【2017年F1ニューマシン技術解説】ルノーR.S. 17

ワークス参戦2年目を迎えるルノーF1。昨年は準備期間の不足により、満足いくマシンを生み出せなかった。しかし今年は……R.S.17を解説する。

 昨年、ワークスチームとしてF1に復帰したルノー。それまでF1を戦っていたロータスが財政難に陥ったため、そのチームを引き継いだ格好だった。

 買収が完了した後、ルノーはチームの脆弱な箇所に素早く対処した。しかしこの作業は、相当の時間と忍耐を要する仕事だった。とはいえ、今季は多数のスタッフが新たに加わった上、ニコ・ヒュルケンベルグという優れた才能を持つドライバーが加入。その作業が加速することになるだろう。

 昨年のマシンR.S.16は、チームがメルセデスのパワーユニットを使うのか、それともルノーのパワーユニットを使うのか、不確定なまま開発が進められたものであった。そのため、ひとつのパワーユニットに最適化されることがなく、苦しむ要因となった。シャシー内でパワーユニット本体、そして補機類をどのように配置するのか、その影響を考慮すれば、使うパワーユニットを決められぬまま開発されたマシンは、理想からはほど遠いのだ。

 一方、今年のR.S.17は、ワークスチームとしてシャシーとパワーユニットの双方を手がけるルノーのメリットを最大限に活かさねばならない。これら両方の開発チームが協力することで、ワークスチームならではのメリットを享受することができるのだ。

 公開されたR.S.17には、今季からの新しいレギュレーションに合わせてつくられた箇所を多数見ることができる。一部には昨年のままのように見える部分もあるが、テストまでには変更されるだろう。

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: Renault F1

ノーズ

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: Renault F1

 R.S.17のノーズは、前身であるR.S.16のモノを踏襲し、先端に突起が付けられている。この処理は、ノーズの先端の断面積を最大限にすることで、フロントウイング中央の平坦部分を相互作用し、より多くの気流をノーズ下に取り入れるものだと考えられる。

 ノーズからフロントウイングを吊り下げているステー(2)は、前後に長く伸びている。これは、R.S.17で最も目立つ処理のひとつだろう。この長いステーは、フロントウイングの中央部分を通った、乱れの少ない気流を、マシンのフロア下に導くためのガイドの役割を果たしているだろう。

 またコクピット前には、Sダクトの気流排出用の開口部(4)が空いている。これは、ノーズ下の(3)の開口部から取り入れた気流を(4)で排出し、モノコック前方のRが変わる部分での気流の剥離を抑えるための処理だ。

 この排気口は、モノコックの前端部を形成する化粧パネルによって形作られている。つまりこれは、この化粧パネルの形状を変えることで、その内部を様々いじることができるように立っているということも、遠回しに示している。つまり、このオフシーズンの間に話題となった、”アクティブサスペンション”のようなデバイスの脱着を、当初から考えた設計だと言うことができよう。

バージボード

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: Renault F1

 実はこのバージボードが、2017年のレギュレーション改革の目玉のひとつであると言える。これは、2009年以降のF1で使われてきたどんなバージボードより、巨大なモノとなっている。

 マシンを横から見ると、大きな四角いパーツ(5)が、マシンサイドに取り付けられているように見える。しかし前方から見ると、その印象がまるで違う。バージボードは、マシンの床下に始まり、大きく外方向に湾曲し、再び地面と垂直になって立ち上がっている。当該箇所のシャシー/ボディの形状に応じて、細かな空力処理をしている証拠だろう。

フロア&サイドポッド

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: XPB Images

 R.S.17で興味深い点は、サイドポッドとフロアの形状であろう。特にフロアは前方まで大きく伸び、バージボード(6)と繋がっている。

 フロア下をどのように気流が流れ、そしてディフューザーに流れ込んでいるのか、またサイドポッド周りの気流がマシン後方にどう流れているのか……ルノーは間違いなくこの点に注目し、その効果を最大限活用することを狙っている。これは、メルセデスやレッドブル、そしてフェラーリなどの上位チームが行っている処理を目指している可能性がある。

 サイドポッドの幅は、新レギュレーションで許されている最大限まで広げられている。これにより空力面に影響が及ぶのは必至だが、内包する冷却系システムや電子機器の配置の自由度が増すというメリットがあるはずだ。

 サイドポッドには空力効率を高めるための多数の空力装置(9)が付けられているが、これらはすべてサイドポッド上面を流れる気流を整えるものだ。

 Z型をした複雑な形状のウイングレット(8)は、サイドポッドとフロアをつないでおり、ブーメラン型の整流板(7)の前方で気流を囲い込むようになっている。またウイングレットには、3本のスリットが開けられている。これは、この部分の複雑な気流変化を示した結果だと言えるだろう。

エアボックス&ロールフープ構造 

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: Renault F1

 エアボックスは巨大に見えるが、実は限りなくコンパクトにすることが目指され、マシン後方の気流への影響を最小限に制限している。内部は4つのセクションの分割されていて、複雑な配分によってエンジンはもちろん、各種の冷却装置に新鮮な空気を送っている。

 注目すべきはエアボックス下(10)の形状だ。前方からでは判りにくいが、斜め前方から見ると、この部分でも後方へ向けた気流への影響を減らそうという努力を見てとることができる。この斬新なデザインは、チームにとって間違いなく重要なことなのだろう。

シャークフィン&リヤウイング

Renault Sport F1 Team RS17 detail
Renault Sport F1 Team RS17 detail

Photo by: Renault F1

 ルノーR.S.17にも、他チームが発表したマシンと同様、シャークフィンが取り付けられている。これは、150mm高さが引き下げられた、リヤウイングを有効に活用するための処理だ。

 また、リヤウイングを支えるために、エンジンカウル後方にはピラーが存在(11)。これはエキゾーストパイプと交差するため、その排気ガスをコントロールするデバイスという意味合いも込められている。

 このピラーには、DRS作動用のアクチュエーターが仕込まれていて、そのフックがリヤウイングメインプレーン上に取り付けられている。リヤウイング中心部はこの影響を受け、ダウンフォース発生を妨げることのないよう、丁寧な処理がなされている。

 リヤウイング翼端板の形状はかなり複雑だ。上方前端には、4つの切り欠きが存在。これは、ここ数年のF1のトレンドと言っていいだろう。また、翼端板の下部はレギュレーションに従って内側に狭められているとともに、外側には気流を上方に引き上げるためのガーニー状のフィンが存在。ディフューザーが跳ね上げる気流と対応させているようだ。

【関連ニュース】

【F1】ギャラリー:ルノーR.S.17全ディテール

【F1】新PUに自信のルノー「攻めなければ、F1にいる意味はない」

【F1】ルノーPUチーフ「2017年PUは、昨年とは95%違っている」

【F1】フォースインディア、2017年型マシンVJM10を発表

【2017年F1ニューマシン技術解説】ウイリアムズFW40

【2017年F1ニューマシン技術解説】ザウバーC36

コメント
コメントを書く
この記事について
シリーズ F1
チーム ルノーF1チーム
記事タイプ 分析