである」

「彼ら(ライブ・ネイション)には非常に重要な役割がある。しかし設備投資の大部分、支出の大部分は、ライブ・ネイションではなく我々が支払うモノだ」

 なおF1の収入は、レース開催権料、スポンサー収入、放映権料の3本柱で構成されている。しかしラスベガスでもっとも大きな収入源となるであろうホスピタリティは、「その他」の収益の一部となる。

「我々はそれらを統合するつもりだ」

 リバティ・メディアの財務責任者はそう語る。

「収益と設備投資は、コストとしてだけではなく、我々の帳簿にも記載される。そしてレースが終わったら、これを微調整する必要もあるだろう。しかし我々のいまのところの期待は、収益が従来通りのものになるということだ」

「パドッククラブはその他の収入ということになるが、スポンサーシップは今のスポンサーシップの財布に、そして観戦チケットを販売するなら、それはおそらくプロモーター収入ということになると予想される」

「つまり全ての収支を統合するということを除けば、通常のプロモーターと非常によく似ていると思う」

Las Vegas track map

Las Vegas track map

Photo by: Liberty Media

 従来の形のプロモーターは、ラスベガスの行く末を注視している。彼らは自分達のグランプリを盛り上げなければならないということを、深く理解しているのだ。

 多くのグランプリは、国や自治体の援助を受け、開催に漕ぎ着けている。しかしオランダGPや日本GPなどは、国などの支援を受けず、一私企業としてグランプリを開催している。その難しさと言えば計り知れない。

 なおリバティ・メディアのマフェイCEOは、従来のグランプリを、ラスベガスのような格好でF1が自らプロモーターを務める可能性もあると示唆する。

「我々は、それをどうやって行なうのか、それを見ていく。そして、我々が成し遂げることができると信じているものを、成功させられることを願っている」

「慎重に申し上げるが、F1にとって象徴的な場所が、将来的に我々が自らプロモーターを務めることはない……そういう場所であると確信する必要はない。私は、その可能性を捨てるつもりはないよ」

 つまりリバティ・メディアは、F1にとって必要不可欠なレースを、自らがプロモーターとなって引き継ぐということを考えているようだ。スパやモンツァでのレースがこれにあたるだろうが、これらのグランプリは近年では、開催権料という面では他のグランプリよりも低いと言われる。

 またリバティ・メディアは、モナコとの契約にも不満を持っていると言われており、将来的には直接プロモーターを務めることを目指す可能性もある。

 ただこれらのグランプリは、F1にはなくてはならないもの。それをF1が自ら運営するというのは、明らかに理に適っている。そしてラスベガスGPを成功に導くことができれば、そのための試金石となるだろう。

「グレックが言ったことは、決して不可能だとは言わない」

 そうドメニカリCEOは語る。

「しかしこれを念頭に置いて、我々は今のプロモーターに非常に満足していると思う。彼らは非常に忠実で、信頼できるパートナーだ。我々は彼らと共に、さらに強力な未来を築いていきたい」

 
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