六本木で17日に開催された『Red Bull Toro Rosso Honda DAY in TOKYO』。そこには、ホンダとトロロッソの真摯な関係が見て取れた。
17日、東京・六本木ヒルズアリーナで『Red Bull Toro Rosso Honda DAY in TOKYO』が開催された。このイベントには、トロロッソ・ホンダのドライバーのピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレーのほか、チーム代表のフランツ・トスト、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長が登壇し、トークショーを行った。
屋外ステージでの入場無料イベントということもあり、会場には多くのファンが集結。用意されていた500枚の整理券は早々になくなり、最終的には2500人以上のファンがイベントに訪れた。
「コンニチワ。キテクレテアリガトウ」
会場を埋め尽くすファンを前に、トスト代表は開口一番、日本語でそう挨拶した。かつて、フォーミュラ・ニッポンに参戦していたラルフ・シューマッハーのマネージメントを担当していた彼は、日本で生活していたこともある。
「昔、日本に住んでいたことがあるし、日本の人々や文化が大好きなので、日本に戻ってこられて嬉しい」
昨年9月という、”新たな船出”には遅い時期の契約から始まったトロロッソとホンダの提携。シーズン開幕に向けて完璧な準備を整えるには時間が足りないという中でも、トロロッソ・ホンダはバルセロナテストで行われたプレシーズンテストをほぼノートラブルで過ごした。結果的に、プレシーズンテストにおけるチーム史上最多の走行距離(3827km)を走り込み、チーム別の走行距離でも3位につけた。
「良いプレシーズンを過ごした。さくらにあるホンダの研究所も良い準備をしてくれて、パフォーマンスと信頼性が向上したパワーユニット(PU)を用意してくれた。中団の争いは僅差だが、今後に向けてはポジティブだ」
トスト代表がそう語る通り、ドライバーの両名もチームの2018年用マシン、STR13からポジティブな印象を受けたようだ。シーズン開幕に向けての期待を話す彼らの表情を見るに、おそらくそれは日本ファンの前でだけのリップサービスではないはずだ。
マクラーレンとホンダの間にはコミュニケーションに問題があったと言われているが、その点でトロロッソが事前に”対策”を施していたことは、すでに報じられている通り。日本人とのコミュニケーションが円滑に進むよう、”異文化交流”のためのセミナーを行っていたのだ。これについてトスト代表は、次のように述べた。
「日本とヨーロッパでは文化が違う。だから考え方のズレが起きないように、ファクトリーで働くメンバーに日本人がどういう風な考え方をしているかを学んでもらう必要があると思ったんだ」
「例を挙げると、メールで何かを書くときに”できない”と書かないこと。日本人はすごくがっかりしてしまうからだ。それと日本人からメールが来て、”できるかもしれない”とあったら大体できないんだと理解しなさいと説明した」
「コミュニケーションをスムーズにするためにいろんなことを行ったのだが、それもすべてこれからの関係を良くしていくためだし、実際ポジティブな結果につながっている」
トロロッソとホンダの提携発表からはまだ約半年。すでに両者はお互いに真摯な関係を築けているように感じられた。
ホンダの山本雅史モータースポーツ部長も、トロロッソと共に着実に前進していくことをファンの前で誓っていた。
「昨年まで、ホンダとしても苦しいシーズンだったし、非常に悔しい思いをしました。トストさんと新たなスタートができて、本当に開幕を楽しみにしています」
「シーズンのPUは3基に制限されていますが、PUを載せ替えるタイミングで常にアップデートと信頼性を高めるという目標を立てていて、そこはトロロッソさんと協議をしながら進めています」
「ファンの皆さんの期待に応えられるように、少しずつトロロッソさんと共に前進していきたいと思います」
新たな環境を求めたホンダと、待望のワークスエンジン獲得でポテンシャルを発揮したいトロロッソ。歩調を合わせて開幕に向かって準備を進めている彼らが、どんな戦いを見せるのか注目だ。