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レースレポート

スピン車両がビリヤードの如く上位陣を“一網打尽”……GTWCEのスタートで近年稀に見る多重クラッシュ発生。トップ10で無傷は2台だけ

モンツァで開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパでは、10台以上が絡む大規模な多重クラッシュが発生した。

Crash at the start

 イタリアのモンツァで行なわれたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCE)エンデュランスカップのレースでは、スタート直後の多重クラッシュでいきなり8台がリタイアに追い込まれ、その他にも多くの車両がダメージを受けてピットに向かうという大混乱が起きた。

 スタート直後、各車がコースいっぱいに広がってシケインに向けたポジション争いをする中、数台のマシンが接触してランオフエリアに。さらにその中の数台がイン側の芝生を滑りながらシケインを横切る格好となり、その時まさにシケインに進入していたトップ集団を丸ごと“撃墜”してしまった。

 プロカップのポールシッターで、先頭でターン1へと入っていったHRTフォード・レーシングのマスタングGT3 EVOは、ガレージ59のマクラーレン720S GT3 EVOに突っ込まれて大破。そのすぐ後ろを走っていた同じくHRTのマスタング(シルバーカップのポールポジション)も深刻なダメージを負った。そして接触が接触を生むような形で、多くの車両がビリヤードのように巻き添えを食らった。

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 この混乱により、実に全体の約4分の3もの車両がランオフエリアへと回避せざるを得なかった。グリッド3列目にいたウィンワード・レーシングの48号車メルセデスAMG GT3 EVOは幸運にもスピンするマシンを回避してエスケープロードへと脱出。トップ10の中で他にクラッシュから生き延びたのは、ブーツェンVDSの2号車ポルシェ911 GT3 Rのみだった。

 フェルスタッペン・レーシングの3号車メルセデスは軽い接触を受けて修理のためピットインし、リードラップから脱落。レース中盤でサスペンション破損によりリタイアしたが、チームは緊急ピットイン時に当該箇所をチェックしていたため、多重クラッシュの影響による二次損傷と推測される。また、バレンティーノ・ロッシがドライブするWRTの46号車BMW M4 GT3 EVOもクラッチトラブルでリタイア。この原因が多重クラッシュによるものか、別要因かは現時点では不明だ。

 この大混乱の発端となったのは、GetSpeedの17号車メルセデスをドライブしていたマキシム・マルタンではないかと指摘されている。彼は好スタートを切ったものの、前方のマシンに進路を塞がれる形でイン側のランオフエリアに逃げ、そこからコースに戻って隊列へ再合流した。それがAFコルセのフェラーリ296 GT3 EVOの急ハンドルに繋がり、アクシデントの連鎖を巻き起こしたのではないかという見解だ。

 しかしマルタン本人は誰とも接触していないとして、こう弁解している。

「何に文句を言っているのかわからない。自分は誰とも接触していない。マシンにも何ひとつ傷がないのに、責められているんだ!」

「確かに行き場がなくて少し右側のコース外へ出た。でも芝生に入る前に安全に隊列へ戻ったし、誰にも接触していない。みんなには申し訳ないが、これ以上は何も言えない」

 この一連のアクシデントにより、10台以上のマシンがダメージを受け、被害総額は数百万ユーロ(数億円)にのぼると見られる。

 
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