【ニュル24h】トラブルで無念のリタイア、スバル WRX STIはかく戦えり

クラス3連覇を狙い、専用モデルを投入しニュルブルクリンク24時間レースに臨んだスバルSTI。その戦いを追った。

 2017年のニュルブルクリンク24時間レース(以下、ニュル24時間)には最高峰クラスのSP9クラスに数多くのワークスチームが参入し、最新のGT3を投入。既報のとおり、激しいバトルが展開されていたが、その一方で、日本人の注目を集めていたのがSP3Tクラスにほかならない。

 というのも、2000cc以下のターボ車両で争われる同クラスには日本から2つのメーカーがワークスチームとしてエントリー。その日本チームの一騎打ちが注目を集めていた。

 そのうちのひとつが、スバルのワークスチーム「STI」で、ニュル24時間の専用モデル「スバルWRX STI NBRチャレンジ2017」を投入。ドライバーの顔ぶれも山内英輝、カルロ・ヴァンダム、マルセル・ラッセー、ティム・シュリックと経験豊富なスペシャリスト揃いで2017年の大会に参戦していた。

 2008年よりニュル24時間に正式参戦を開始したSTIにとって2017年の大会は参戦10年目のメモリアルイベントにあたる。加えて2015年、2016年の大会を制した同チームにとっては3連覇のかかるイベントで、「事前に行われたQFレース(予選レース)では、排気系のトラブルでリタイアしましたが、その後は対策を実施して、事前にテストで確認するなど万全の準備を行ってきました。節目の大会になるのでどうしても勝ちたい」と菅谷重雄監督は語った。

 実際、STIが用意した2017年型モデルはエアロダイナミックスを改良するほか、材料置換による軽量化とマスの集中化および低重心化を追求。さらにパドルシフトを初めて投入するなどマシンの熟成に余念がない。この結果、2016年モデルに対して2017年型モデルはラップタイムが4秒も向上した。

「高速コーナーでの安定感が増しました」と山内、「パドルシフトのフィーリングが素晴らしい。よりスムーズなドライビングができるようになった」とマルセルが語るようにドライバーからの評価も高いだけに、STIの躍進が注目を集めていたのだが、厳しい戦いを強いられることとなった。

  STIに立ちふさがったのは、例年以上に上昇した気温だった。通常、5月末のニュルブルクリンク周辺は、朝夕は肌寒く、日中は暖かいのだが、2017年のレースウィークは真夏のようなコンディションのなかで各プログラムがスタート。525日の夜に行われた1回目の予選でSP3Tクラスのベストタイムをマークしたものの、「クルマもタイヤもオーバーヒートぎみでした」と山内が語るように翌26日の午前中に行われた2回目の予選では3番手に失速している。

 さらに527日の1530分に幕を開けた決勝も1550分に1回目のピットインの際に「原因はわかりませんが、温度の上昇に起因するトラブルだと思います」と菅谷監督が語るようにエンジンが再始動できないトラブルが発生。なんとか3番手でレースに復帰するものの、このトラブルで数分のタイムロスを強いられることとなった。

 それでも夜半を迎えると気温の低下とともにペースアップを果たすほか、ライバルのリタイアにも助けられ、スタートから6時間後にはSTIは2番手に浮上している。

 その後もSTIはコンスタントな走りを続けていたのが、28日の早朝6時に他車と接触。幸いマシンはすぐに修復し、レースへ復帰するものの、このアクシデントで再びクラス3番手に後退することとなった。

 それでも懸命に追走を続けるSTIだったが、スタートから21時間を経過した28日の1235分、予想外のトラブルは発生している。エンジン房内から出火したことから、マシンはストップ。レースをリタイアすることなった。

 まさにSTIにとっては予想外の結末となったが、菅谷重雄監督は「残念なリザルトですが、ドライバーやメカニックは良くやってくれました。これでプロジェクトが終わったわけではないので、この経験を次のチャレンジに生かしたい」と語っているだけに2018年のリベンジに期待したい。

取材・執筆/廣本泉

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この記事について
シリーズ Endurance
イベント名 24 Hours of Nürburgring
サーキット ニュルブルクリンク
記事タイプ 速報ニュース