Dakar Dakar

ダカールラリーに根付く助け合いの精神。2輪ライダー、”ホイールのみ”で100km走行もライバルの助力で無事ステージ完走

毎年様々なストーリーが織りなすダカールラリー。2023年大会のステージ5では、ダカールラリーを象徴するような出来事が起こっていた……。

#50 Marcic: Simon Marcic

 サウジアラビアを舞台に2022年12月31日~2023年1月15日にかけて開催されているダカールラリー2023。大会6日目に行なわれたステージ5では、バイク部門に参戦しているシモン・マルチッチ(チーム・マルチッチ)に、競技者がお互いに助け合いながら完走を目指すダカールならではの出来事が起こっていた。

 総距離645kmとなるハイルのループステージで、スロベニア出身のマルチッチの駆るハスクバーナ『FE RALLYレプリカ』のリヤタイヤにトラブルが発生した。

 しかしマルチッチはラリーを続行すべく、ホイールむき出しの状態で走行を継続。砂の上で推進力を得るために、結束バンドをリヤホイールに巻きつけるという工夫によって60km/hまで速度を上げることができ、マルチッチは「それほど悪くなかった」とビバークで振り返っていた。

 

 そうした状態で100kmを走破したマルチッチだったが、給油を行なっている際に救いの手が差し伸べられる。エンジントラブルによって走行を継続できなくなった趙宏義(五堡大海道ラリーチーム)は「ダカールはダカール。何が起こるか分からないモノだ」として、リヤタイヤを提供したのだ。

 趙の助力によりステージを完走したマルチッチは、次のように語っている。

「僕はタイヤの中のムースに大きな問題を抱えて、100kmをホイールのみで走ることになった。本当に厳しかったよ」

「幸いにも、エンジントラブルを抱えていた別の競技者がタイヤとホイールを貸してくれた。彼はリタイアすることになってしまったけど、僕は彼のタイヤを使ってフィニッシュすることができた。でなければ、僕の到着は日付を越えていただろうね」

 ビバークでマルチッチは借りたタイヤとホイールを返却。むき身のまま酷使されていたホイールは、細かい砂によって再利用ができないほどリム部が鋭利に研がれていた。

 
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