F1 バーレーン・プレシーズンテスト

メルセデスF1のテスト不調、もしかして“はったり”ではない? これまでとは少し様子が違う理由

2022年シーズンのプレシーズンテストが順調ではないことを示唆しているメルセデス。そういったコメントは今に始まった事ではないが、今年はこれまでとは少し様子が違う。

Jonathan Noble

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編集: 2022/03/15 5:35

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Lewis Hamilton, Mercedes W13, locks up

 2022年シーズン開幕を前に行なわれたF1バーレーンテストで、現在コンストラクターズ選手権8連覇中のメルセデスは目立ったタイムを残さず、ドライバーたちも控え目なコメントを残している。しかし、多くのライバルたちはメルセデスのコメントを真に受けておらず、はったりだと考えている。

 というのも、メルセデスには“前科”がある。彼らはこれまでのプレシーズンテストでも低調な姿を見せておきながら、いざ開幕すると圧倒的な強さを見せてきたのだ。

 昨年に関しても、メルセデスはテストでマシンの調子が上がらず後手に回っているような印象だったが、開幕戦ではレッドブルを倒してルイス・ハミルトンが勝利を飾っている。

 そういった経緯から、今季もメルセデスが本当の速さを隠しているのではないかという見方が強いが、実際メルセデスは今年こそ本当に後れを取っているようにも見える。

 昨年のメルセデスはテストで適切なバランスを探ることに苦労していたが、今季も彼らは安定したペースを引き出すことに苦しんでいる。今季のF1マシンはグラウンドエフェクトカー特有の上下動(メルセデスはバウンシングと呼んでいる)に悩まされているが、メルセデスは特にそれが顕著であり、その問題を解決する方法をまだ見つけられていない。

 また、この問題が起きるのはストレートエンドだけでなく、コーナーで限界域に達した際もフロアが地面に触れることがあるという。これは安定したダウンフォースを得るという点で好ましくない。

 今季からメルセデスに加入したジョージ・ラッセルは次のように話す。

「W13にはかなりのポテンシャルがあるし、チームのみんながそれを引き出してくれると思っている。あとはパフォーマンスを解放する方法を見つけるだけなんだ」

「バウンシングはマシンを正しいウインドウに入れる上で悪影響になっていて、チームは解決策を見出すために頑張ってくれている。長い戦いになるけど、僕たちのマシンは良いパフォーマンスが出せると思っている」

 メルセデスがもし、マシンが底を擦らないように車高を上げたとすれば、W13はベストなパフォーマンスウインドウから外れることになるだろう。ダウンフォースを犠牲にし、ラップタイムを落とすことに繋がるからだ。

 一方でダウンフォース量を増やしていくと、それはそれで問題に直面することになる。ダウンフォースによってマシンが地面に強く押し付けられるようになるほど、マシンは激しく跳ねるようになり、ラップタイムは落ちてしまう。

 メルセデスは暫定的な解決策として、ダウンフォース量を減らすことで高速走行時にマシンが強く地面に押し付けられるのを軽減しながら、ラップタイムを改善していくことを選んだようだ。彼らはバーレーンテストでサスペンションのセッティングや車高の調整に時間を割き、最終的にはフロアを少し削ってリヤを少し持ち上げ、その効果を確認した。

 トラックサイド・エンジニア・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、テスト後半に行なった実験に関してチームからポジティブなフィードバックがあったと語った。

「バウンシングも少し改善されたし、限界域でのマシンも少し扱いやすくなった。セットアップも正しい方向に進んだと思う。マシンをもっと落ち着かせることができれば、まだまだペースは上がるはずだ」

 しかし、彼らが抱えている問題はそれだけではない。車重も大きな問題となっている。今季はレギュレーションの最低重量近くまでマシンを軽量化できているチームはほとんどないと言われているが、チーム間でのばらつきが大きいようだ。

 現在ではアルファロメオが最も軽いと言われており、トップチームで言えばフェラーリがメルセデスよりかなり軽い可能性があると噂されている。F1では車重が10kg違えばラップタイムが0.3秒違うとされており、数kg違うだけでもラップタイムに影響があるのだ。

 とはいえ、メルセデスが今競争力のないマシンを抱えていたとしても、トップチームに追い付く可能性はない、という訳ではない。彼らはW13にポテンシャルがあることを理解しており、ベストなパフォーマンスを発揮する上で必要なダウンフォース量も分かっている。あとはマシンの強みを活かしながら、マシンの上下動に悩まされずに走り切る解決策を見出す必要がある。

 テストを終えて、ハミルトンはこう語っていた。

「僕たちのマシンにはトップを争うポテンシャルがある。問題を解決して、そのポテンシャルを引き出すことができるようになればいいんだ」

 メルセデスにとって鍵となるのは、必要な答えを見つけ出すのにどのくらいの時間がかかるか、ということだろう。

 

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