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勝負の行方は“己の腕”次第。2度の世界覇者・笹原右京が語るROTAXカート「僕の人生を一番変えた場所」

多くのトップドライバーを世に送り出してきたROTAX RACING。その世界大会を唯一2度制し、レースキャリアを築いた笹原右京に、その魅力や学びを聞いた。

Ukyo Sasahara

Ukyo Sasahara

写真:: Ukyo Sasahara

 最速・最強のレーシングドライバーは誰か? モータースポーツが道具を使う競技だからこそ見えてこない問いだが、変数が限りなく削がれ、ドライバーの腕がより強調されるレースピラミッドが存在する。

 その名もROAX MAX CHALLENGE(RMC)。オーストリアのROTAX社が手がけるセル付きエンジンを搭載したカートを使用するシリーズだ。入門カテゴリーからトップカテゴリーまで独自のピラミッドが築かれ、世界共通のレギュレーションを使用することが主な特徴である。

 日本をはじめ全世界でRMCのローカルシリーズが開催され、年に一度、各ローカルシリーズを勝ち上がったドライバーが集う世界大会「グランドファイナル」が開かれる。エンジンやシャシー、燃料、タイヤは全て運営管理となっており、勝負の行方は”己の腕”次第だ。

 そんなRMCのグランドファイナルを過去に唯一2度制したのが、笹原右京。その後ヨーロッパのフォーミュラで腕を磨き、現在も日本最高峰シリーズのひとつスーパーGT・GT500を戦う、言わずと知れた実力派である。

 群馬県の一般的な家庭出身の笹原としては、カートの階級が上がるにつれ比較的コストのかからないROTAXのエンジンを使ったシリーズ以外への参戦が難しくなったという側面がありつつも、世界と繋がる統一レギュレーションというプラットフォームがなければ今のレース人生を歩むことはできていなかっただろうと考えている。

「RMCが唯一、全世界共通レギュレーションを採用していました。同じモノを使い、日本でチャンピオンを取れば世界大会に行ける……世界と繋がっているプラットフォームです。それでいてコストも比較的抑えられたので、こちらを選んで本当に良かったと思っています」

 笹原はそう語った。

「人生を1番変えた場所だと思います。グランドファイナルでは年に1回、世界のドライバーと同じモノを使って、同じ環境で戦える。確かに今思い返すと、あそこで勝っていなかったら、フォーミュラカーなんて絶対乗れていなかっただろうと思います。普通に高校を卒業して実家の家業継いでいたかな……」

Ukyo Sasahara

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写真: Ukyo Sasahara

 笹原の他にもRMCを経験したドライバーの中からは福住仁嶺や阪口晴南、勝田貴元をはじめ、日本のトップドライバーも多く輩出。現在ハースからF1に参戦するオリバー・ベアマンも、本場イギリスのRMC一本でフォーミュラカテゴリーに進んだ経歴がある。

「自分がやっていた時代も含め、フォーミュラカテゴリーなど関係者たちから非常に注目されているのは間違いありません。僕もグランドファイナルで勝った時にはたくさんお話をいただきました」と笹原はRMCグランドファイナルについて振り返った。

「お金ではなく、本当に能力のある子なのか……そこを見てくれるのは圧倒的にRMCです」

「見え方はシンプルです。全員同じカート、同じタイヤ、同じ場所、同じ時間でどうやるか、ということです。もちろん事前練習をしている人もいますが、結局のところは本人の適応力に全てがかかっています」

 車いす・介護用のクッションなどヘルスケア用品、そしてネックサポートやHANS用パッドなどモータースポーツ関連商品も展開するEXGELは2024年から日本でRMCへの協賛(EXGEL MAXチャンプ)を開始した。今年は鈴鹿サーキットやROTAXエンジンの国内総輸入元であるEIKOの協力によって鈴鹿の南コースでシリーズを単独開催。ライセンス等の参戦障壁を撤廃し、ドライバーが“走り込める”海外由来のレースフォーマットを採用した。

 円安の後押しもあり特にアジア圏を中心とした海外ドライバーの参戦も多く、EXGELの冠がつけられたミニ、ジュニア、シニアの3クラス合計で今年は各ラウンド100人前後のエントリーが集まった。またこの3クラスのシリーズチャンピオンには、EXGELから海外のメジャーレースへの挑戦権が与えられる。

Ukyo Sasahara

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写真: Motorsport.com Japan

「自分が子どもの頃にこういったプラットフォームがあったらすごく良かっただろうなと思える環境です」

 EXGEL MAXチャンプのアンバサダーも務める笹原はそう語った。

「僕が外を知ることができたのは11〜12歳。海外のカートレースを見に行かせてもらい『こんな環境があるのか』と衝撃を受けました。そこから初めて外を意識するようになりました。その時の日本には海外勢がほぼゼロで、ドメスティックな状態でした」

「これは今の時代にも大事なことだと思いますが、僕は『どうやったら外の人たちにすぐ勝てるんだろうか』ということだけを考えていました。それを実践できる場が今ここにあると思います。それはかなり大きなことです」

「英語でのコミュニケーションをはじめ、日本にいながらも外を知ることができるというのは大きなメリットです。いろいろな情報も入ってくると思うので、自分としては素晴らしい環境だと感じます」

 また笹原はEXGEL MAXチャンプに、出身やバックグラウンド、レーススタイルも異なる海外ドライバーが多く参戦することで、日本人ドライバーのメンタリティにも変化があらわれたと考えている。

「多少たりとも変化が起きていると思います」と笹原は言う。

「日本人の選手にとってみれば、今までやってきた雰囲気やレースの流れに、海外の選手が突然入ってきてかき乱されてリズムが狂うということもあると思います。それに対して、どうしても勝ちたいと必然的に焚き付けられているような感覚は見ていて感じます」

 そして笹原はRMCをはじめカートレースで得られるスキルやノウハウ、そして成功体験と失敗体験はフォーミュラカーなど四輪レースにステップアップした際にも活きてくると説明した。

「運転の基礎を全てを学べます。結局、クルマのセットアップにおいてもカートでやったことは、四輪に上がって名称が色々と置き換わりますが、操り方を含めてなんら変わりません。運転の基礎は全てカートにあります」

 そう語った笹原。若きドライバーに対して、“外”を知ることの重要性も説いた。

「若いドライバーにはまず、早いうちに外を知り、視点を広げておくことは決して損ではないと伝えています」

「今の時代、映像やSNSですぐに情報が手に入りますが、本当に起きていることや本質は現地に行かないと分かりません。できれば若いうちに向こうへ足を運び、できたらレースをして欲しいです。レーサーとしてだけでなく人としても視野が広がり、色々な世界観や考え方が存在するということを知ることができます」

「成功体験と失敗体験をカートのうちにたくさん経験しておくことが絶対的に大事だと思います。それまで成功体験しかなかったら、四輪にステップアップして大失敗した時に、そこで折れてしまうと思います」

Ukyo Sasahara

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写真: Ukyo Sasahara

 

 

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