
2017年WECシーズンも残り2戦。今週末には第8戦・上海6時間レースが開催されるが、今季限りでWECからの撤退を発表しているポルシェにとってもLMP1-Hクラスへの参戦は残り2戦のみ。WECの会場はどことなく寂寥感が漂う。
ところで、WECから撤退するポルシェは、2019年/20年のフォーミュラEへの参戦を示唆している。フォーミュラEのシーズンは年をまたいでの開催になっており、ポルシェの参戦は第6シーズンから。同シーズンからはポルシェの他にもメルセデスが参加を表明しており、第4シーズンから一足先に登場するBMW、すでに活動中のアウディを加えれば、フォーミュラEはドイツメーカーの揃い踏みになる。
ドイツメーカー以外ではジャガー、DSオートモティブ、マヒンドラ等がすでに参戦しているが、加えて第5シーズンからはルノーにかわって日産自動車の参加も発表されており、いよいよフォーミュラEは自動車メーカーの激戦地になりそうだ。
ところでWEC活動を終了したポルシェには、近い将来F1への参戦も噂されている。それはポルシェの持つスポーツ性という他社にない境位のせいだと考えられる。その噂の真偽をWECの現場でポルシェ関係者にただしたら、次のような答が返って来た。
「F1参戦の噂は知っています。ただ、正直に申し上げて噂に過ぎません。我々ポルシェはWEC参戦を終えた後は、エコロジー路線へ舵を切ります。フォーミュラEへの参戦はそのひとつであり、我々がその路線を進むための指標のひとつです」
「F1参戦を否定する具体的な理由として、現在我々は超高効率内燃機関の開発を進めているという点が挙げられます。エネルギー効率50%以上を目指す内燃機関の研究開発で、今から18カ月以内にそのエンジンを完成させることというお達しが出ています。すでに単気筒シリンダーで研究していますが、我々が目指すのはより効率の良く環境に優しい内燃機関と、そしてEVです。これらは残念ながらF1にはまったく繋がりません」
現在WECのプログラムを牽引するアレクサンダー・ザイドル氏も、「様々な研究をしていますが、残念ながらF1エンジンに関しては行っていません。WECプログラムが終了すると、我々が次に向かうのはEVです。フォーミュラEはその格好の舞台。2年後に、フォーミュラEの現場で会いましょう」と言う。
しかし、F1の目が全くないかといえばそうでもなかろう。つまり、F1のレギュレーションが変更になり、より高効率のパワーユニットを搭載する事にでもなれば、ポルシェに出番が回って来ることになる可能性もある。しかし、現行のレギュレーションではポルシェのF1参戦は噂に終わりそうだ。
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