【ダカール】サインツSr.のルール変更への”不満”を退けるトヨタ勢
トヨタのドライバーたちは、今年のダカールでプジョーにとって不公平なルール改正が行われたというカルロス・サインツSr.の指摘を退けた。


















2017年、ダカールラリーのレギュレーションが変更され、ディーゼルターボエンジンを搭載しているプジョーの3008DKRはリストリクターが1mm小さくされたのに対し、ガソリンエンジンを使っているトヨタのハイラックスは逆にリストリクターを2mm大きくすることができた。
ダカールラリーが開幕すると、トヨタのナサール・アル-アティヤがダカールラリー初日の39kmと短いオープニングステージを快調に飛ばしてトップに立った。その日のステージ後に、プジョーのカルロス・サインツSr.は、アル-アティヤのパフォーマンスはトヨタがプジョーよりもアドバンテージを与えられた証拠だと語った。
関連:サインツSr.「今年プジョーに不公平な規制変更がされた」
しかし2日目のステージではプジョーのセバスチャン・ローブがアル-アティヤに対して1分半の差をつけてトップに浮上。その後トヨタのドライバーたちは揃って、プジョーがルール変更によって不当に扱われていないことは明らかだと主張した。
サインツのコメントを聞いたアル-アティヤは「多くのドライバーが、このことについて口数が多すぎる。セブ(ローブ)は1分30秒もリードしている。ご存知の通り、レギュレーションが助けにならなかったにも関わらずね」とmotorsport.comに答えた。
「みんな知っている通り、プジョーは速い。僕はトヨタよりも速いと確信しているけど、大丈夫だ。僕たちは1日1日をベストを尽くそうと努力している」
2日目終了時点でサインツのすぐ後ろ、総合4位につけていたジニール・デ・ヴィリエは、チームメイトのアル-アティヤの意見に同意した。
「なぜ彼(サインツ)がそんなに不満を述べているのかわからない」とデ・ヴィリエはmotorsport.comに語った。
「(レギュレーションの変更で)すべてのマシンが同じサイズ(38mm)のリストリクターを備えている。すべてのエンジンが同じサイズの穴を通じて”呼吸”しているんだ。考えうる限り、それが最も公平だと僕は思う」
「ディーゼルの技術は現在とても優れているので、ガソリン車よりも大きいリストリクターにする理由などない。僕から見れば、全員が同じ(サイズの)リストリクターを装備するのが公平だ」
2日目終了時点で全体5位だったトヨタのナニ・ローマは、リストリクターの調整はコースの標高が平均的に高い2017年のダカールラリーにおいて、パフォーマンスを平均化することを目的としていると言及した。
ローマは次のようにmotorsport.comに語った。
「彼(サインツ)が僕たちの4秒前、アル-アティヤの20秒後ろでフィニッシュしたことに不満を言っていたとしても、去年のようにレースをしたら(ギャップは)2分になるだろう……」
「昨年彼らはとても落ち着いていた。敵なしの状態で、勝ちたくない人なんているだろうか? しかし今は僕たち全員がトップを争っている。悪くないと思うよ」
「結局このルールは、標高が平均2000mになる今回のレースのためのものだ。残りのステージで、僕たちがどの位置にいるのかを確認するのが重要なんだ」
デ・ヴィリエは、次のように付け加えた。
「プジョーのマシンは僕たちのものよりもまだ400kgも軽いため、高地ではパワー・ウェイト・レシオで彼らに追いつくのは難しいだろう。間違いなく、現時点で僕たちにとってはとても良い感じだ。僕たちはこれから山を下りて行くんだからね。素晴らしい戦いが見られると思う」
「ローブは今日とてもうまくいっていたし、すごくプッシュしてステージ優勝を果たした。でも、6分や7分も離されているわけではないので、それは良いことだ」
2日目のステージがローブとプジョーに合っていた
しかしながら、アル-アティヤとデ・ヴィリエは2日目のローブのアドバンテージのうち大部分が、マシン性能以外の他の要素によるものだと指摘した。
アル-アティヤは、初日にローブが6位にとどまった一方でアル-アティヤがステージを制した事実を指摘した。
「スタート順に違いがあった。(2日目)僕らは最初にスタートし、時々道がどこにあるか確認しなければならなかった。彼(ローブ)は良いポジションを得ていたんだ」とアル-アティヤは語った。
「しかしそれは大丈夫だ。これも計画のうちだ。昨日はステージ優勝し、今日は最初に(ステージを)スタートした。明日は2番目にスタートするし、少しプッシュする計画だ。全てがうまくいっている」
「僕はマシュー(バウメル/アル-アティヤのコ・ドライバー)をすごく信頼している。明日(3日目)はセブが道を切り開けるかどうか、見てみよう」
一方デ・ヴィリエは2日目のタイム計測区間のレイアウトが3008DKRに合っていたと主張した。
「確かに、プジョーに適したステージだった」
「まっすぐで、非常に速いステージだった。最初の部分は、路面がすごくすごくデコボコだった。そのような状況は、2輪駆動車に適している。それがローブが勝った理由だ」
しかしダカールラリー3日目に、状況は大きく変わってしまった。2日目終了時点では、プジョーとトヨタは激しい戦いを繰り広げていくと予想されていたものの、3日目はトヨタにとってトラブルが相次ぐ最悪の日となり、トップ10に残ったのは総合5位のナニ・ローマのみ。3日目の走行途中でトップに立っていたアル-アティヤは、クラッシュによってホイールを大破し、トップから2時間以上遅れてしまった。
結局3日目終了時点でプジョーがトップ3を占めており、ルール変更に対するサインツの不満は鎮まっていくことだろう。
Additional reporting by Sergio Lillo
【関連ニュース】
この記事について
シリーズ | Dakar |
イベント | Dakar 2017 |
ドライバー | Carlos Sainz , Giniel de Villiers |
チーム | Peugeot Sport |
執筆者 | Valentin Khorounzhiy |