レッドブル好調の裏に新燃料の貢献。フェルスタッペンも効果を重要視
フェルスタッペンは、シンガポールGPから投入された新燃料に手応えを感じており、来季はそれがさらに重要になってくると考えている。

レッドブルのマックス・フェルスタッペンが圧勝した第18戦メキシコGP。同時に、このレースは今季のチャンピオンが決まったレースでもあった。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が4位に終わったため、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の4度目の戴冠が決まったのだ。
ハミルトンはレース後、未来のチャンピオン候補であるフェルスタッペンとバトルするのが来年の楽しみだと語った。
ラスベガスで開催されたSEMAショー(米国自動車用品工業会が主催する、アフターマーケットパーツのビジネスショー)で2011年型のマシンRB7のデモランを行ったフェルスタッペンは、ハミルトンのコメントに対して”素晴らしいことだね”と答えた。
「彼はすごいドライバーであり、今年チャンピオンシップを争っていたドライバーの中では最も安定しており、最速だった。だけど僕もハミルトンと戦いたいし、来年僕たちがそうなれるように願っている」
フェルスタッペンはひとりのドライバーとして、ハミルトンと良い戦いをすることができると確信を持っているようだ。
「もちろん、そうじゃなければF1をドライブしていないだろう。誰かに敵わないと感じたら何か他のことをすると思う」
現時点で、自分はハミルトンと同じようなレベルのパフォーマンスを発揮できていると思うか訊くと、フェルスタッペンは「それに答えるのは難しい。同じクルマじゃないし、彼と同じポジションにいるわけでもない。それに、そういうことは考えないようにしているんだ。自分がやるべきことに集中するだけだ」と述べた。
今季の勝利は予想外
今季序盤からルノー製のパワーユニットに問題が頻発し、苦しいシーズンを送っていたフェルスタッペン。マレーシアで今季初勝利を挙げてからは、それまでが嘘のような好調が続いている。
「(今年)レースに勝てるなんて全く期待していなかった」と彼は語った。
「しかし燃料のアップデートが投入されたシンガポールの時点ですでに、僕たちはかなり競争力を得られたと思っているし、その傾向が続いている」
「周囲の人たちよりも早いペースで改善ができている時は、勝利を争うことができる。だけど僕は不運だったし問題が起きていたから、期待はしていなかった。だから優勝を争うことができているのは素晴らしいことだ」
メキシコでは、スタート直後のターン3でトップに立ったフェルスタッペンだが、後続のベッテルとハミルトンが接触。優勝争いから脱落したことでフェルスタッペンが独走することになったが、彼は両者の接触がなくても影響はなかったと考えている。
「ああ、全く問題はない。なぜなら、正直なところレースでは軽く流していたからだ。僕にはかなり余裕があった」
重要な役割を果たした燃料のアップデート
レッドブルは燃料と潤滑油サプライヤーとして昨季までトタルと契約を結んでいたが、今季からエクソンモービルにスイッチした。フェルスタッペンはこの新しいパートナーが、チームの素早い改善において重要な役割を果たしたと考えている。
「今年、僕たちは間違いなく大きな前進を果たした。それは、僕たちが過去3年間で成し遂げた改善よりもかなり大きなモノだった。僕はそれに非常に満足している」
第14戦シンガポールGPでエクソンモービルが投入した新しい燃料。フェルスタッペンはその効果について、次のように語った。
「パフォーマンスが向上したし、ストレートで速くなった。エンジン内部のパーツのライフ改善にも役立っている」
「もちろん、パーツがより長持ちすることは非常に大切なことだ。それに来季は3基しかエンジンが使えないから、さらに重要になってくる」
「決して小さな違いなんかではない。すべてのパーツがスムーズに動いているのを感じるんだ。それをデータでも確認することができる。僕はそれが重要だと考えている」
ホンダ製PUからルノー製へ。エクソンモービルにとっての挑戦
レッドブルは、昨年12月にエクソンモービルとの契約を発表。エクソンモービルはそれまで21年間マクラーレンと提携していたが、その関係に終止符を打つことになった。
最近、レッドブルのチーフエンジニアであるポール・モナハンはエクソンモービルの燃料及び潤滑油によって、昨年の12月と比べて”グリッド約ひとつ分”前進したと語っていた。
しかし、エクソンモービルのグローバル・モータースポーツ・テクノロジーマネージャーのデイビッド・ツルサキは、マクラーレンからレッドブル、そしてホンダ製パワーユニットからルノー製への移行は決して簡単なものではなかったとmotorsport.comに説明した。
SEMAショーでツルサキは「我々は実際、難しいスタートを切った」と述べた。
「厳しいというほどではなかったが、もっと時間があれば間違いなくさらに良いモノができたはずだ」
「しかし時間はわずかであり、その少ない時間で準備を進め、良い仕事ができた。我々の燃料担当チームやモービル1潤滑油チームは、F1に必要なものを理解するという点で非常に優れている。我々に必要とされていることは、エンジンやクルマのデザインに合わせて、我々の製品を微調整することだ」
「エンジンが変わるというのは、我々にとっても間違いなく挑戦だ」とツルサキは続けた。
「しかし我々はすでにF1の世界に身を置いていたので”良いスタート地点”に立っており、特定のエンジンに必要な最後の微調整の段階で前進を果たせたのだと思う」
「シーズン中にも燃料をアップグレードした。その投入はシンガポールからで、そこでも少し改善することができた。そして幸いにも、我々はすでに2018年に向けた取り組みを始めている」
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この記事について
シリーズ | F1 |
ドライバー | マックス フェルスタッペン |
チーム | レッドブル・ホンダ |
執筆者 | Erwin Jaeggi |