ロズベルグ、ロシアも制圧。25秒の大差で4連勝:F1ロシアGP決勝レポート
2016年のF1第4戦ロシアGP決勝レースが行われ、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグが2位ルイス・ハミルトンに25秒の大差をつける圧勝を果たした。
気温16度、路面温度41度と、予選時よりは若干暖かいコンディションで行われた決勝。見所は後方スタートのセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とハミルトンがどんなレースを見せるか、という点だ。またデグラーデーションが小さく、それを基に各チームがどんな戦略を立ててくるのかという点も気になるところだ。
ポールポジションのロスベルグが好スタートを決め、先頭のまま2コーナーへ進入していく。キミ・ライコネン(フェラーリ)も好スタートで2コーナーでバルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)のインに飛び込み、2番手に上がる。
クビアト、ベッテルに2度追突!
後方では大混乱。まずダニエル・リカルド(レッドブル)のインに飛び込んだベッテルに、ダニール・クビアト(レッドブル)が追突。ベッテルは姿勢を乱しながらも3コーナーに入っていくが、再び3コーナーでクビアトに追突され、スピン。マシンをアウト側のウォールにクラッシュさせ、ここでリタイアとなってしまう。
さらに後方では、2コーナーでニコ・ヒュルケンベルグ(フォースインディア)にエステバン・グティエレス(ハース)が追突。ヒュルケンベルグもここでレースを終えている。
これで早速セーフティカーが出動。他にも多くの接触があったようで、1周目終了時点でセルジオ・ペレス(フォースインディア)、マーカス・エリクソン(ザウバー)、ダニエル・リカルド(レッドブル)、グティエレス、クビアトがピットイン。レッドブルの2台とグティエレスはミディアムタイヤを履く。
この1周目のアクシデントの原因を作ったとして、クビアトには10秒ストップ&ゴー、グティエレスにはドライブスルーのペナルティがそれぞれ課せられている。
スタートの蹴り出しこそよくなかったルイス・ハミルトン(メルセデス)だが、1周目の混乱をうまくかわして5番手に浮上。マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソも7番手につけている。
アンダーカット&オーバーカット
4周目からレース再開。3番手のボッタスは、メインストレートでライコネンのスリップストリームに入り、2コーナーでインへ! そのままオーバーテイクを成功させて2番手に浮上する。ハミルトンもフェリペ・マッサ(ウイリアムズ)をかわして4番手に上がっている。7周目にはハミルトンはライコネンを抜いて3番手へ。これでハミルトンの前にいるのは先頭のロズベルグと、2番手ボッタスだけである。
ただ、同じパワーユニットを使いストレートスピードが伸びるボッタスをなかなか交わすことができない。この間にライコネンが接近し、ボッタス、ハミルトンとともに集団を形成することになる。この間にロズベルグは完全なるひとり旅。後続に対して約15秒の差を築いている。
レースが動いたのは16周目。ボッタスがピットインを行い、タイヤをSSからSに交換する。これに反応したのがハミルトンで、続く17周目にピットイン。ただ、ポジションの変更はなく、ボッタスの後ろでコースに戻っている。ただ、続く19周目の2コーナーでハミルトンはボッタスのインに入り前へ。遮る物がなくなったハミルトンは、1分41秒台という驚異的なラップタイムを連発し、先頭を行くチームメイト追撃体制に入る。
ライコネンは他のライバルとは戦略を変え、最初のタイヤで若干スティントを引っ張り、飛んできたハミルトンの前に出ることは叶わなかったが、ボッタスから3位の座を奪うことに成功する。
2番手に上がったハミルトンは、ファステストラップを連発してロズベルグを追う。しかし、ロズベルグはすでに遙か彼方。10秒以上前を行く。1周0.5秒ほど速く走っても、なかなか追いつくことはできない。
熾烈な入賞争い
さて8番手争いは実に熾烈を極めている。ケビン・マグヌッセン(ルノー)を先頭に、リカルド、ロマン・グロージャン(ハース)、カルロス・サインツJr.(トロロッソ)、ペレス、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、ジョリオン・パーマー(ルノー)が連なる。ペースが上がらないリカルドはピットに入ってミディアムタイヤからソフトタイヤに交換するが、その後各車が1秒程度の均等間隔を保って走行。この状態はレースの最後まで続いていきそうだ。ただ、サインツJr.には10秒加算のペナルティが出されている。
33周目、6番手を走っていたマックス・フェルスタッペン(トロロッソ)がスローダウン。マシンの後方から白煙を吹いており、どうもエンジントラブルのようだ。フェルスタッペンは2コーナーにマシンを止め、リタイアとなる。これでアロンソが6番手に上がり、今季初入賞がより現実味を帯びてきた。
再びハミルトンを襲うトラブル
先頭に目を転じると、周回遅れのマシンに詰まりペースが落ちたロズベルグに、ハミルトンが急激に迫っていく。一時15秒程度まで広がっていた差が、37周目には7秒台まで詰まってきた。ただ、ハミルトンのマシンには冷却水の圧力に関するトラブルが発生しているようで、そのケアを指示する無線がピットから飛ぶ。
これを知ったか、ロズベルグはペースを上げてファステストラップを記録。逆にハミルトンはペースを落とした。ペースを落としたことで、ハミルトンのトラブルの症状は安定したようだが、これで前を行くロズベルグを追いかけるチャンスは潰えた。
46周目にマッサがピットイン。突然の光景だったので驚いたが、後ろを行くアロンソとの差は大きく、ポジションを落とすことなく新しいタイヤを得た。
48周目、ペースの上がらないサインツJr.をバトンがオーバーテイク。バトンはこれで、見た目上も10位に浮上した。ただ、サインツJr.に引っかかってしまった際にライバルとの差は開いてしまっており、これ以上前を追うのは難しそうな状況である。
結局、ロズベルグはそのままレースを走りきり、2位ハミルトンに25秒の差をつけて優勝。開幕4連勝を果たし、今季の獲得ポイントを100とした。ハミルトンはトラブルをなんとか管理し、2位チェッカー。3位にはライコネンが入っている。ウイリアムズは4位ボッタス、5位マッサ。アロンソが今季初入賞となる6位に入り、以下マグヌッセン、グロージャン、ペレス、バトンという結果となった。
今季も強いメルセデスだが、特にここロシアでは、他のライバルを全く寄せ付けない完勝。特にロズベルグの強さが目立つ、そんな1戦だった。ハミルトンは運に見放されたとは言え、損失を最小限に留めた印象だ。逆にベッテルはツキに見放された、彼にとっては最悪の結果だったと言えるだろう。
次戦はバルセロナでのスペインGP。欧州ラウンドを本格的に迎え、勢力図はどう変わっていくのか? メルセデス勢に少しでも近づくことができるチームが現れるのだろうか?
F1ロシアGP決勝結果
Pos | Driver | Team | Time | Laps |
---|---|---|---|---|
1 | Nico Rosberg | Mercedes | 1:32:41.997 | 53 |
2 | Lewis Hamilton | Mercedes | +25.022 | 53 |
3 | Kimi Raikkonen | Ferrari | +31.998 | 53 |
4 | Valtteri Bottas | Williams | +50.217 | 53 |
5 | Felipe Massa | Williams | +1:14.427 | 53 |
6 | Fernando Alonso | McLaren | +1 lap | 52 |
7 | Kevin Magnussen | Renault F1 Team | +1 lap | 52 |
8 | Romain Grosjean | Haas F1 Team | +1 lap | 52 |
9 | Sergio Perez | Force India | +1 lap | 52 |
10 | Jenson Button | McLaren | +1 lap | 52 |
11 | Daniel Ricciardo | Red Bull Racing | +1 lap | 52 |
12 | Carlos Sainz Jr. | Toro Rosso | +1 lap | 52 |
13 | Jolyon Palmer | Renault F1 Team | +1 lap | 52 |
14 | Marcus Ericsson | Sauber | +1 lap | 52 |
15 | Daniil Kvyat | Red Bull Racing | +1 lap | 52 |
16 | Felipe Nasr | Sauber | +1 lap | 52 |
17 | Esteban Gutierrez | Haas F1 Team | +1 lap | 52 |
18 | Pascal Wehrlein | Manor Racing | +2 laps | 51 |
R | Max Verstappen | Toro Rosso | Engine | 33 |
R | Sebastian Vettel | Ferrari | Collision | 0 |
R | Rio Haryanto | Manor Racing | Collision | 0 |
R | Nico Hulkenberg | Force India | Collision | 0 |
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