ルノー、メルセデスの”スタッフ引き抜き対策”を批判「彼らは不公平だ」
メルセデスはチームから離脱したスタッフに長いガーデニング休暇を強いることで、他チームへの人材流失を防いでおり、”不公平”だとルノーが批判している。

組織の拡大に多額の投資をしているルノーは有能な人材の確保に動いているが、特にメルセデスに対して不満を抱いているようだ。なぜなら、メルセデスを離脱したスタッフは2年間他チームに合流できない、いわゆる”ガーデニング休暇”をとる契約になっているからだ。
ルノーといえば、FIAの技術代表を辞したばかりのマルチン・ブコウスキーを獲得したことで、他チームから批判を浴びている。ブコウスキーは、全F1チームの技術情報に特権的にアクセスできた人物。彼のガーデニング休暇はたった3カ月だったが、チームへの加入時期については現在FIAと話し合っているという。
ルノーのマネージングディレクターであるシリル・アビテブールは、メルセデスが2年間ものガーデニング休暇を設けるという攻撃的な契約をしていることについて、ルノーが不満を抱いているというだけではなく、各チームの競争を維持する”知識”の普及を妨げることからF1全体にとっても良くないと考えている。
彼はオースチンで行われたインフィニティとのスポンサーイベントで「レッドブルはチームの人材を守ることについてそれほど攻撃的ではない。しかし一方、メルセデスは最も攻撃的だ」と語った。
「昨年、メルセデスの経験豊富な人物と契約することができたが、彼は(メルセデスとの)契約の状況によって2019年までチームに加わることができない」
「英国は、雇用主の利益を守るために従業員を”プロテクト”することに非常に好意的な国だ。しかしそのために、我々は少し困難な時間を過ごしている。それに対処しなければならない」
「人材流出を防ぐということに関して、レッドブルは愚かではない。メルセデスがやっていることについては、そうする権利はあるものの、少々不公平だと思う」
「彼らはすでに、十分な財政的リソースを持っている。しかし彼らは今も、誰もがどこにも行くことができないように、システムでブロックしている」
「結局のところF1はスポーツであり、素晴らしいショーを見せなければならない。メルセデスのようなことをやっていれば、それは起きない」
経験豊富なスタッフがブーストに
アビテブールは、他チームの経験豊富なスタッフとの契約はチームが前進するために必要なことだと語った。なぜならチームの若手スタッフがF1のスピードに”追いつく”にはもっと時間がかかると考えているからだ。
「我々は今年、信頼性の問題を抱えた。その多くが、デザインオフィスに非常に若いデザイナーがいるという事実が原因となっていた」
「彼らは経験が少なく、設計の許容度や負荷について必ずしも実例を知っているわけではない。だから我々は苦しんだんだ」
アビテブールは、2018年までにトップレベルのチームになるという目標の達成に向けて、ルノーは順調に施設や人材を揃えていると述べた。
「我々は新たなスタッフを雇用している。とても積極的な人々だし、レッドブルから来た者も多い」
「風洞もアップグレードしたし、来年はCFD(数値流体力学)用の(PC)クラスターをアップグレードする予定だ」
「来年の中盤には、人材やリソースの規模、施設の面で我々はベストチームのレベルになれるだろう。今は、それらが適切に機能するようにすることだ」
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この記事について
シリーズ | F1 |
チーム | メルセデス , ルノーF1チーム |
執筆者 | Jonathan Noble |