”ハロ”は空力の可能性をどのように広げたのか?

今季から使用が義務付けられたハロ。各チームはこの影響を最小限にしたり、最大限活用するため、様々な開発を行っている……。

 今季からF1マシンへの装着が義務付けられたコクピット保護デバイス通称”ハロ”。F1チームにとってこのハロを取り付ける際には、まず構造的な挑戦にさらされることになった。しかしこのデバイスが導入されたことにより、空力開発に新たな領域が生まれた。

 すでにテストでも見られたように、このハロには空力付加物を取り付けることができるようになっている。この範囲はごく小規模なものであるが、各チームは積極的にこの領域を活用しようとしている。

 F1デザイナーたちは、チタン製のハロ本体から、ドライバーがクラッシュ時にヘルメットを打ち付けてしまう可能性のある”ヘルメット・テンプレート”内に入っていない限り、20mmまで表面をかさ上げすることができる。

 このようなレギュレーション上の”抜け道”が、マシンの上部を流れる気流をコントロールするために積極的に活用されているのだ。

McLaren MCL32 Halo cockpit
McLaren MCL32 Halo cockpit

Photo by: Giorgio Piola

 昨シーズン終了後にアブダビで行われた合同テストの際、ハロにはより複雑な”翼のある”フェアリングを装着できることが明らかになった。マクラーレンは2018年用の”テストパーツ”として、トリプルエレメントのブーメラン状のパーツをハロに装着した。

 このマクラーレンが採用したハロ上のウイングは、ハロの全幅とほぼ同サイズである。そしてそれぞれのエレメントは、マシンの上部を後方に向かって流れる気流に、明らかに影響を及ぼすはずだ。

Esteban Ocon, Sahara Force India VJM11
Esteban Ocon, Sahara Force India VJM11

Photo by: Sutton Images

 アプローチ自体は若干異なるものの、フォースインディアは今シーズン用のニューマシンVJM11に、マクラーレンがアブダビで試したモノに酷似したブーメラン状のウイングレットを採用。これはエアボックスとリヤウイングへ向かう気流を改善しているように見える。

Toro Rosso STR13 halo fin
Toro Rosso STR13 halo fin

Photo by: Giorgio Piola

 トロロッソも、昨年のアブダビテストで、空力フェアリングの先行テストを行っていた。この時は1枚で形作られたブーメラン状のウイングを、ハロの上に搭載した。

 しかし先週行われたバルセロナテストでは、別のウイングレットが、ハローのセンターピラーの付け根下部分に追加されていた。これは”ヘルメット・テンプレート”の外側ではあるものの、フェアリングのために意図されたポジションにないことは明らかだ。

Toro Rosso STR13, detail
Toro Rosso STR13, detail

Photo by: Mark Sutton

 またトロロッソは、ハロのサイドピラーの車体側の取り付け部内側に、整流用のフィンを追加。マシン後部の流れに寄与しているようだ。

Romain Grosjean, Haas F1 Team VF-18

Romain Grosjean, Haas F1 Team VF-18

Photo by: Mark Sutton

 小型のウイングやブーメラン状のウイングを取り付けるチームが多い中、ハースは大きく異なる考え方をしてきた。バルセロナに持ち込まれたVF-18に取り付けられたハロの上部には、細かい突起がびっしりと並べられていた。これはここで渦流を発生させ、マシン後部へ向かう気流をコントロールするためのものと考えられる。つまりボーテックス・ジェネレータの役割を果たしているのだ。

 これにより、ハロの導入によって影響を受けたドライバーのヘルメットと気流の相互作用に、好影響を与えるのに役立つだろう。

 しかし、チームはハロにだけ空力的な処理をして、この新パーツの影響をコントロールしようとしているのではない。いくつかのチームは、モノコック上部などに別のパーツを取り付け、悪影響を阻止しようとしている。

Sergey Sirotkin, Williams FW41
Sergey Sirotkin, Williams FW41

Photo by: Mark Sutton

 ウイリアムズとルノーの両者は、ハロのサイドピラーの位置に合わせるようにコクピットの左右両端のエッジ(赤い矢印の部分)を立てている。これにより、ハロの構造物に当たる気流を制御していると考えられる。
Nico Hulkenberg, Renault Sport F1 Team RS18
Nico Hulkenberg, Renault Sport F1 Team RS18

Photo by: Mark Sutton

 ルノーはウイリアムズと同様のコクピットエッジ部分のフィン(赤い矢印の部分)を取り付けているのもさることながら、エアボックスのすぐ下にも別のウイングレットを配置した。これはハロやヘルメットによって乱れた気流を制御し、エアボックスへの吸気口への空気の流れを改善しようとする施策だと思われる。

 現時点では、まだ手の内を見せていないチームもあるだろう。おそらくは今月末の開幕戦に向け、様々な解決策が生み出されてくるはずだ。

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シリーズ F1
記事タイプ 分析