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企画『eスポーツを知る』第1回:今さら聞けない“eレーシング”の世界

新型コロナウイルスの流行によりモータースポーツの中止が相次いでいる中、“eスポーツ”がこれまで以上に注目を集めている。eスポーツとは何を指すもので、どういったレースが行なわれているのか? 今さら聞けない基礎知識をおさらいする。

GT World Finals

GT World Finals

Gran Turismo via Getty Images

 近年、eスポーツが脚光を浴びている。eスポーツにはモータースポーツも含まれているらしい。新型コロナウイルス蔓延を受けて開幕が延期されたF1が代替レースを『F1・eスポーツ・バーチャルGP』として開催することにしたのは記憶に新しいところだ。

 しかし、eスポーツとは何かについて正確に知る人は決して多くない。そこで改めて、モータースポーツとeスポーツの関係について確かめておこう。

 一般にeスポーツと呼ばれるのは、家庭用ゲーム機で動くいわゆるTVゲームを用いた競技である。eスポーツのゲームには様々なものがある。たとえば襲いかかってくる敵を銃で射撃するシューティングゲームや、対戦相手を現実離れしたワザで打倒するファイティングゲームなど、現実にはありえない状況の中で勝敗を競うものもあれば、野球やサッカーなど現実に存在する競技を再現して勝敗を競うものもある。

 これらの競技は、基本的にディスプレイの中に作られるバーチャル(仮想)空間の競技者を、ゲーム機に付属したコントローラを用いて操作して進められる。eスポーツに否定的な人々が主張するのは、“スポーツ”と言いながら結局はゲームのコントローラを指で操作するに過ぎず、単なる“ゲーム”と何が違うのか、という点である。

 確かに、現実には存在しない競技はもちろん、実在のサッカーや野球であったとしても、eスポーツプレイヤーはボールを蹴るわけでもバットを振るわけでもなく、結局はTVゲームのコントローラを操作するだけで、肉体的には“スポーツ”とほど遠い運動しかしない。

■リアルとバーチャルが極めて近い、それがモータースポーツ

企画『eスポーツを知る』

企画『eスポーツを知る』

Photo by: Makoto Ogushi

 ところがモータースポーツの場合、少々状況が異なる。市販されているステアリングとペダルがセットになった専用コントローラを用いると、現実のレーシングカーとほぼ同じ操作でバーチャル空間にあるレーシングカーを走らせることができるからだ。eスポーツプレイヤーがTVゲームの中でレーシングカーを走らせライバル車と闘う時、彼らはほとんどリアルのレーシングドライバーと同じ動作をすることになる。eスポーツと呼ばれるゲームは数多くあるが、リアルとバーチャルの操作性がきわめて近いのがモータースポーツゲームの特徴なのだ。

 リアルのモータースポーツ業界ではeスポーツが発展する以前から、レーシングカーの操作と動きをコンピュータの中で再現して解析やトレーニングを行なう施設、いわゆるシミュレータが普及しリアルなレースに少なからぬ影響を及ぼす時代を迎えていたのはご存じの通り。シミュレータがリアルのモータースポーツに役立ったのは、リアルとバーチャルの操作性がきわめて近かったからである。

 言い換えるならばモータースポーツの場合、いわゆるTVゲームがシミュレータの域まで進化した結果、それを複数繋ぐことでひとつのレースができるようになってeスポーツが成立したということになり、eスポーツとの関係は他の競技とはいささか異なることになる。そういう意味で、モータースポーツはeスポーツの中でも特殊な位置づけにあるので、特に区別してeレーシングとかSIM(シミュレータ)レーシングと呼ばれることが多い。

 eレーシングで用いられるレースゲームには様々なものがあるが、FIA公認のシリーズ戦で使われるグランツーリスモSPORT(以下GTS)はその代表格だ。GTSはプレイステーション4で稼働するゲームで、基本的には2つの使い方がある。

 ひとつは、ゲームの中でコンピュータがAIを用いて走らせるいわゆる“敵車”とレースをするスタンドアローンモード、もうひとつはインターネットを介して実在のユーザーとレースをするオンラインモードである。かつて家庭用ゲーム機は家庭の中だけで完結するスタンドアローンモードでしか機能しなかったが、対戦相手がコンピュータでは“競技”にはならない。しかし、インターネットが普及して全世界の家庭用ゲーム機が繋がるようになったおかげで、オンラインモードを使い実在の対戦相手と勝敗を競うeスポーツが急激に発展したのである。

 家庭用ゲーム機を所有する一般ユーザーがオンラインレースに出場するのは難しい話ではない。たとえばGTSの場合、ほぼ10分おきに何らかのオンラインレースが開催されており、出場できる車種やレースが行なわれるサーキットは定期的に更新される。インターネットに接続しレースにエントリーすると、同じ時間帯にエントリーしてきた他のユーザーと自動的な組み合わせが行なわれ、20人前後のグループ毎にレースが始まる。対戦相手は日本国内だけではなく、アジア・オセアニア地区から接続してきたユーザーである。

■FIA公認大会で、世界中の猛者が競い合う

GT World Finals

GT World Finals

Photo by: Gran Turismo via Getty Images

 また、オンラインレースにはFIA公認のFIAグランツーリスモ選手権も含まれており、これはシーズン中ほぼ3日おきに開催される。家庭でインターネットに接続しシリーズにエントリーした段階で、世界中から集まった約4千人(現時点)のプレイヤーが世界一を競う巨大選手権の参加選手となり、自分の戦績はその場でランキングされ、世界で何位かが示される。

 FIAグランツーリスモ選手権ではレース毎に選手権ポイントが与えられ、成績上位者にはシリーズチャンピオンを決めるワールドツアー参戦権が与えられる。ワールドツアーは世界中から選抜された成績上位者約30名が特設会場に集結して戦う特別なレースで、世界を転戦するシリーズになっており、最終戦でシリーズチャンピオンを決定する。昨年のチャンピオン決定戦はモナコで開催され、ドイツのミカエル・ヒザル選手が2代目チャンピオンとなった。初代チャンピオンはリアルのレースでも注目を浴びつつあるブラジル選手イゴール・フラガである。

 GTSを使った同様の大会はインターネット上で多数行なわれている。昨年の岡山国体に続き、今年のかごしま国体でも国体・文化プログラムとして大会が開催されるほか、TOYOTA GAZOO RACINGはワンメイクレース『GR Supra GT Cup2020』を開催するなどその幅が広がっている。もちろんこれらにも簡単にエントリーして参入できる。

 家庭用ゲーム機と専用コントローラさえあれば、インターネットに接続するだけでレーシングカーもガレージも用意することなく、サーキットへ出かけないでも本格的なレース経験が出来る。 これからの時代、『もうひとつのモータースポーツ』の場としてeスポーツ=eレーシングはますますその存在感を増していくことになるだろう。

 

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