フェラーリ、新車『F1-75』に革新的”分割”ノーズを採用。デザイン変更&コスト削減に効果アリ
2022年仕様のニューマシンF1-75を発表したフェラーリ。非常に細いノーズが印象的だが、このノーズはF1では初となる分割式ノーズとなっており、開発スピードを早め、さらにコストを削減するという面で大きな効果を生みそうだ。
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
フェラーリは、2022年用F1マシン『F1-75』を2月17日(木)にオンラインで発表した。赤と黒に塗り分けられたカラーリング、四角くきついアンダーカットが入ったサイドポンツーンなど、随所に目を引く部分のある1台となっている。
注目すべきポイントのひとつは、非常に細くなったノーズであろう。ただこのノーズはただ細いだけではなく、F1ではおそらく初めての、分割式”モジュラー”ノーズとも言えるソリューションである。
通常のF1マシンは、ノーズはひとつのパーツとして構成されている。しかしF1-75のノーズは前後に2分割されており、それぞれが別々にデザインされた。
Ferrari F1-75 front wing detail
Photo by: Giorgio Piola
上のイラストの赤く塗られた部分は、FIAのクラッシュテストに合格しホモロゲーションを受けた部分である。ただその前方の黄色で塗られた部分は全くの別パーツとなっていて、ノーズから取り外すことができる。
ホモロゲーションを受けた部分と先端部分を分割することは、今後の開発においては非常に優位であると言える。通常のノーズは、新たなデザインを登場させる度にFIAのクラッシュテストを通過しなければならない。しかしホモロゲーションを受けたパーツはそのまま使い続け、それとは関係ない先端のデザインだけを変えるならば、その都度クラッシュテストを受けなくても済む。つまり費用面でも、時間的な面でも大きなメリットを生むというわけだ。
特に今シーズンは、レギュレーションが大変更された1年目。シーズンを通して、各チームは可能な限り開発や修正を加えたいところだ。フェラーリが考えたソリューションは、アップグレードにはるかに迅速に対応できるということを意味する。実にクレバーな方法だと言えよう。
さらにフェラーリのようなトップチームは、予算上限に抵触しないようにするため、厳しくコストを削らなければならない。この面でも、分割式”モジュール”ノーズは大いに貢献。浮いたコストを、他のコンポーネントの開発に振り分けることができよう。
またレース中などにダメージを負った際にも短い部分だけを交換すればいいので、作業時間の短縮に繋がることになり、ロスタイムを削減することができる。
トップへの返り咲きを目指すフェラーリ。新シーズンに向け、実に面白いことを考えてきたモノだ。
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