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企画『eスポーツを知る』第4回:“二刀流”選手が語るリアル・バーチャルそれぞれの魅力

新型コロナウイルス禍の中、日本のモータースポーツ界でもバーチャルレースが盛んに行なわれている。その中でも特に精力的に“eレーシング”に参画している山下健太、野尻智紀に話を聞き、プロドライバーならではの視点からリアルレース、バーチャルレースについて語ってもらった。

山下健太(KONDO RACING)

写真:: Masahide Kamio

 新型コロナウイルス蔓延に伴う外出自粛の中、家庭内にいながらインターネット回線を介してレースができるeレーシングが注目を浴びている。その結果、リアルのレースイベントが延期になって闘争心のやり場をなくしているリアル・レーシングドライバーたちがeレーシングに続々と流入してレースを行なっている。

 F1グランプリがバーチャルシリーズを開催しているのはご存じの通り。日本国内でも5月には『TGR e-Motorsports Fes』、『スーパーフォーミュラ・バーチャル・シリーズ』など本来スーパーGTやスーパーフォーミュラで戦うはずだったリアルのトップ選手たちが顔を揃えてバーチャルレースを戦った。リアル・レーサーたちは、バーチャルレースをどのような思いで戦っただろうか。

■山下健太「ハンドルとペダルを用いるのは同じ。バーチャルも参考になる」

山下健太(KONDO RACING)

山下健太(KONDO RACING)

Photo by: Masahide Kamio

 トヨタ系の注目選手が山下健太である。昨年はスーパーフォーミュラ、スーパーGTで優勝を記録、FIA 世界耐久選手権(WEC)にも進出し、ますます活躍の場を拡げている。彼は以前からバーチャルレーシングにも熱心で、昨年グランツーリスモSPORTの大会が茨城国民体育大会の文化プログラムとして開催された際には、ゲーマーたちを含む全国約15000人の参加者の中で予選上位に食い込み、一部で話題になったほどの実力の持ち主である。

 山下は、リアルとバーチャルの違いについてこう語る。

「現在たくさんのレースゲームがあり、それぞれ挙動や操作感に個性がありますが、どのソフトも一周のラップタイムがほぼ実車と重なるので、コーナーを曲がるスピード、最高速などについては参考になります。ただ、例えば路面のギャップの拾い方、アンダーステア、オーバーステアの出かたなど、様々な面で実車と異なる面があります。だからバーチャルなシミュレータに慣れていないリアルドライバーがシミュレータ内で速く走るには、それなりの練習が必要です」

大湯都史樹 TCS NAKAJIMA RACING, 山下健太 KONDO RACING

大湯都史樹 TCS NAKAJIMA RACING, 山下健太 KONDO RACING

Photo by: JRP

 リアルとバーチャルの“走らせ方”について山下はこう比較する。

「リアルは体力的な部分で大きなGが掛かるので、それに耐えながら操作する必要があります。また、本物とゲームでは恐怖感が格段に違います。例えば初めてゲームをした場合、スピードを出しすぎて、すぐコースアウトしてしまう方が多いです。逆に実車で初めてサーキットを走る場合、ストレートでアクセル全開にするのすら躊躇し、コーナーのはるか手前でブレーキを踏み始める方が多いです」

 このようにバーチャルとリアルの間には差があると山下は言う。だからといってリアル・レーサーにとってバーチャルのレースは参考にならないかというとそうではないようだ。

「練習にはなります。ハンドルやペダルを使用するのは実物と同じだからです。実車と比べると様々な点が異なっており、たとえばタイムを狙う場合には少し特殊な走り方が必要になります。でもその走り方をいち早く見つけ、それをハンドルとペダルを用いて実行するという過程は、実車でも同じなんです。だから練習になります」

 今年も、かごしま国体ではeスポーツ選手権が開催され、山下も参加したが、ラップタイムでコンマ1秒及ばず予選落ちを喫した。さらに前述した『TGR e-Motorsports Fes』、『スーパーフォーミュラ・バーチャル・シリーズ』にも出走、どちらでも上位争いを展開した。まさにリアル・バーチャル“二刀流”選手の第一人者と言えるだろう。

■野尻智紀「バーチャルレースは間口の広い"モータースポーツ"であって欲しい」

野尻智紀(#8 ARTA NSX-GT)

野尻智紀(#8 ARTA NSX-GT)

Photo by: Masahide Kamio

 ホンダ系若手ドライバーの実力派である野尻智紀選手も、バーチャルレーシングに熱心な二刀流選手のひとりである。彼の特徴は、後付けのステアリング&ペダルがセットになったハンドルコントローラ、いわゆる“ハンコン”を使わず、ゲーム機標準のコントローラを使っている点だ。これについて野尻は「特別な設備を使わず、ゲーム機そのままでもバーチャルレースが楽しめることを知ってもらいたいから」と語る。

「グランツーリスモは以前から所持しており、モータースポーツを気軽に楽しめるツールとして使用しています。オンライン上でたくさんの方と一緒に走れるというのは、すごくいいことだと考え、以前から楽しんでいました」

 オンラインレースの機能を使えば、一般ファンとレーシングドライバーが同じレースを闘って交流を深めることができるのはバーチャルレースの魅力のひとつである。野尻は二刀流選手であると同時にバーチャルレース伝道師でもあったのだ。

 野尻自身は、リアルとバーチャルを比較するとその挙動や操作感は異なると断言する。

「ひとつの要素が異なれば、繋がっている全てが異なってくるので、やはり全体的には違ってくるという印象です。だからこの先、もっとリアルさが追求されることを望んでいます。まだ表現し切れていないんじゃないかなと思います。バーチャルで練習したことが、100%直結して実車でも感じられるといいですね」

野尻智紀 TEAM MUGEN

野尻智紀 TEAM MUGEN

Photo by: JRP

 その違いの中、バーチャルからリアルのモータースポーツへ挑戦する選手が増えつつある。そういう選手がまず身につけるスキルはどういうものになるだろうか。

「起きる現象を理論からしっかり理解し、それに合わせてドライビングを変化させることでしょうか。ドライビングを変化させるという点では、eスポーツのトップ選手は私以上に繊細な対処ができるのではないかと思います。メーカーやチームがバーチャルで速い人を即戦力で迎え入れるような将来になると夢が広がりますね。そのためにもリアルとバーチャルを限りなく近付けて欲しいと思います」

 違いはあるが、リアルとバーチャルそれぞれに魅力があると野尻は言う。

「リアルはやはりそこにある物、架空ではないものが走って戦う点が魅力です。これに対してバーチャルは、リアルと比較したら敷居が低くて、オンライン上でたくさんの方とレースができる点が魅力ですね」

 野尻は、今回のコロナ騒動で外出自粛が要請される中、積極的にオンライン上でバーチャルレースイベントを催し、参加者を募って公開している。

「こんな状態ではありますが、少しでもモータースポーツが盛り上がってくれたら嬉しいと思って。プロ同士はいつもレースをしていますから、バーチャル上では、レースファンのみなさんとたくさん走りたいと思うんです。ハンドルやペダルなどを準備しないでも楽しめますからぜひ多くの方に来ていただきたいです。バーチャルレースは、敷居の低い、間口の広い"モータースポーツ"であって欲しいと思います」

 二刀流ドライバーが活躍することで、リアルとバーチャルの垣根はますます低くなり、新しいモータースポーツの世界が拡がるのだとすれば、新型コロナ騒動も悪いことばかりではないのかもしれない。

 

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