ディズニーがF1ライブ配信の未来に影響を及ぼす?

ディズニーが投資するメジャーリーグのオンライン配信サービスは、将来のF1にとって有効な先例となりうるのか?

ディズニーがF1ライブ配信の未来に影響を及ぼす?
Heineken branding on the circuit
Bernie Ecclestone, at a Heineken sponsorship announcement
A teddy bear watches television
Bernie Ecclestone
The start of the race
Lewis Hamilton, Mercedes AMG F1 W07 Hybrid leads at the start of the race
Lewis Hamilton, Mercedes AMG F1 W07 Hybrid

 新たなスポンサーとしてハイネケンが付いてから、F1のパドックの様子は様変わりしつつある。彼らはF1を使い、ソーシャルメディア上で情報を拡散することを考えている。これが成功すれば新たなファンを迎え入れることにも繋がる。

 オンラインでスポーツ観戦を楽しみたいという人も、確実に増えつつある。これまでより多くのコンテンツをインターネット上で見たい、そういった希望を叶えるために、スポーツ放映を取り巻く環境は、急速に進化している。これは、F1にも大きな影響を及ぼす可能性がある。

 ウォルト・ディズニーは、ご存知の通り映画やテーマパークの運営で有名な企業だ。しかしその一方、ケーブルテレビや有料放送についても力を入れている。彼らは最近、10億ドル(約1000億円)をかけ、BAMTech社を買収した。BAMTech社は、アメリカでメジャーリーグのオンライン放送を手がける企業である。

 ディズニーはこのBAMTech社の技術を活用し、ディズニー傘下のESPNの視聴者のために、新しい配信サービスを形作ろうとしている。

 ファイナンシャルタイムズは、ディズニーのCEOであるボブ・アイガーの言葉を引用し、以下のように伝えている。

「我々の目標は、自社のブランドのことを確認することにある。特にESPNは、堅調に推移している。私は、BAMTech社が制作するコンテンツの品質をとても気に入っている。これは、業界をリードするプラットフォームである。インターネットで配信されるビデオの発展を見れば、特に生中継は非常に重要な投資だと言える」

 ニューヨークタイムズ紙に引用された業界筋の話によれば、ディズニーの動きは、スポーツの生中継を行うことによって多額の配当を期待する、その長期的な業務の一部だという。日本でも、スポーツ中継のオンラインサービスが最近開始された。このように、スポーツを観戦する習慣は、変革の時を迎えつつある。そして、少なからずモバイルデバイスなどでの、ストリーミング視聴が主流となっていくだろう。

「多くの投資家やアナリストは、テレビ事業の激変に注目している」

 ニューヨークタイムズは、そう書いている。

「ストリーミングサービスが増殖したことで、衛星放送とケーブルテレビの視聴率は低下している。そしてESPNは、ディズニーがスポーツの放映権のための支払いを優先させているため、特に減速する事態に晒されている。短期的に番組の制作費を削減し、利益を維持することもできるが、それには限界がある」

 ディズニーは、BAMTechが考案したサービスを、今年の終わりまでに完成させ、そして配信を開始することを目指している。そしてこれと同じことが、F1の現在の放送契約が満期を迎えた国や地域から、徐々に加速していくことだろう。

 F1に関わる大きな放送局は、軒並み投資を回収するのに苦労している。ブラジルのグローボは、同国通貨レアルの暴落をきっかけに、ラジオの放映権延長についての交渉を行うことができなかった。またスカイスポーツは、高い取材コストを削減するために、スタッフを共有している。

 近年のF1の放送スタイルは、FOMが制作する国際映像を、各国が共有する形だ。これは、非常に理に適ったスタイルだとも言える。コンテンツ制作にかかる人員やリソースを集約することによって、これまでよりも低コストで番組を制作することができるのだ。当然放送局側にもメリットはあるが、視聴者側としても、より低価格でサービスを受けられるという利点がある。さらにはチームやドライバーたちにとっても、テレビの取材をFOMが一括して行えば、スケジュールをより単純化することができる。

 FOMの国際映像は、長年にわたって進化を遂げてきた。視覚的なデータを示し、グラフィックスを表示し、チームラジオも配信される。放送局は、これらのコンテンツについて放映権料を支払い、そして各国独自の実況と解説をつける。

 最近まで、F1の視聴は無料放送が主流であり、FOMも放送局と契約を結ぶ際に、その点を重視してきた。しかし、実際には多くの国でのF1放送は、CSやケーブルテレビなどといった有料課金型のサービスに転換していた。

 そして今、その変革がさらに加速し、オンラインでのストリーミングサービスが年々増加傾向にある。この傾向がさらに推し進められれば、FOMが直接視聴者に対してコンテンツを販売することも可能となり、ひいては直接収益を挙げることに繋がる。

 日本など、すでに数カ国では開始されている、F1のオンラインストリーミングサービス。その将来は、ディズニーがメジャーリーグで実践しようとしているシステムの成否に、かかっているのかもしれない。

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シリーズ F1
執筆者 Kate Walker