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コロナ禍に揺れるF1に一筋の光。eスポーツレース開催で見えてきた5つのコト

F1が新型コロナウイルスの影響で開催できない中で行なわれたふたつのeスポーツレースイベント。大盛況のうちに終了したこれらのイベントを通して我々が学んだこととは何だったのか……?

Lando Norris, F1 2019 screenshot

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 新型コロナウイルスの影響により、世界各国のモータースポーツイベントが中断している中、F1バーレーンGPが開催される予定だった週末には、ふたつのeスポーツレースが行なわれた。ベローチェ・eスポーツが主催する『#NottheBahGP』と、F1公式バーチャルGPだ。現役F1ドライバーや著名なレーシングドライバーが多数参戦したふたつのイベントは、延べ60万人もの視聴者を集めたが、オンラインのシムレースイベントにこれほど多くの関心が集まったのは初めてだと言える。

 レースファンはこれらのイベントを大いに楽しんだが、同時に様々なことを感じられただろう。今回は、eスポーツイベントを通して見えてきた5つのことを順番に見ていこう。

■ランド・ノリスは逸材である

 #NottheBahGPとバーチャルGPで最も輝きを放ったのは、間違いなくランド・ノリス(マクラーレン)だった。

 彼はリザルト上では目立った結果を残していない。#NottheBahGPではスタート直後のアクシデントに巻き込まれて後退し、バーチャルGPでは接続が切れた場面があったのだ。よって彼は両レースで表彰台フィニッシュを逃す形となった。

 しかしながら、ノリスはライブ配信サービスのツイッチでその一部始終を配信。10万人以上の視聴者を集めた。彼は自身に降りかかったアクシデントによって機嫌を損ねることなく、むしろマックス・フェルスタッペン、アレックス・アルボン(共にレッドブル)、カルロス・サインツJr.(マクラーレン)らと通話し、冗談を言い合った。ソーシャルメディアでの展開という面では、ノリスが“勝者”であると言えるだろう。

 

■“レース”として楽しむか、“ゲーム”として楽しむか

 日曜日の夜に行なわれた#NottheBahGPとバーチャルGPはファンに多くの楽しみをもたらしたが、純粋にeスポーツが好きな人間にとっては、その全てが面白かったとは言えないかもしれない。

 例えば、バーチャルGPのスタートの際、元F1ドライバーのジョニー・ハーバートがターン1を豪快にショートカットして17番手からトップに浮上したシーン。これは少なくともトップレベルのeスポーツイベントで求められるものではなかった。

 ただ見ていて明らかだったのは、ふたつのイベントで使用された公式F1ゲーム『F1 2019』は、他のレースシムよりもはるかに“ゲーム”であったということだ。これは、普段他のプラットフォームでオンラインレースに興じるフェルスタッペンやルイス・ハミルトン(メルセデス)がこのイベントに参加しなかった理由のひとつかもしれない。

 かと言って、『F1 2019』がクオリティの高いレースを提供できないかと言われれば、そうではない。今回のイベントでは、各種レース設定やアシスト設定が比較的易しかったということもある。

 どちらにせよ、実際のF1レースの代替イベントとして期待できることにも限界がある。我々がこれらのeスポーツイベントをどう楽しむか、その姿勢も今後問われてくるだろう。

■eスポーツスターの認知度向上が必須

 これまで、eスポーツレースとリアルレースの間での交流は、それほど盛んとは言えなかった。彼らはある種の“パラレルワールド”を生きているようだった。

 一方でフェルスタッペンやノリスは定期的にオンラインでレースをしており、イゴール・フラガはeスポーツとリアルの“二刀流”レーサーとして知られつつある。ただしこれらは例外中の例外であると言える。

 今後推進していかなければならないのは、eスポーツレース界のスター選手を、広く世界に認知させるということではないだろうか。我々は彼らの活躍を知る必要がある。

 #NottheBahGPで優勝したダニエル・ベレスナイやジェン・ブルコバスなどは、多くのF1ファンには知られていない。彼らの名前とキャラクターを広めるための取り組みをしていくことは重要となってくるだろう。

 我々がeスポーツ選手のレベルの高さを理解し、eスポーツレースとリアルレースの両方でスター選手を知っていれば、こういったオンラインレースもより盛り上がるはずだ。

 レースフォーマットとして、“プロアマチーム”による団体戦にするというのも、ひとつの手段かもしれない。ここで言う“プロ”はeスポーツ選手であり、“アマ”はF1ドライバーだ。

■通信エラー問題への対処が課題

 前述のように、バーチャルGPの主役になると目されていたノリスはオンライン接続が切れてしまった場面が2度あり、予選アタックを行なうことができなかった。これはこういった大規模なイベントにおいては許しがたい出来事だと言える。

 アンソニー・デビッドソンにいたっては、接続が切れてオフラインになってしまったことに気付かず、そのままAIの敵ドライバーとレースをしてしまっていた。彼がそのことに気付いたのは、レースをフィニッシュした時だった。

 もちろん、こういった通信エラーはオンラインレースにおいて起こり得ることであり、我々も幾度となくその辛さを経験してきたが、ノリスに同じトラブルが2度発生したことについては、避けなければならなかっただろう。

 確かにノリスがハプニングなく終始マシンをドライブしていて、今回のように友人に電話をかける場面がなければ、彼の生配信はそれほど盛り上がらなかったかもしれない。しかし、やはり彼が100%の力でレースに臨む姿を見たかったファンも多かったはずだ。

■レースファンは、レースに飢えている

 #NottheBahGPとバーチャルGPが開催されたことによる最もポジティブな面は、F1ファンとeスポーツレースのファンが、久しぶりに新型コロナウイルス関連のニュースから解放されたということだ。

 実際世界中のモータースポーツファンは、レースの中止、延期の決定に悲しんでおり、今後数ヵ月に渡ってレースがないことを理解するのは容易ではなかったはずだ。

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大は深刻かつ重大な問題であるが、しばしの間それを忘れ、バーチャルの世界でホイール・トゥ・ホイールのバトルを楽しむということは、レースコミュニティを活性化させるという点で価値あるものだと言える。

 こういった困難な時期に多くの人々の笑顔を取り戻したという点で、ベローチェとF1は称賛されるべきである。

 

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