日本GP決勝:ハミルトンが接戦制し優勝。ベッテルまたしてもリタイア
鈴鹿サーキットで行われた第16戦日本GPは、メルセデスのルイス・ハミルトンがファイナルラップまで及ぶ接戦を制し優勝を果たした。

F1第16戦日本GPは、ポールポジションからスタートを決めたメルセデスのルイス・ハミルトンが、ファイナルラップでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に迫られながらも優勝を果たした。
鈴鹿サーキット上空には秋晴れが広がり、気温も25度まで上昇。路面温度は42度と、週末一番のレースコンディションの中、決勝スタート時間を迎えた。
スタートシグナルがブラックアウトすると、ポールポジションのハミルトンが好スタートでトップをキープ。セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)が2番手に続いたが、ヘアピンでフェルスタッペンにかわされ3番手に後退。そのまま力なく6番手までポジションを落としていく中、1周目にカルロス・サインツJr.(トロロッソ)がセクター1でコースアウト、リタイアとなったことでセーフティカーが出動した。
後方では、1周目のスプーンでライコネンがニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)に押し出されるようにコースオフしており、フェラーリにとっては厳しい幕開けとなった。また、9番グリッドスタートだったストフェル・バンドーン(マクラーレン)も1周目の混乱で18番手まで後退した。
4周目にレースが再開した。ここでもベッテルがなすすべなく抜かれてしまう苦しい状況。スタート直前にはグリッド上でエンジンカバーを開けてマシンをチェックしていたが、走行しながら問題を解決することはできず、ベッテルはピットに戻り3戦連続で無念のリタイアとなった。のちに、スパークプラグの問題があったと発表された。
3番手のエステバン・オコン(フォースインディア)が、ダニエル・リカルド(レッドブル)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)を従えての走行。その間にトップ2は4秒以上前方に。ハミルトンはファステストを叩き出し、フェルスタッペンとの差を2秒以上に広げた。
8周目、追い上げていたライコネンがヒュルケンベルグをパスし8番手までポジションを戻したところで、バーチャルセーフティカーが出された。エリクソンがデグナー2つ目で止まりきれず、タイヤバリアに突き刺さってしまったためだ。このタイミングを利用し、バンドーンはピットストップしソフトタイヤを装着した。
バーチャルセーフティカー明けを狙っていたリカルドが、11周目のメインストレートでリカルドをパス、3番手に浮上した。翌周にはボッタスもオコンを同じようにかわしていった。
トップを走るハミルトンは15周目に入ってフェルスタッペンと4秒以上のギャップ。少しずつその差を広げていく。
17周終わりにウイリアムズのフェリペ・マッサがピットインし、ソフトタイヤにスイッチ。ここから徐々にピットストップを行うマシンが増えていった。
フェルスタッペンは21周終わりでピットイン。ソフトタイヤでコースに復帰するが、すぐ後ろから追い上げ5番手に浮上していたライコネンが迫った。戦略が違うマシンに前に出られたくないフェルスタッペンはなんとか彼を抑えた。ハミルトンはこれを見てピットへ。危なげなくフェルスタッペンの前でコースに戻った。
スーパーソフトスタート勢は26周目までに全車がピットストップを完了した。その頃には、ソフトスタートでトップを走るボッタスの後ろにハミルトンが近づく。そのすぐ背後には、フェルスタッペンがピタリとついた。
ボッタスはハミルトンに最終シケイン手前でトップを譲り、フェルスタッペンとの間に入ることに成功。ハミルトンとフェルスタッペンのギャップを3秒まで広げる仕事を遂行し、30周終わりでピットに向かった。ライコネンは、28周終わりでピットへ。オコンの前でコースに復帰し、実質の5番手を確保した。
8番手争いはマッサを先頭にハース勢、トロロッソのピエール・ガスリー、ピットストップしてスーパーソフトを履いたヒュルケンベルグの5台の争いとなった。
しかしガスリーがヘアピンでタイヤをロックさせ、フラットスポットを作ったことでピットイン。タイヤの差を活かして追い上げていたヒュルケンベルグは、リヤウイングのフラップのヒンジが外れてしまうトラブルに見舞われ無念のリタイアとなった。43周目の1コーナーでは、マグヌッセンとマッサが接触。なんとか大事故には至らず、マッサが10番手に後退した。
残り10周となり、ハミルトンはフェルスタッペンとの差を2.7秒ほどにキープ。ボッタスはスーパーソフトタイヤで徐々にペースを上げ、3番手リカルドとの差を5秒ほどから削っていく争いとなった。
47周目、ホイールが破損したか、ストロールが右フロントタイヤをバーストさせてグラベルを直進。マシンをコース脇でマシンを止めたことでバーチャルセーフティカーが出された。ぞっとするようなアクシデントだったが、場所が良かったこともあってストロールは無傷だった。
バーチャルセーフティカーが残り4周で解除。リカルドとボッタスのギャップは2秒に迫った。10番手マッサは接触によるダメージがあるのか、ペースが悪くアロンソが1秒以内に接近した。
ハミルトンはリヤタイヤからバイブレーションがあると無線で報告。これでハミルトンのペースが一気に落ち、残り2周の時点でフェルスタッペンが1秒以内に迫り、僅差のままファイナルラップに突入した。ただ、周回遅れのマッサとアロンソが絡んだことで、フェルスタッペンはハミルトンのDRS圏外に出てしまい、万事休す。ハミルトンが接戦を制しトップチェッカーを切った。
スローダウンラップでは、低速にもかかわらずバイブレーションを感じると無線で訴えたハミルトン。どうやら問題があったのはパワーユニットだったようで、パルクフェルメではよく保ってくれたとマシンをねぎらった。
リカルドはなんとか3位を死守し、鈴鹿でのベストリザルトを更新。レッドブルは2戦連続のダブル表彰台獲得となった。
4位ボッタス、5位にはライコネン。その後ろにはフォースインディア勢、ハース勢が並びそれぞれのチームがダブルポイント獲得となった。10位となったのはマッサ。アロンソはわずかに及ばず、11位となった。
これで、ハミルトンとベッテルのポイント差は59ポイントまで拡大。もしパワーユニットの交換を強いられたとしても、かなり余裕がある、圧倒的優位な状態で2週間後のアメリカGPに臨むことになる。
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