コラム:”失敗は許されない”レッドブル・ホンダへの期待

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コラム:”失敗は許されない”レッドブル・ホンダへの期待
執筆: 赤井邦彦
2018/06/22 3:13

ついに発表されたレッドブルへのホンダPUの供給契約。勝利への期待は高まるが、”失敗”することは許されない……。

 レッドブル傘下のトロロッソにパワーユニット(PU)を供給するホンダが、2019年から本家のレッドブルにもPUを供給することになった。まずはめでたい。何がめでたいかと言えば、F1グランプリで優勝する力を持ったチームと組むことができたということで、ホンダが渇望する優勝に近づいた。マクラーレンと組んだ当初も同じような状況だったような気もするが、それは大きく違っていた。

 私もマクラーレンと組めば優勝は確実だと考えた。ドライバーは2度もタイトルを獲得しているフェルナンド・アロンソと、1回王者のジェンソン・バトンである。しかし、ドライバーがアロンソだろうが誰だろうが実は優勝などとてもおぼつかない環境だった。なぜなら、マクラーレンでは内部分裂が起き始めていた。ロン・デニスが身を引いて、マーティン・ウイットマーシュが舵を取り始めた頃からその方針に異を唱える分子が出現、チームはひとつではなくなっていたのだ。内部分裂を起こしたチームが厳しいレースに勝てるわけがない。

 内部分裂の影響はクルマ作りにも響いた。設計をリードするデザイナーは存在せず、まるで素人集団で作りあげたようなクルマになっていた。ホンダがPUを供給し始めてからも、クルマの性能は一向に上がらず、かつてのマクラーレンを知る者からすれば信じられない光景が目の前に出現するばかりだった。アロンソをしても予選ではグリッド後尾、レースではリタイアの連続。ホンダ側にもPUの性能が上がらないジレンマはあったのでマクラーレンのホンダ非難には反論しなかった。

 ホンダがマクラーレンに反論をしなかったのは、マクラーレンとの決別を決めていたからではないかと思う。確かにホンダのPUの性能がメルセデスやフェラーリと同等ではないことは明らかだったが、マクラーレンはダウンフォース不足、ドラッグ過多などのシャシーの性能不足を棚に上げて、ホンダ非難を加速させた。そうした状況を受けて、ホンダは提携3年目に至った2017年、年初からマクラーレンとの決別に向かって動いていたような気がする。当時のホンダ側責任者の長谷川祐介は何も語らなかったが。

 案の定、予想通りにホンダは2017年限りでマクラーレンと手を切り、今季からトロロッソへのPU供給を始めた。その後のことは誰もが知るところだ。バーレーンで4位に入った奇跡は奇跡として、アップダウンのレースを続けている。そして、ホンダが現状で満足していないことは誰の目にも明かで、いつかトップチームと手を結ぶのではないかと見られていた。それが、今回のレッドブルへのPU供給として形を現したということだ。

 私は、レッドブルとホンダとの提携話は、かなり前から進んでいたのではないかと思っている。それをいつ発表するかというところまで期は熟していたのではないか。では、何がこの時期での発表を後押ししたのか? 恐らくレッドブルとルノーの関係の悪化だろう。

 両者は長い間お互いを非難しあってきた。ただ、ルノーは自前チームを持ちながらも、勝てる可能性を持ったチームはレッドブルしかいなかった。ゆえに、すぐにPU供給を止めるわけにはいかなかった。レッドブルはルノーの対応に不満を抱えてはいたが、ルノーに替わるPUの入手の目処が立っていなかった。ホンダとの話し合いは行われていたが、その性能には不安もあって一歩前に進めなかった。

 しかし、今年になってルノーはマクラーレンにPU供給を始め、そこに可能性を見つけたことにより、レッドブルとの関係を見直そうとした。そしてレッドブルに来期の方針を早く決めるように促した。そして、レッドブルの対応次第では、一方的に供給停止の発表を行おうとさえ考えていたふしがある。そのことに気づいたレッドブルとホンダは、ルノーが動く前に2019年から2年間の提携を発表したのではないか。これが私の推測だ。

 レッドブルが全面的にホンダを信頼しきっているかといえば、ルノーの動きがなければこの時期での発表はなかったかもしれないという点、そして2年契約という短期契約が彼らの慎重さを表しているともとれる。

 ホンダとすれば、優勝の可能性を持つトップチームであるレッドブルとの提携は願ってもいない朗報だ。ただし、失敗は許されない。それだけプレッシャーは大きいが、マクラーレンで学んだ失敗を反省することが出来るなら、2年を超えて長期契約が実現し、タイトル獲得への道も見えてくるはずである。期待して良いのではないか。

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この記事について

シリーズ F1
チーム レッドブル
執筆者 赤井邦彦
記事タイプ 速報ニュース