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コラム

ランボルギーニの新型テメラリオGT3、DTMでは惨憺たるデビューに。性能に深刻な疑問……「11月の時点で分かっていた」とボルトロッティ

ランボルギーニ・テメラリオGT3は、DTMでのデビュー戦で悲惨な結果に終わった。そのため、一時撤退させるべきではないかという声すら挙がっている。

Mirko Bortolotti, Team Abt Sportsline Lamborghini Huracán EVO GT3

 ランボルギーニがウラカンGT3の後継機として投入した新型車両テメラリオGT3。3月のIMSAセブリング12時間でデビューを飾ると、先日オーストリアのレッドブルリンクで行なわれたDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の開幕戦にも4台がエントリーしたが、惨憺たる結果であった。

 前年のDTMでは、ウラカンGT3を駆るランボルギーニ勢が最終戦までタイトル争いを演じていた。しかしダブルヘッダーで行なわれた今回の開幕ラウンドでは、事実上の最後尾を走ることになった。

 日曜日のレースでは、ランボルギーニのトップドライバーであるミルコ・ボルトロッティをもってしても、37周を走ってトップから36秒遅れの16位。これが陣営の最上位だった。BoP(性能調整)で性能がある程度均一化されるはずなのにもかかわらず、1周あたり1秒の差をつけられたのだ。トップレベルのGT3ドライバーとは言い難いニコラ・バートが乗るアストンマーティンにも、1周あたり約0.6秒遅れていた。

 こういった結果は、テメラリオの競争力やランボルギーニのプログラム体制に深刻な懸念を抱かせるものだった。さらに組織内での責任の所在も不明確であり、アウディ傘下のランボルギーニ内部の混乱も現状の不振の一因と見られている。既にパドックでは、問題が山積しているテメラリオGT3にラマやドロメダリ(ヒコトブラクダ)をもじった「ラマギーニ・ドロメダリオ」という蔑称が生まれてしまっている。

解決策は少ない

 ボルトロッティも、ライバルとの差は「とてつもなく大きい」としつつ、今回のレースはこれでもましな方だったかもしれないと話している。開催サーキットのレッドブルリンクはストレート区間が多く、メカニカルグリップの不足というマシンの最大の弱点をある程度隠してくれたからだ。また約40度に達した路面温度や、早く温まる新DTMタイヤも追い風となっていた。

 もしDTMの開幕戦が例年通りテクニカルコースのオッシャースレーベンで行なわれていたら、もっと悲惨な結果になっていた可能性が高い。テメラリオはサスペンション由来のメカニカルグリップ不足により、ブレーキングやターンインでの不安定さを抱える。さらにABSやトラクションコントロールといった制御系も未成熟で、ベースのセットアップすら確立されないままチームへデリバリーされた。

 特に懸念されるのが、この状況が長期化する可能性。第一にFIAのホモロゲーションによって開発が凍結されており、DTM自体も厳しいテスト制限が敷かれている。そのためランボルギーニは一度テメラリオを撤退させ、2026年は再びウラカンで参戦しつつ裏で開発を進めるべきだという見方もある。これは短期的には面目を失うが、長期的な失敗を避ける意味では合理的だ。

 ランボルギーニのプログラムに詳しい関係者に言わせれば、この状況を救うにはEvoバージョンを投入するほかないという。しかしFIAの規則では、安全性への懸念の対処でない限り、アップデートは2年間認められない。つまり2028年まではEvoに切り替えられない。

Jordan Pepper, Grasser Racing Team Lamborghini Huracán EVO GT3

Jordan Pepper, Grasser Racing Team Lamborghini Huracán EVO GT3

Photo by: Markus Toppmöller

 また、さらなるBoP調整で救ってもらうというのも現実的ではない。テメラリオはすでに最低重量に近く、車高も限界まで下がっている。過給圧を上げることは可能だが、最高速が上がればその分さらに早くブレーキングをしなければならず、実質的なメリットは少ない。今週末の土曜日から日曜日にかけてもBoPが調整されたが、これは上記の点を改めて浮き彫りにした。

戦闘力不足は昨年の段階で把握

 ランボルギーニの責任者たちが、この状況にどう対処すべきか完全には理解していないという見方もある。ある関係者は「改善には人材もノウハウも不足している」と指摘する。

 そのため、半年以上前から問題が明確だったにもかかわらず、大きな改善が見られていないのだ。ボルトロッティも、「このマシンは理想とは程遠い状態だが、それは11月の時点で分かっていた」と語っている。

 ファクトリードライバーたちは昨年10月にポール・リカールでテメラリオGT3の初テストを行なったが、すぐに懸念を表明したと言われている。今年3月にヴァレルンガで行なわれたDTMのテストでも同様の問題が確認されたが、決定的な対策は取られなかった。

 なぜこのような事態となったのか? ランボルギーニのモータースポーツ部門は比較的小規模だが、開発中に人事の混乱に見舞われた。元責任者のジョルジョ・サンナが内部調査後に退任し、その後も体制が不安定となっている。

 技術責任者のルーベン・モーアはアウディでより広範な役職を担うようになり、リーダーシップに空白が生じた。新責任者のアンドレア・レッジャーニは4月に就任したばかりで、問題の全容把握に努めている段階だ。

 問題はブランドイメージの毀損や、カスタマーチームに購入希望者がどれだけ現れるか、といったものだけではない。現在テメラリオで参戦しているグラッサー・レーシングやアプトの将来も、結果を求めるスポンサーに依存しているため危ういのだ。

 最終的にはDTM全体にも影響が及ぶ可能性がある。メルセデスAMGと並び、ランボルギーニは2チーム4台体制を敷く数少ないメーカーのひとつ。もし撤退すればグリッドはわずか17台に減少する。これはトップレベルのGT3選手権としては深刻な事態となり得る。

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