混沌のDTM……レッドブル陣営、ADACによる買収に伴いシリーズ撤退へ。ゲルハルト・ベルガー離脱もトリガーに
Motorsport.comの姉妹サイトMotorsport-Total.comは、ドイツ自動車連盟(ADAC)によるドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)買収を受け、レッドブルが2023年のシリーズ参戦を断念したことを報じた。
写真:: Alexander Trienitz
ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)に2021年シーズンから参画していたレッドブルが、2022年限りでシリーズから撤退するとMotorsport.comの姉妹サイトMotorsport-Total.comは報じている。
レッドブルは以前、AFコルセと共に2台の新型フェラーリ『296GT3』を投入し、2023年もDTMに継続参戦する計画に同意していたが、DTMを運営してきたITRがドイツ自動車連盟(ADAC)にシリーズを売却。それがレッドブルの参戦計画に心変わりを招くこととなった。
結果として、レッドブルのDTMプログラムはわずか2年で幕を閉じることとなった。
ITRで代表を務めた元F1ドライバーであるゲルハルト・ベルガーは、長い繋がりを持つレッドブルをシリーズに誘致する上で中心的な役割を果たしてきたが、ADACへのDTM売却によって2023年以降はシリーズ運営に関与することはなくなる。そうした背景を考えると、レッドブルのDTMプログラム廃止も驚きではない。
オーストリア人のベルガーは、レッドブルが初めてスポンサーを務めたアスリートであり、2006年から2008年にかけてはトロロッソ(現アルファタウリ)の共同オーナーを務めていたのだ。
実際、ベルガーは直近のインタビューで、DTMの代表や運営から離れることで、レッドブルのDTMプログラムが終わりを告げるかもしれないとほのめかしていた。
「レッドブルとは、約40年に渡るパートナーシップを通して私という人間と非常に深い繋がりがある」とベルガーは言う。
「だから、そうなる可能性もある。ただその判断は、今はレッドブル次第だ」
Nick Cassidy, AF Corse Ferrari 488 GT3 Evo
Photo by: Alexander Trienitz
今回、レッドブルがシリーズ撤退を決めたことで、チームの運営を行なうAFコルセも2023年のDTMには参戦しないこととなる。レッドブルのDTMプログラムでは、レッドブル側が資金とドライバーを提供していたのだ。
そのため、2022年シーズンのドライバーを務めたニック・キャシディとフェリペ・フラガのDTM継続参戦の見込みはなさそうだ。
キャシディはすでにエンビジョン・レーシングからフォーミュラEに参戦中。豪スーパーカーの強豪であるトリプル・エイト・レース・エンジニアリングと共にバサースト・エンデューロに参戦する可能性もある。
またキャシディがAFコルセから再びFIA世界耐久選手権(WEC)のLM-GTE Amクラスに参戦する可能性も否定できない。
「DTMに参戦することが可能なら、ぜひ参戦したい」
キャシディはドイツのranに対してそう語った。
「ここでは素晴らしい時間を過ごせたし、力をつけることもできた。でも来年はムリだと思う」
一方、フラガは北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権(IMSA)でシートを獲得することを望んでいる。ここ数ヵ月は2022年のDPiクラスでタイトルを獲得したメイヤー・シャンク・レーシングでトム・ブロンクビストと共にテストを行なったものの、2023年からIMSA最高峰クラスとなるGTPクラスに投入されるアキュラ『ARX-06』のシートはコリン・ブラウンに渡った。
なお、自動車メーカーの相次ぐ撤退により2021年からGT3規格車両で争われるシリーズとなったDTMだが、新オーナーとなるADACも同じくGT3規格のGTマスターズを運営している。買収時にはドイツにおけるスポーツカーレースの構造改革を行なうと示唆しており、両シリーズの将来が注目されている。
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