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FIA、F1マシンの車検を強化。レース後1台をランダムに選出し、徹底調査……その理由とは?

FIAの技術部門は、ますます複雑化するF1テクニカルレギュレーションの監視を強化するため、今季開幕戦バーレーンGPから、新たな”秘策”を導入した。

An FIA delegate inspects the car of Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11, in Parc Ferme

写真:: Mark Sutton / Motorsport Images

 FIAは今季のF1における各マシンの車検を強化。全てのレース終了後、FIAは完走したマシンの中から無作為に対象となるマシンを選択し、これまでよりも深いレベルでのチェックと分析を行なうこととした。

 グランプリに出走するマシンは合法であるということについては”信頼”されており、実際にF1のスポーティングレギュレーションには「競技参加者はフリー走行、予選、および決勝レースを通じ、自己の車両が技術規則や安全規定に適合していることを保証しなければならない」と記載され、さらに「第一次車両検査に車両を提示することは、当該車両がすべての規則に適合していることを暗に申告したものとみなされる」とされている。

 とはいえレース後には、各チーム車検を受けなければならない。完走した全てのマシンは、レース後に重量が測定され、レース中のパワーユニットの運用に関するパラメータの検査も行なわれる。

 またバーレーンGPの決勝レース終了後には、セルジオ・ペレスのレッドブルと、角田裕毅のアルファタウリが、様々な部分の寸法検査の対象となった。その他9台のマシンについてはオイルの消費量がチェックされ、ルイス・ハミルトンのメルセデスとマックス・フェルスタッペンのレッドブルは、オイルのサンプルを採取されている。ハミルトンのマシンからは、燃料のサンプルも採取された。

 その一方でこれまでは、レース後など定期的にマシンのカウルの下を検査したり、特定のコンポーネントを解体してより詳細な分析を行なうことはなかった。ただバーレーンGPからはこれが変更。ランダムに選ばれたマシン1台は、レース後に分解され、特定の領域を詳細にわたって検査されることになったのだ。バーレーンでこの対象となったのは、バルテリ・ボッタスのメルセデスだった。

 これについては技術指令としてチームに提示され、バーレーンGPのスチュワードも土曜日の段階で公式に通知している。

「このプロセスを取り入れた理由は、明らかにマシンがますます複雑になり、解体するのが非常に困難になったためだ」

 FIAのシングルシーター技術面の責任者である、ニコラス・トンバジスはそう説明した。

「そしてまたレースの週末には、詳細に関して十分に説明する機会がほとんど、もしくは全く存在しない」

「全てのチームは、ライバルのことを深く疑っている。チーム”X”は、チーム”Y”が何かをしているのではないかと考えている。そしておそらく時には、我々のレーダーが及ばないところでいくつかのことが起きていた可能性がある」

「今は何の疑いもない。しかし、もう少し徹底的なマシンの検査を始めるのは、いいことだと考えた」

 このプロセスをサポートするために、FIAは3人のスタッフを追加することになった。

 事前に警告を行なった理由は、レース後もFIAからの質問に対応できるエンジニアを、各チームがサーキットに残しておくことを徹底させるためだったという。

「日曜日のレース後、必要とあれば彼らはサーキットに残って必要なサポートを行なえるようにしておく必要がある」

 そうトンバジスは語った。

「我々は、『ジョンはバーベキューに行ってしまった。今はそれに対処できる人はいない』とチームに言われてしまうようなことがないようにしたい。彼らがしっかりと現場に残っているようにしたいんだ」

「何か間違ったことが見つからないことを願っている。もちろん、人々に不正行為をさせたくないからね。しかし無いに等しい可能性ではあるものの、不正行為をしていると疑わしき人たちがいた場合には、チェックを開始して、他のマシンが同じか同じでないかを確認する」

「いくつかのマシンに疑いがある場合には、他のマシンも選択して、同じことを行なうことができるが、通常のオペレーションを変更することはない。しかしランダムで検査を行なうということは、理論的にはいつでも全てのマシンが検査対象になる可能性があるということを意味する。従って、誰かが何か不正なことをしようとした場合、検査がそれをためらわせる理由になるだろう」

 ただこの新たな手順は、昨年起きたレーシングポイントの”メルセデスのブレーキダクトコピー事件”のようなモノを明らかにするためのものではないという。

「コピーという面では、すでに他の形でのチェックを行なっている。例えば今年すでにいくつかのチェックを行なっている。しかしこれらは、今回のモノとは別だ。こういう面では、CADなどをチェックしている。日曜日のレース後に行なっているわけではない」

■新たな車検はどのように行なわれるのか?

 基本的に対象となるマシンはランダムに選択される。そしてそのマシンは通常のレース後の検査を受け、その後チームのガレージに戻され、そして詳細な検証が行なわれる。

「通常は、チェッカーフラッグの直後に対象のマシンが選択され、全てのチームに通知される」

 そうトンバジスは説明する。

「そのマシンは(FIAの)プラットフォームで、計量と通常のチェックを迅速に行ない、できるだけ早くチームのガレージに戻される」

「そして最初はFIAから、2〜3人のスタッフが参加する。その後、通常のレース後のチェックを終えたFIAのスタッフも加わり、最終的には5〜6人でチェックを行なうことになる」

 実際にマシンを分解する作業は、チームのメカニックが行なう。

「我々は知識を持ち合わせていない」

 そうトンバジスは認める。

「我々の組織には、上級メカニック、または過去メカニックをしていた経験がある人物が少なくとも2人いる。そして、マシンを高いレベルで理解するためのことを行なった」

「しかし最近のマシンはかなり特殊であり、ただそこに行っただけで解体することはできない」

 FIAのスタッフは、マシンのどの部分を検査するかということについて、事前に知らされるという。

「我々はマシンを20のエリアに分けて分解する予定だ」

 そうトンバジスは語る。

「そして毎回、徹底的にチェックする2つもしくは3つの部分を選択する。我々がその手順についてもう少し自信をつけ、ロジスティクス面でも処理できるということが確認できれば、うまく行けば検査箇所を増やすかもしれない」

 最大の制約となるのは、時間的な問題かもしれない。特にフライアウェイのレースでは、日曜日の夜にサーキットから様々な機材を搬出することになる。またヨーロッパでも、各チームはレース後すぐに撤収作業を行ない、トランスポーターにマシンをできるだけ早く積み込まねばならない。しかし今回始まった検査の対象となれば、チームはFIAのスタッフが仕事を終えるのを待たなければいけないのだ。

「時間的な制限はない。深刻な問題があることが分かった場合、最悪のシナリオはチームに対して『申し訳ないが、終了するまでここに留まる必要がある』と言うことだ」

「もちろん、合理的に進められるように努める。我々は、チームが貨物便のフライトに乗り遅れることによって、世界を混乱させるようなことはしたくないのだ。もし問題が複雑すぎた場合には、それを箱に入れて封印して、後で確認するという選択肢もある」

「我々は時間制限を設けない。しかし我々は合理的であり、全ての人々のスケジュールを台無しにしないように努める」

 この検査は技術的な面が主になるが、コスト制限に関する情報をFIAに提供することにも繋がる。

「コスト上限とは関係なく、この作業を行なうことになる」

 トンバジスはそう説明する。

「このプロセスで我々が徹底的に行なうのは、マシンのパーツを記録することだ」

「チームはコストキャップにより、使用するパーツの在庫を宣言する必要がある。マシンには、15000ものパーツが使われる。その全部をチェックすることはできない。しかしチームが”これが我々のマシンのパーツである15000個だ”と宣言していれば、我々にもチェックを行なうことができる。ランダムに50のコンポーネントをチェックし、それがリストに含まれていることを確認する。基本的にはそのような形で、正当性を保つことになる」

 バーレーンGP終了後にこの詳細検査の対象となったのは、3位でフィニッシュしたボッタスのメルセデスであり、調査の焦点はサスペンションに当てられた。

 ただメルセデスは今回検査対象になったとしても、次のレース、もしくはその後のレースで、再び検査対象となる可能性がある。またFIAは、特別な理由が生じた場合には、検査対象となる2台目のマシンを選択する可能性があるとしている。

「我々は全てのレースでこの検査を行なう予定だ」

 そうトンバジスは語る。

「大きな問題が起きているレースや、気を散らされるようなレースが1〜2回あるかもしれない。それがないとは言えない。レギュレーションの観点から言えば、毎度やらなければいけないということではないが、それでも毎回やりたいと思っている」

「手順に慣れれば、必要に応じて検査対象のマシンを増やすこともある。またランダムな選択により15レースかそれくらい選ばれなかったマシンがあった場合には、それを追加してチェックすることもある。また、特定の疑いがあった場合には、追加で検査を行なう決定を下す場合もある」

「しかし、いつでもどのマシンでもチェックできるようにするために、ランダムで選出することは必要不可欠だ。したがって理論的には、同じマシンが5回検査を受けることになる可能性もある」

 

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