小松エンジニア、F1参戦2年目のハースの内情を語る【ドライバー編】

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小松エンジニア、F1参戦2年目のハースの内情を語る【ドライバー編】
2017/08/31 9:23

F1参戦2年目のハースやドライバーについて、チーフエンジニアを務める小松礼雄氏にインタビューを行なった。

 ハースF1チーム発足初年度よりチームに在籍し、チーフエンジニアとしてチームを率いてきた小松礼雄氏。2013年よりロマン・グロージャンとタッグを組んでいる小松氏は、昨年から頻発するブレーキ問題やハースのドライバーの比較、そして今シーズンの目標などについて語った。

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ーードライバーたちはタイヤのマネジメントに苦戦しています。原因をどのように予測していますか?

「例えばバクーでは、タイヤを作動温度領域まで持っていくことができませんでした。昨年もそうでしたが、タイヤに十分な熱を入れることができなかったんです。彼ら(ピレリ)が持ち込んだタイヤやトラックの路面、グリップ、マシンのダウンフォースレベルにも関係していて、それらのコンビネーションがうまくいきませんでした。またトラックレイアウトもそうです。オーストリアにはミディアムからハイスピードコーナーがあって、ターン6、7、9、10はそういうコーナーです」

「一方バクーは全て低速コーナーで、90度コーナーもあります。曲線的なコーナーはありません。それに加えて路面はグリップが全くなく、とても汚れています。コンペティティブなトップスピードを出すためには、ダウンフォースを多く削らなければなりません。それらすべての要素を組み合わせたところ、タイヤを適切に機能させることができませんでした。それに加えてブレーキバランスも良くなかったです。バクーのようなハイスピードのストリートサーキットで、ブレーキングに自信を持てなければ、限界までプッシュすることはできません」

ーー実際ブレーキには何が起きていたのでしょう?

「トラブルの要因はひとつだけではありません。(ブレーキの)素材の性質を理解し、温度の変化などによってコントロールします。それが全てです。ですから、時にコントロールすることができますし、逆にコントロールを失ってしまうことがあります」

ーー何年もロマン・グロージャンと仕事をしていますね。時に彼がブレーキについて主張していますが、どのように反応していますか? それに影響を受けますか?

「もちろん、影響を受けます。しかし、我々もブレーキのフィーリングがロマンたちにとってとても重要な要素であることを理解しています。ケビン(・マグヌッセン)も満足していません。ロマンが望むのは、とにかくブレーキのフィーリングが良くなることです。彼のドライビングスタイルは、ブレーキからの正確なフィードバックを得ることに依存していますから」

「一方のケビンはフィーリングに関する要求をあまりしてきません。彼は今のフィーリングのままドライブすることができます。しかし、ロマンのドライビングには合わないのです。これが実際のところです。ロマンに必要なのはコーナリングで正しいフィードバックを受け取ることができるブレーキなんです」

ーーグロージャンはマシンに適応する必要があると思いますか?

「彼がマシンに適応するのは非常に難しいです。僕が思うに、彼がドライブするのに必要とする基本的なものが、ブレーキングのフィーリングなのです」

「ブレーキに問題がないときは、彼はとても速く走ることができます。しかしバクーではブレーキだけでなくタイヤにも問題がありました。バクーのようにグリップが低くなってしまうと、ブレーキの問題がさらに誇張されてしまいます」

「その一方、オーストリアではブレーキの素材を変更していなかったのですが、うまく対応することができました。その理由は、グリップレベルが高いほど、ダウンフォースレベルが高くなるからです。それがブレーキが抱える問題点を一時的にカバーしてくれていました。一方、グリップがなくなればなくなるほど、僕らが抱えている問題は大きく見えてくるのです。そのたびに彼はとても苦労しています」

ーー彼のフラストレーションを理解していますか?

「もちろんです。彼が満足できるようなマシンを与えられないことはチームにとってもストレスです。しかし、その逆も言えます。オーストリアのような条件のサーキットで苦戦するのと、別の条件でなら速く走ることができるのは同じ理由から来ているため、彼にとっても難しい局面なのです。なぜなら、彼がブレーキからの正確なフィードバックに頼っているからです。フィーリングさえ良ければ、彼はとても速く走ることができます」

ーー彼がどのようにブレーキを使っているのかを完全に理解していますか?

「そうですね。しかし、もし完全な完璧主義者であればレースする必要はないでしょうし、逆に物事が完璧でなければより苦労することでしょう」

「ケビンのことを完璧主義者ではないと言いたいのではありませんが、ケビンがドライブできている一方で、ロマンが時々そうでないことがあります。それでも彼がドライブすることができないという事実は、彼がクルマに対し何かを要求していることを意味します」

「その要求が満たされれば非常に速く走れるのですが。対照的なパターンであるため、時々難しい状況になります」

ーーマグヌッセンがチームに与えた影響は?

「良い影響がありました。彼の仕事に対する倫理感は良いと思いますし、エンジニアともうまくやれていると思います」

「彼はとても落ち着いています。初めこそ、プレッシャーを感じていたことで予選で苦戦していたと思います。しかし僕はバクーのレースで彼の中の何らかに変化があったことに気がつきました。ハースはバクーで全く競争力がありませんでした。ブレーキがうまく機能しなかったことで、かなり困難なレースとなってしまったのです。それでもケビンはFP1から素晴らしい仕事をしてくれたと思います。僕らに持てるだけの最高の成果を残してくれました。それは本当に素晴らしいことだと思います」

「その後のオーストリアでは、彼のマシンにトラブルが発生したため、チャンスがありませんでした。それでもFP1から素晴らしい成果を残してくれました。本当に素晴らしいことです。うまくいけば、バクーでのレースをきっかけに、良い方向へ向かうことができると思っています」

ーーふたりのドライバーがポイントを獲得することができていますが、どれほどの影響がありますか?

「2台のマシンでポイントを獲得することができるので、とても大きな影響があります。さらにケビンは、今や予選で戦うことができているので、かなりポジティブです。彼のレースのパフォーマンスに関しては心配していません。それに彼はレースできるということをすぐに証明してくれましたから。とても素晴らしいことです。今はほぼ大丈夫なのですが、プレッシャーがかかっている時の予選は少し心配でした。しかし、バクーではチームの最大限を振り絞って仕事してくれました」

「オーストリアではサスペンションのトラブルを抱えたのですが、彼自身のパフォーマンスは良かったです。オーストリアではケビンとロマンの間に違いはありませんでした」

ーーふたりを比較することはエンジニアとして重要なポイントですか?

「かなり重要なことです。例えばフォースインディアは、常に(セルジオ)ペレスとエステバン(オコン)がポイントを獲得しています。昨年はエステバン(グティエレス)がポイントを獲得することができなかったため、それができませんでしたが、今季は2台がポイントを獲得できるようにマネージメントしなければなりません。今季はモナコで2台がポイントを獲得してくれました。オーストリアでもその可能性があったはずです。僕たちは2台でポイント獲得を狙っていかなければなりません」

ーー今季の目標は?

「コンストラクターズランキングで6位になることが僕たちの目標ですが、とても高い目標です。今は7位に位置していますが、前にはトロロッソ、後ろにはルノーがいます。それに、状況が一気に変わってしまうことも理解しています。ですから6位になることができれば、間違いなく素晴らしいでしょう。しかし、全く叶うことのないことだとは思っていません。それが僕らの目標です」

Additional reporting by Oleg Karpov

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