FIA初公認のドリフト選手権開催「最初の開催は50%満足」
FIA初の公認ドリフト競技「FIA Intercontinental Drifting Cup」が東京・お台場で開催。プロモーターは「満足度は50%」と語った。





東京・お台場の特設コースで、9月30日〜10月1日の2日間にわたり、FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ(FIA IDC)が行われた。このイベントは、ドリフトとしては初のFIA公認下で行われた国際格式のイベント。世界14カ国から24名の選手が参加し、単走及び追走でその腕を競った。
そんな中、初代総合優勝に輝いたのは、TOYO TIRES GLION TRUST RACINGの川畑真人だった。川畑は今週末に最終戦を迎えるD1グランプリでも、現在ランキング4位につける実力の持ち主。その力を、いかんなく発揮した格好だ。
2日間合計で2万人以上のファンが訪れた第1回のFIA IDC。このイベントの評価について、主催者であるサンプロスの代表である斎田功氏に話を訊いた。同社は永年D1グランプリを開催してきているだけあり、運営自体は手馴れたモノと言えるだろう。しかし初のFIA公認イベントとしては、様々な難しさがあったようだ。
「FIAの評価は、90%は満足いくところまでできたねというものでした。しかし私の中では、正直50%かなと思っています」
そう斎田氏は語った。
「やっぱり、少し噛み合わない部分がありました。我々がやってきたモノと、FIAが期待しているモノと、元々のクオリティが一致していなかったんです。今回はFIAのクオリティに合わせましたが、もっと早くディスカッションをすることができていれば、スタート段階から合わせることができたと思います」
「FIAは、コースに雑草ひとつ生えていないようにしようと言ったり、フェンスをまっすぐにしましょうと言ったり……そういう注意を払うんです。看板に少しでもゴミがついていたりしたら、せっかくのイベントが残念なモノになってしまうと。彼らにはF1などで培ったモノがありますから、そういう意味では勉強になりました」
そう語る斎田代表だが、競技レベルは日本の方が上だという。
「ホスピタリティに関しては、FIAの方がクオリティは高いです。でも、競技レベルは日本の方が遥かに上を行っている。その両方を組み合わせることができれば、ものすごく良いイベントになると思います」
初日には、FIAのジャン・トッド会長も来場し、イベントを視察していた。そして、上々の評価を下したという。
「ゆっくりは話せませんでしたが、面白いとは仰ってましたね。クルマが接近して走るのがとてもエキサイティングだと。簡単に言えば”事故寸前”にも見えるショーなわけで、誰が見ても面白いはずです。それをジャッジするには色々と複雑な部分もありますが、そういう意味も含めて、上々の評価をいただいています」
第1回目の開催だったということもあり、レギュレーションも統一されていなかった。それについて斎田氏は「今回はそれでいい」と語る。
「インターコンチネンタル・カップというのは、何年かかけて統一していくためのイベントなんです。バラバラのクルマが集まって、『今後こうしていきましょう』というディスカッションを何回か繰り返すうちに、規則が統一される。そういう形で作っていくんです。もちろん、将来的にはイコールコンディションにしていきます」
FIA公認となり、今後は世界進出も視野に入るIDC。しかし来年は再び東京で開催したいと斎田代表は語る。また、世界中の都市で開催するフォーミュラEなどとのコラボレーションも、視野に入っているようだ。
「我々はワールドプロモーターとして、FIAと複数年契約しています。だから、世界中のどこでやることもできます。ヨーロッパでも、北米でも、あるいは中国だっていい。でも、ドリフトは日本発祥ですから、最初の2年は東京でやった方がいいと思っています」
「正直、サーキットではこういう雰囲気は出せないでしょう。都心でやらなきゃ意味がないですし、それができるイベントだと思っています」
「そういう意味では、フォーミュラEとコラボレーションしたいですね。ベクトルが逆を向いているように見えるかもしれませんが、一緒なんですよ。ドリフトもどんどんハイブリッド化、EV化していくと思います。でもEVはトヨタさんと日産さんが作りましたけど、まだパワーが及ばないです。ドリフトはまだ発展途上ですから、煙がいっぱい出て、ガソリンをいっぱい使うことも許されると思います。でももうしばらくすると、ハイブリッド主流になるでしょうね」
また今回来日した海外の選手たちについても言及。現時点では、シリーズがしっかりと整備されている日本人選手に分があるものの、将来的には勢力図が逆転する可能性もあると示唆した。
「正直、今回来る選手たちが、どんなレベルなのかは分かりませんでした。でも、思ったよりうまいなと思いました。日本は、あっという間に追い越されてしまうかもしれません」
「ドリフトは、日本だからとか、クルマがどうだとかいうことはあまり関係なく、駆け引きがあるんです。だからうまいドライバーは、すぐに上位に上がってくると思います。そういう意味で、今回は経験を積んでいる川畑選手が強かったのは、必然かもしれません」
最後に斎田代表は、1回目の開催を振り返って次のように語った。
「まずは事故なく、楽しく終わらせるというのが目的でした。それを、常に私の方針としてやっています。それが終わった段階で、クオリティを上げていく作業に繋げたいと思います」
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この記事について
シリーズ | D1グランプリ |
イベント | FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ |
執筆者 | 田中 健一 |