ホンダ長谷川氏に訊く2017年Vo.1:トラブルが続いたシーズン前半

2017年シーズンを戦い終えたホンダ。同社のF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介に話を訊いた。まずはシーズン前半トラブルの連鎖について。

 今年のアブダビGPは、マクラーレン・ホンダとしての最後のレースとなった。来年はマクラーレンはルノーと、ホンダはトロロッソと手を組んで新しいスタートを切る。

 その最後のレースでホンダのF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介に話を聞いた。長谷川は今季、F1担当になって2年目。2年とも厳しいシーズンだったが、確実に改良がなされ、タイムは上向いてきた。その2年目に特化して語ってもらった。

ーー今シーズンを振り返って、押さえておかなければならない点を教えてください。

「まず、最初のウインターテストで満足に走行出来ず、躓いたのは大きなマイナスでした。技術的にはそれほど大きな問題ではなかったのですが、準備不足が露呈しました。ウインターテストはクルマを決める上で非常に重要なテストです。しかし、たった8日間(4日間×2)しか走れません。それも、8日間がバラバラの日程なら良いんですが、一気に2週間でやってしまうので、ひとつ失敗すると取り返す時間がないんです。そこできちっと走れなかったというのは一番大きな躓きでした。それで、プログラムが上手くスタート出来ませんでした」

ーーウインターテストの問題は何だったのですか?

「オイルタンクが上手く働きませんでした。ベンチでGをかけてテストして来たんですが、想定していたより状況が悪かったということです。ひと言で言えば準備不足。今年はエンジンのコンセプトを基本から変えました。ターボのコンプレッサーの位置を変えたことによって、オイルタンクがそれを避けるように形状変更を強いられたんです。その形状のために減速時にオイルが偏り、上手く吸えませんでした」

ーーその問題はいつまで続いたんですか?

「その不具合が分かって早急に対処しましたから、すぐに走れるようになりました。もうひとつ、これはうちの問題ではないのですが、1週間前に予定されていたシェイクダウンが車体側の問題で出来なかった。シェイクダウンが予定どおりできていれば、対策は出来ていたはずなんですが……。F1は本当に走行時間が限られているので、それに対する対応は甘かったですね」

ーーシーズンが始まってからも問題はいくつか出て来ましたね。

「次の躓きはバーレーンですね。バーレーンではターボが一気に4基壊れて、バンドーンが走れなかった。大きな躓きでしたね。でもバーレーンに限らず、前半はほとんどのレースでそういう状況でした。機械的にはそれほど大きな問題ではないんですが、次々と出て来たので……。例えばオーストラリアで言うとブレーキとかドライブシャフトとか、色んな問題で取りこぼしてしまったのは大きかったです」

ーーバーレーンで出たターボの問題は、いつ頃解決したのですか?

「ターボの問題は残念ながら最後まで尾を引きました。これは問題が発覚してから直すまでに時間がかかったので。でも対策はやってきましたから、信頼性も性能も確実に上がっては来たと思います」

ーーターボの問題とは、具体的にどういう問題だったのですか?

「今年はターボの置き場所を変えたせいでシャフトが長くなりました。そのシャフトを支えるベアリングに問題が発生したんです。ターボ本体というよりMGU-Hですね。結局ベアリングが持たなかったんです。ベアリングメーカーの責任じゃなく、使い方の問題です。使い方を想定しきれていなかったので、設計といえば設計の問題ですね。とにかくターボの問題が尾を引きました」

ーーターボのシャフトのベアリングが焼き付くと、どういう症状になるんですか?

「一発で壊れます」

ーー壊れるとエンジン載せ替えです。そうなるとペナルティが科せられますよね?

「夏休みまでに両車ともエンジンを4基使いましたから、新しいエンジンを入れる度にグリッドダウン・ペナルティを受けるという惨状でした。とにかくペナルティが大きかったですね。レース戦略も狂いますし、ドライバーのモチベーションも下がりますから。このペナルティのシステムは良くないですね。ゲームを台無しにします。ドライバーの責任じゃないんですけどね」

ーー昔はエンジンは使い放題でした。

「第3期でやっていた時にはシーズン中もずっとテストがありましたし、レース用のエンジンは一戦一戦新しいものを入れていました。夏休みにどんどんテストして、出来上がったものを次のレースに入れるということをやっていました。エンジンも壊れていましたけど、そのレースでダメージは終わりなんですよね。で、次はまた一から出来たんです。今はずーっと引き摺りますから。もちろんレギュレーションですから、それに対応した動きをしなくてはいけなかった。私自身も考えを変えなきゃいけなかったんですが、それが上手くできませんでした」……(第2回に続く)

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この記事について
シリーズ F1
チーム マクラーレン
記事タイプ 速報ニュース