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企画『eスポーツを知る』第2回:急速に進む4輪モータースポーツとの“融合”

新型コロナウイルスの流行によりモータースポーツの中止が相次いでいる中、“eスポーツ”がこれまで以上に注目を集めている。eスポーツ界は近年、4輪モータースポーツ界と深い関わりを持ち始めている。

Lando Norris drives a lap of the Interlagos circuit on his home simulator

Lando Norris drives a lap of the Interlagos circuit on his home simulator

Sam Bloxham / Motorsport Images

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 リアルの世界でF1グランプリを戦うチームと、バーチャルの世界で競うeスポーツは実は非常に近い関係にある。前回も解説したように、他のスポーツに比較して4輪モータースポーツの場合、リアルとバーチャルの操作性が極めて似ているからだ。

 今、主要なレーシングチームは規模の大小こそ違えど、ほぼシミュレータ施設を持っている。実際にレーシングカーをサーキットへ持ち込んで走らせる機会は限られている上に手間もコストもかかるので、実際の走行を行なう以外の時間はシミュレータを使ってバーチャルの世界でレーシングカーを走らせ、ドライバーのトレーニングやマシンのセッティングを進め、時間を有効に使うためだ。

 有力なF1チームは、実戦部隊と別にシミュレータチームを持っており、実際のグランプリウィークは実戦部隊が現場でマシンを走らせるのと並行して、ファクトリーではシミュレータチームがバーチャルのマシンを走らせ、セッティングを進めるという。たとえば金曜日現場でプラクティスが終わった後、シミュレータチームは翌日の走行セッションまでバーチャルマシンをシミュレータで走らせ、セッティングを進めて土曜日の走行開始に備えるのだ。

 このように、eスポーツブーム以前からバーチャルを使いこなしているF1チームは、eスポーツに抵抗なく接近した。2017年、F1公式ゲームを利用したシリーズ戦、『F1・eスポーツシリーズ』が始まり、現在はフェラーリやマクラーレンなど主要F1チームが参加している。今年、新型コロナウイルスの蔓延を受けてリアルのF1シリーズの開幕が延期になり、代替イベントとして開催されることになった『F1・eスポーツ・バーチャルGP』はこのシステムの延長上にある。

 こうした動きの中でも積極的なのはマクラーレンで、eスポーツを活用して若き才能を見つけるべくeスポーツプログラム『マクラーレン・シャドウ・プロジェクト』をスタートさせるとともに、独自にeスポーツイベントを開催している。ここで発掘された有力選手をシャドウ・プロジェクトに起用、現実のF1レースの現場訪問や実戦用シミュレータでのテスト走行などの機会を与えるという仕組みだ。マクラーレンはバーチャルとリアルにおけるドライビングスキルを同等のものと考え、eスポーツから新しい才能を発掘する試みに着手したと言える。

 FIAグランツーリスモ選手権の初代世界チャンピオンとなったイゴール・フラガは、シャドウ・プロジェクトに起用されてシミュレータでのテストを経験したeスポーツプレイヤーのひとりである。彼によると、マクラーレンのファクトリーに呼ばれ、シミュレータで実戦レベルのテストを経験し、シミュレータ専任ドライバーよりも好成績を収めてきたようだ。ただし実戦用シミュレータには機密事項が多いようで、詳細を語らないところをみるとまさにF1グランプリの最前線に触れてきたということなのだろう。

■高まるeスポーツプレイヤーの“価値”

F1 eSports 2017

F1 eSports 2017

Photo by: Motorsport.com Turkey

 これまでeスポーツには消極的だったフェラーリも、「将来的にはeスポーツが、FDA(フェラーリ・ドライバー・アカデミー)での才能を発掘する場になる」と位置づけ、その方針を急転換させた。FDAは2009年に設立されたフェラーリのドライバー育成プログラムで、これまではFIA F2選手権を筆頭にリアルのカテゴリーで若手の育成を行なってきた。昨年、そこにeスポーツ部門を設けて、リアルなカテゴリーとeスポーツを同列に置いたのである。

 F1チームに先んじて、バーチャルの世界からリアルのレーシングドライバーを育て上げようとしたのが、世界中に多くのファンを抱える家庭用ゲーム機用ドライビングゲームであるグランツーリスモだ。グランツーリスモは2008年、日産と協力してリアルのレーシングドライバー育成を目的としたGTアカデミーを設立、活動を開始した。グランツーリスモの競技会から発掘されリアルのレースで活躍した選手の中にはル・マン24時間レースに出場したルーカス・オルドネスや、現在スーパーGTのGT500クラスを戦うヤン・マーデンボローがいる。

  グランツーリスモがFIAの名を冠した『FIAグランツーリスモ選手権』を開催しているのは前回でも触れた。現行製品である『グランツーリスモSPORT』を用いたこのオンライン競技会は2018年から始まり、FIAの公認を受けた。

 FIAはただ単に名称だけ公認という形を採っただけではない。FIAグランツーリスモ選手権のワールドツアーシリーズには正式のスチュワードを派遣してレースを統括する一方、シリーズチャンピオンをF1チャンピオンやWRCチャンピオンらと同等の扱いでシーズンオフにFIAが催すシーズン表彰式に招き表彰するなど、他のFIA公認競技と同じ位置づけをしたのである。

 FIAがここまでeスポーツに深く関わったのは、今後FIAはリアルのレーシングカーがリアルのサーキットを疾走して競う競技を管轄するばかりではなく、eスポーツと呼ばれるバーチャルレースをモータースポーツの未来に組み込んで普及させるべきだと考えたからだ。FIAは本気なのだ。

 このように4輪モータースポーツの世界では、リアルとバーチャルの融合が急速に進みつつある。新型コロナウイルスの蔓延は世界的な不幸ではあるが、代替イベントとしてeスポーツが広く利用されている状況を見ると、これをきっかけにリアルとバーチャルの垣根は一気に取り払われてしまうのかも知れない。

 

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