「アロンソにとって屈辱的だった」2017年の”躓き”を嘆くマクラーレン
マクラーレンのエリック・ブーリエは、マクラーレン・ホンダの”躓き”は、アロンソにとって屈辱的だったと考えていると語る。









マクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは、冬の間にホンダのパフォーマンスが後退したことを実感した際、フェルナンド・アロンソは絶望感を覚えたと語る。
マクラーレンは2015年から、かつての”黄金コンビ”であるホンダとのパートナーシップを復活させた。その初年度はランキング9位。2年目となる2016年にはランキング6位に前進し、さらなる進化を期待して2017年シーズンに臨んだ。
ホンダもパフォーマンス向上を目指し、2017年シーズンに向けてパワーユニットのコンセプトを変更。しかしその結果、パフォーマンスと信頼性の両面で後退した状態で、シーズン開幕を迎えることになってしまった。
ブーリエはこの現実が、アロンソにダメージを与えたことを告白した。
「彼は闘うために、冬の間をかけて精神面も準備していた」
ブーリエはmotorsport.comに対してそう語った。
「そして彼は、彼の頭の中でシーズンがどうあるべきかというイメージを描いている。それが彼にモチベーションを与えるのだ。なぜなら彼は、自分の目標を達成するための覚悟をするからだ」
「しかしバルセロナのテストで、エンジンの性能が後退したことが分かった。それは悲しみと屈辱、そしてフラストレーションが混ざり合った感情だった。良いことではなかったね」
アロンソはシンガポールGPの際、マクラーレンのプライベートルームの壁を殴り、穴を開けたことを認めている。なぜならそのグランプリは、今シーズンの中でもアロンソが最も好結果を望むことができるレースだったからだ。
好スタートを決めたアロンソは、一気に先頭付近まで浮上してみせた。しかしながら、セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネン(いずれもフェラーリ)、そしてマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の多重クラッシュに巻き込まれる形でマシンに大ダメージを負い、リタイアを余儀なくされたのだった。
「彼は時折、自身のフラストレーションを表現することがある。彼はかつてレースに勝った時もそうだったようだ」
そうブーリエはシンガポールGP後の”事件”を振り返った。
「彼はレース後、感情が高まっている。シンガポールGPの後も同じだった」
「もっと良いレースができたことを分かっているから、彼は自分の中に怒りの感情を抱えていたのだ。彼は最高の結果を残すことができることも理解している。そして、彼はそれができることを示さなければいけない。彼がもし勝つことになれば、再び壁を殴ることもあるだろうと私は思う」
マクラーレンは今季限りでホンダとの関係を解消し、来季からはルノー製のパワーユニットを使うことになる。それにより競争力を取り戻すことができれば、アロンソは先頭争いに加わることができるだろうと、ブーリエは信じている。
「私はいつも、彼をサメに例えるんだ。彼は”血の臭い”を感じると、まっすぐにそこを目指していく」
そうブーリエは語った。
「彼が表彰台に上がれるか、もしくはそれを目指せるほど競争力があると感じたら、彼は少しも諦めることはないだろう。誰に対してもね」
「それはチームにとっては大きなプレッシャーになるだろう。しかし、それは歓迎すべきプレッシャーだ」