コメンタリー

F1 モナコGP

「モナコ予選でのルクレールのクラッシュは故意」という陰謀論が“ナンセンス”である理由

F1モナコGP予選でシャルル・ルクレールがクラッシュして自らのポールポジションを確定させたことに対して、「故意のクラッシュだった」とする論調は、様々な状況を鑑みるに“ナンセンス”だと言わざるを得ないだろう。

Jonathan Noble

Jonathan Noble

編集: 2021/05/23 12:36

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

Google検索でmotorsport.comをお気に入り登録

Marshals assist Charles Leclerc, Ferrari SF21, after he crashes out of Qualifying

 2021年のF1モナコGP予選は、昨年から不振に陥っていたフェラーリのシャルル・ルクレールがポールポジションを獲得したため大きな話題となったが、そのポールポジションの決まり方が多少ながら波紋を呼ぶこととなった。

 ルクレールはQ3でトップタイムを記録した後、ラストアタックの最中にプールサイドシケイン出口でクラッシュ。ライバル達も同じくラストアタックをしているタイミングであり、ルクレールのタイムを上回らんばかりのペースで走行している車両もあったが、この事故により予選は赤旗終了となってしまい、ライバルに逆転のチャンスが与えられないままルクレールのポールポジションが確定した。

Read Also:

 こういった状況から、ソーシャルメディアでは『ルクレールのクラッシュは故意に起こしたものだったのではないか』という半ば“陰謀論”のようなものが一部で飛び交った。確かにルクレールは、自らのクラッシュによる恩恵を最も受けたドライバーだ。しかし、だからといって彼がわざとバリアにぶつかったと考えるのはさすがに行き過ぎだろう。

 F1で戦うプロフェッショナルなレーシングドライバーは、バリアにぶつかったりライバルと競り合うことによる損得勘定に長けている。つまり、予選の終盤にマシンをわざと壊すことは狂った人間しかしないことを分かっているのだ。

 特に今回のケースでは、ルクレールは決勝直前までギヤボックス交換によるグリッド降格の危機に晒されていた。たとえ小規模なクラッシュであっても、衝撃によってギヤボックスにダメージが見受けられた場合、チームは5グリッド降格を受け入れてでもギヤボックスを交換せざるを得ない。特にギヤチェンジの回数が多いモナコでは尚更だ。仮にルクレールが「赤旗を出して予選を終わらせたい」と思っていたとしても、わざわざサイドインパクトによりギヤボックスにダメージが及びかねない場所でクラッシュしようとは思わないだろう。

 逆に言えば、ルクレールにとってライバルの走行を意図的に妨害する方法は他にもあった。さらに言えば赤旗を必要すらなかった。ダブルイエローが振られれば、それだけで他のドライバーはアタックを中断せざるを得ないのだ。

 実際にモナコでは、タイムシート上のトップにいたドライバーがイエローフラッグの原因となってポールポジションを確定させ、物議を醸した場面がいくつかある。

 その中で最も有名なのが、2006年のミハエル・シューマッハー(当時フェラーリ)だろう。シューマッハーはルクレールと同じようなシチュエーションで、ラスカスを止まり切れず立ち往生。ライバルであるフェルナンド・アロンソはこの影響でタイムを更新できず、シューマッハーがポールポジションとなった。

 しかし、このラスカスでの不自然な動きは審議にかけられた。シューマッハーは故意に行なったものではないとして無実を訴えたが、スチュワードはシューマッハーの予選タイムを抹消する裁定を下した。

 2014年には、当時メルセデスのニコ・ロズベルグがミラボーのブレーキングでロックアップしてエスケープゾーンに。これでイエローフラッグが振られ、直後を走っていたチームメイトのルイス・ハミルトンはスピードを落とさざるを得なかった。ロズベルグからポールポジションの座を奪おうとしていたハミルトンはすぐに不正を疑い、無線でロズベルグに対して「良かったね」と皮肉った。

 ただ、FIAのスチュワードはこの件について調査をした結果、テレメトリーデータや映像を見る限り不正行為を疑われるような動きはなかったとしてロズベルグはお咎め無しとなった。

 もし、ルクレールの中に悪事を働こうという考えがあったのであれば、ロックアップしてエスケープゾーンに突っ込んだりする方がよっぽど“確実”だっただろう。サスペンションを壊し、ギヤボックス交換によるグリッド降格でポールポジションを失うような危険に自らを晒すことは考えにくい。

 結果的に予選2番手に終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ラストアタックのセクター1で全体ベストタイムを記録しており、ルクレールのクラッシュがなければポールポジションを奪っていた可能性もある。ただ彼は、ルクレールの動きが故意であるとは考えていないようだ。

「ミスをして壁にぶつかるのと、それをわざとやるのとでは違いがあると思う」とフェルスタッペンは言う。

「シャルルがフロントウイングを壊してどこかに止まったりしていたら、話は違っていたと思う」

 またルクレール自身も、もし意図的に赤旗を出すのだとしたら、高速でクラッシュしようとはしなかっただろうと語った。

「もしわざとやるのであれば、もっとうまくやっていただろうし、フルスピードで(バリアに)突っ込んでギヤボックスを壊すようなリスクは冒さなかったはずだ」とルクレール。

「だから、わざとやったかどうかに関しては、間違いなくノーだ」

 

Read Also:

あなたの意見が聞きたい!

Motorsport.comで何を見たいですか?

5分間のアンケートにご協力ください。

- Motorsport.comチーム

コメントを読んで投稿する

関連ニュース :

記事をシェアもしくは保存

Copy link

Facebookでシェアする

Twitterでシェアする

WhatsAppでシェア

Linkedinでシェアする

Pinterestでシェアする

Viberでシェア

前の記事 F1モナコGP予選でクラッシュのルクレール、ギヤボックス交換せず。ポールからグリッド降格の危機回避

次の記事 2021年F1第5戦モナコGP 決勝ライブテキスト

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

View More & Comment

More from

Jonathan Noble



大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす

F1

F1 2024/12/29

大きく前進を果たせなければ、F1タイトル5連覇は目指せない……フェルスタッペン、レッドブルに警鐘鳴らす



ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす

F1

F1 2024/12/27

ハミルトンのメルセデスF1最終年度での苦戦、その原因は? エンジニアリング統括が明かす



僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識

F1

F1 2024/12/25

僕にできることはある……ボッタス、“最悪のシナリオ”でF1シート喪失も闘志は消えず。酒の勢いで始めたおバカ挑戦で再認識

More from

シャルル ルクレール



ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」

F1

F1

シンガポールGP

10 日前

ルクレール、スタート直後の攻防でリスク冒さず「そうしなかったら壁に突っ込んでいただろう」



ハミルトン、SQ3のアタック戦略を悔やむ「間違った判断だった。SQ2までは良い感じだったのに」

F1

F1

シンガポールGP

12 日前

ハミルトン、SQ3のアタック戦略を悔やむ「間違った判断だった。SQ2までは良い感じだったのに」



これまでのシンガポールGPとは一味違う? 初のスプリント開催という”挑戦”に、ドライバーたちはワクワク

F1

F1

シンガポールGP

13 日前

これまでのシンガポールGPとは一味違う? 初のスプリント開催という”挑戦”に、ドライバーたちはワクワク

More from

Scuderia Ferrari



サインツJr.、接触によるペナルティに憤慨「これまで見た中で最も不公平」。話し合い無しでの裁定に納得いかず

F1

F1

オーストラリアGP

2023/04/03

サインツJr.、接触によるペナルティに憤慨「これまで見た中で最も不公平」。話し合い無しでの裁定に納得いかず



フェラーリ、WECハイパーカーいよいよ登場もトヨタらの”壁”は高いと冷静「初年度で勝てるほど楽じゃない」

WEC

WEC 2023/02/28

フェラーリ、WECハイパーカーいよいよ登場もトヨタらの”壁”は高いと冷静「初年度で勝てるほど楽じゃない」



えっ新車発表でサーキット走行を!? フェラーリの一味違うサプライズにサインツJr.「勇敢な選択だった」と驚嘆

F1

F1

Ferrari launch

2023/02/15

えっ新車発表でサーキット走行を!? フェラーリの一味違うサプライズにサインツJr.「勇敢な選択だった」と驚嘆

最新ニュース



マルク・マルケス、アプリリアのチームオーダー論争に牽制球「速さがあれば必要ない。必要なのは速さがない時だ」

MotoGP

MGP MotoGP

オーストラリアGP

46 分前

マルク・マルケス、アプリリアのチームオーダー論争に牽制球「速さがあれば必要ない。必要なのは速さがない時だ」



本当に? ピット作業15年ぶり担当のスタッフも……それでも最速メルセデスの”精度”「チームのレベルの高さを示している」

F1

F1 F1

シンガポールGP

12 時間前

本当に? ピット作業15年ぶり担当のスタッフも……それでも最速メルセデスの”精度”「チームのレベルの高さを示している」



「ここではいつも速かった」マルティン、アプリリアで走るフィリップアイランドは初も自信ある?

MotoGP

MGP MotoGP

オーストラリアGP

13 時間前

「ここではいつも速かった」マルティン、アプリリアで走るフィリップアイランドは初も自信ある?



メルセデス、シンガポールでテストした新フロントウイングを再使用へ。2027年に向けて重要な役割に?

F1

F1 F1

アメリカGP

13 時間前

メルセデス、シンガポールでテストした新フロントウイングを再使用へ。2027年に向けて重要な役割に?

Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.

フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。

次の 2 つのオプションがあります。

購読中 すでに購読していますか? ここからサインインします

広告ブロッカーを無効にしましたか?
ページをリロード

お知らせの管理

登録