ライダーと2度接触のド・ヴィリエール、殺害を予告する脅迫メッセージを受ける「実に腹立たしい」
トヨタのジニエル・ド・ヴィリエールは、今年のダカール・ラリーで2件の接触事故を起こした後、殺害を予告する脅迫メッセージを受け取ったことを「腹立たしい」と語った。
トヨタから2022年のダカール・ラリーに参戦しているジニエル・ド・ヴィリエールは、2回にわたってバイクと接触事故を起こした。この事故の後、ド・ヴィリエールには、殺害を予告する脅迫メッセージがSNSで寄せられたという。
これについて当のド・ヴィリエールは、腹立たしいことだと語った。
ド・ヴィリエールは、月曜日に行なわれた第2ステージで、チリ人ライダーのセザール・ズマランと接触。5分のタイム加算ペナルティを受けた。またこれと同じ日にド・ヴィリエールは、モロッコ人ライダーのモハメドサイド・アラウド・アリの転倒したバイクを避けられず、乗り上げるような形になってしまった。
アリとの接触に関しては、ド・ヴィリエールがマシンの購入費用と2023年のダカール・ラリーの登録費用を支払うことで和解が成立。しかしFIAのスチュワードは、ド・ヴィリエールのライダーとの接触は「安全ではない」行為だったとして、5時間のタイム加算ペナルティを科した。
この裁定に関してはトヨタが抗議。マシンに送られていた信号は適切ではなく、さらにド・ヴィリエールはバイクを壊したものの、ライダーとの接触は避けたことを考慮し、ペナルティが撤回することになった。
ただド・ヴィリエールには事故後、殺害などを予告する脅迫メッセージが、SNSで寄せられたという。
「ソーシャルメディアでの暴言や殺害を予告する脅迫は、信じられないほどだった」
ド・ヴィリエールはそうmotorsport.comに対して語った。
「そういうのを経験したのは初めてだ。それは本当に、楽しいと言えるようなモノではなかったと言わねばならない」
「基本的には、状況を知らない人たちから寄せられたモノだ。彼らはここにはいない。彼らは自分の家で、真実を知らないのに何かについて簡単にコメントすることができる。でも、こういうのを見るのは、実に腹立たしいことだ」
「でもそういう観点から言えば、僕らを支えてくれる人もいるというのを嬉しく思う」
「僕らは、バイクに乗り上げないように最大限の努力をしたんだ。砂丘では、その向こうに誰かがいるのを知るのは、実に難しい。残念ながらね」
「当初、調査は適切に行なわれていなかった。でも良かったのは、ペナルティが撤回され、今すぐラリーに戻ることができるということだ」
ド・ヴィリエールは、今回のような事故が起きるのを避けるために、安全基準を変更することができるはずだと語った。
「砂丘があるコースを、バイクとクルマが一緒に走るような時は、非常に難しい。まだまだ、安全性を改善するよう努めなければいけないと思う」
そうド・ヴィリエールは語る。
「僕のマシンのセンチネル(車両間コミュニケーション)システムも、正しく機能しなかった。ステージ1の最初から、不具合を訴えていたんだ。ステージ1の序盤に、12分遅れた。そしてシステムは正しく機能していなかった。アラームが聞こえることもなかったんだ」
「2日前に、ようやくそれを修正してもらった。そしてシステムが適切に機能していなかったことがわかった。そういう状況では、どんな警告も受け取ることができなかったんだ」
「砂丘の後ろにいる彼(アリ)の姿は見えなかったから、本能的に彼を避けられたのはとても幸運だった」
「でも最も重要なのは、接触したふたりが元気であるということだ。僕はふたりのライダーと話した。彼らはとても良い人たちだよ。僕は起きたことについて、完全に謝罪した」
「最初に接触したライダー(ズマラン)は、今もラリーを続けている。彼とも話し、状況を完全に理解してくれた」
「そしてふたり目(アリ)は、バイクが損傷してしまったので、ラリーを続けることができなかった。それは気の毒だと思う。僕らは来年に向けてバイクを修理し、間違いなく走れるようにする。エントリー代も僕らが支払う」
「彼は今年が、初めてのダカール・ラリーだ。そして完走するという経験をすることはできなかった」
「僕らは僕らの側から状況を正し、彼が来年も間違いなくダカールに来るチャンスを与えたいと思う。それが、僕らにできる最低限のことであり、ダカールの精神にも基づいているはずだ」
「でもこの数日に起きたこと(脅迫など)は、ダカールの精神にはない。それは残念なことだ。僕らはそれを乗り越え、集中しようとしている」
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