ガスリーF1デビュー「スーパーフォーミュラの経験はすごく役に立つ」

SUGOからマレーシアに移動、急遽のF1デビューが決まったガスリー。その初日から印象的な走りを披露した。

 スーパーフォーミュラで最終戦2戦を残し、ランキング首位の石浦宏明に0.5点差の2位に着けているピエール・ガスリーが、マレーシアでF1グランプリにデビューすることになった。

 金曜日に行われたフリープラクティス(FP)1でトロロッソから初めて実戦に登場したガスリーは、ベテランに混じって9番手のタイム(1分52秒380)を叩き出した。セッションは雨でスタートが遅れ、次第に路面が乾くトリッキーな状況。FP2ではピットで消火液をかけられるハプニングもあったが、1分34秒043で15番手だった。ただ、経験豊富なチームメイトのカルロス・サインツJr.を0秒061上回った点は評価されて良いだろう。

 それにしても、ガスリーにとって今週は興奮の数日だった。

「日曜日に菅生のスーパーフォーミュラで2位に入って、月曜日に仙台から東京、それからマレーシアにやって来た。マレーシアには来る予定だった。で、クアラルンプールに到着したら、今週末のマレーシアGPで走ることになるかもしれない、というメッセージが届いていた。信じられない気持ちで月曜の夜を過ごした。嬉しさと、乗れるのか乗れないのかの心配で、全然眠れなかった。火曜日の朝になって、正式に乗ることが決まったという連絡をもらって、まるで天にも昇る気持ちだった。すぐに両親に連絡した」

 まるで乱気流に翻弄された数日だったが、決まってからは冷静なガスリーに戻り、金曜日午前中のFPに臨んだ。そして前述の走行結果となった。その実力は関係者から高く評価されたが、F1キャリアはまだ始まったばかり。大切なのはここからだ。

 ところで、初めてのF1でまずまずの適応力を見せたガスリー。スーパーフォーミュラのレース経験が助けになっているのだろうか?

「経験は凄く役に立つと思う。レースや予選のやり方が似ているばかりでなく、クルマのセットアップの仕方、エンジン・エンジニアとの仕事の煮詰めなど、スーパーフォーミュラは非常に緻密なので、F1に活きると思う。クルマのセッティングなどのやり方はGP2(現F2)と似ているが、スーパーフォーミュラにはホンダとトヨタの2メーカーがエンジンを供給しており、エンジン競争はより熾烈だ。そういう状況を鑑みても、F1とスーパーフォーミュラは似ている。ドライビング、フィーリング、フィードバック、それらはGP2と同じだと思う」

 日本のモータースポーツファンにとってピエール・ガスリーと言えば、今年突然現れていきなり速かった印象が強いが、実は長いモータースポーツ歴を誇る。エステバン・オコンの父親に勧められてカートを始めたのが6歳の時。以来、順調にステップアップをはかり、2013年にはフォーミュラ・ルノー2.0のタイトルを獲得、2014年にはフォーミュラ・ルノー3.5で選手権2位。そして2015年にGP2にステップアップし、2016年にGP2のタイトルを獲得している。すぐにF1にステップアップすると考えられたがシートに空きがなく、今年は日本でスーパーフォーミュラを戦っている。

 彼が日本でレースをするきっかけになったのは、レッドブルのアドバイザー、ヘルムート・マルコ博士がホンダの山本雅史モータースポーツ部長に、スーパーフォーミュラのシートを打診したことに始まる。加入したのはTEAM MUGEN。第4戦もてぎ、第5戦オートポリスと2連勝を果たし、第6戦菅生でも2位に入ったことで、選手権トップの石浦宏明(P.MU / CERUMO・INGING)から0.5点差の2番手につけている。

「僕のターニングポイントは富士だったと思う。鈴鹿ではクルマもエンジンもトラブって上手くいかず、岡山もあまりよくなかった。しかし、第3戦富士からは全てが上手く転がり始めた。それ以降はチームとのコミュニケーションもスムーズになり、クルマも確実に良くなった。もてぎとオートポリスで勝てたのは嬉しかったが、難しい菅生で2位に入れたのはより嬉しかった。菅生は非常に難しい。コース幅も狭く抜きにくい。ただ、ほとんど勝てたレースだったけど、最後にオーバーテイクボタンを押したときには使い切っていて効いてくれなかった」

 スーパーフォーミュラの最終戦は鈴鹿でダブルヘッダー。ここまでくれば当然タイトル獲得に行くが、その前にF1デビューという夢が叶った。しかし、21歳のガスリーはその状況に冷静に対処しようと腐心している。

「もちろんスーパーフォーミュラでタイトルを獲りに行く。GP2のタイトルとスーパーフォーミュラのタイトルが獲れたら、こんなに嬉しいことはない。でも、今週末はマレーシアのレースに集中する。F1は永年の夢だった。GP2のタイトルを取ってもすぐにF1には乗れず、9カ月日本で耐えて待っていた。F1に乗ることが出来た今、この9カ月は貴重な9カ月だったと言うことが出来る」

 現時点ではマレーシアと日本のグランプリを走ることが決まっているが、アメリカはスーパーフォーミュラと重なっており、ダニール・クビアトがトロロッソに戻って来る。それから先の話はまだ決まっていないが、今シーズン中にあと数戦は乗ることになる可能性が高い。そして2018年だ。

 トロロッソのフランツ・トスト代表に聞くと、「まだ何も決まっていない。私ひとりでは決められないので、これから先のピエールの走りを見て、レッドブルのみんなと話し合いを持って決めることになるだろう」と語った。「しかし、彼は素晴らしいドライバーだ。今日の荒れたコンディションの中でも素晴らしい仕事をしてくれた。初めてのグランプリだというのに」と、手放しの喜びようだった。

 ガスリーが来年以降もトロロッソでF1グランプリを走る条件は整っているように思われる。しかし本人は「まだ来年以降のことは決まっていない。もちろんトロロッソでF1グランプリを戦っていけたら最高だ」と語った。

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 マレーシアGP
サーキット セパン・インターナショナル・サーキット
ドライバー ピエール ガスリー
チーム トロロッソ
記事タイプ 速報ニュース