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タイトル争いには破れたが、方向性は間違っていなかった? フェラーリSF90開発記

シーズン開幕前のテストで速さを見せたのは、フェラーリだった。しかし、シーズンが始まると失速。タイトル争いでもメルセデスに敵わず、レッドブル・ホンダにも脅かされるシーンが多々あった。そのフェラーリSF90の開発を振り返る。

Ferrari SF90, front wing comparsion

写真:: Giorgio Piola

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 シーズン開幕前にスペインのカタルニア・サーキットで行われたプレシーズンテストで最速を誇ったのはフェラーリだった。2014年以来、強さを誇り続けてきたメルセデスの牙城がついに崩れるのか……そんな風潮が高まった。

 しかしシーズンが開幕してみれば、フェラーリは強さを発揮できず、メルセデスに開幕8連勝を許してしまったばかりか、チームが初めて勝利を手にしたのは、夏休み明け後のベルギーGPだった。一体何が間違っていたのだろうか?

 とはいえ、シーズン前半にも勝利まであと一歩というところまで迫るシーンもあった。バーレーンではシャルル・ルクレールが速さを見せたが、パワーユニットの問題により失速。カナダでもセバスチャン・ベッテルがルイス・ハミルトンを追い詰めたが、痛恨のコースオフによりペナルティを受け、勝ちを逃してしまった。

 フェラーリが強さを発揮したのは、この他にオーストリアやスパ、そしてモンツァなど。つまり、ピークパワーが重視されるコースだ。フェラーリは特にシーズン前半、ダウンフォース不足に苦しめられていたのだった。

 なおその反面、パワー面は圧倒的であり、シーズン後半にはライバルたちから懐疑的な目が向けられた。その結果、ライバルチームたちがFIAに技術的な明確化を求める事態へと発展。それが影響したかどうかは定かではないが、パフォーマンスを落とすことになった。

 なおダウンフォースが重要なシンガポールでは、ベッテルが勝利を収めている。これは、フェラーリがシーズンを通じて行ったパッケージの改善が正しかったことを示している。しかし時すでに遅し。その時点でメルセデスとの差は、あまりにも大きかった。

(※イラスト左右の矢印をクリックすると、別のイラストをご覧いただけます)

フェラーリSF90サイドディテール
フェラーリはサイドポッドの前に空力パーツを配置し、その効率を高めようとした。2019年に向けてはレギュレーションの変更が行われたが、このエリアにはあまり影響を受けずに済んだ。逆を言えば、そのソリューションにより享受できるメリットは、それほど大きくない可能性もあるということだ。
なおこのエリアには、冷却用の開口部も多く設けられている。コクピットの横にはスリットが開けられ、熱を帯びた気流が青い矢印の方向に流れている。また、ハロのコクピット後方の付け根部分にも開口部が設けられ、冷却に活用されることが多かった。
フェラーリSF90のフロアとリヤサスペンション
フェラーリはアメリカGPで、リヤタイヤ直前のフロア端に、フィンを立ててきた。これは、リヤタイヤ前方の気流を整え、ここで作られる乱流によるマシンへの悪影響を減らすのに役立つはずだ。
フェラーリSF90のDRS
フェラーリは他のいくつかのチームと同様に、DRSのポッドの後端に、フラップのストッパー的役割を持たせた。これによりDRSを作動させた際にリヤウイングが安定し、フラップが過度に開きすぎるのを防ぐ。
フェラーリSF90のフロントブレーキの比較
フェラーリは長年にわたり、ホイール中心から気流を吹き出し、周辺の空力効率を改善させる”ブローアクスル”と呼ばれるソリューションを使ってきた(◯内のイラスト)。しかしこれは2019年からは禁止。とはいえ同様の効果を確保するため、ホイールリムの内側を通るよう気流の流路を拡大させた。
フェラーリSF90のフロントウイング翼端板
フェラーリはスペインGPに向け、フロントウイングの改良を行なった。このイラストは、その際に投入された翼端板。エントプレートの角度を変更し、外側に向けて若干倒れるような形状にした。またフットプレート(翼端板下の地面と水平の部分)の後端は、小さなガーニーフラップのような形状になっている。この他にも、この部分にはシーズン中複数回の改良が行われた。
フェラーリSF90リヤウイング翼端板
オーストリアGPにフェラーリが投入したリヤウイング翼端板。複数のストレーキ(上向きに取り付けられている筋状のモノ)がつけられ、ウイング全体のパフォーマンスを改善しようとした。
フェラーリSF90のノーズ
フェラーリはオーストリアGPに、ターニングベインを変更したノーズを持ち込んだ。ウイングステーには立て方向のストレーキが入れられ、周囲の気流を改善している。またノーズ後端のベーンの後方部分は、モノコック側まで張り出す形になった。
フェラーリSF90のバージボード
チームはハンガリーGPに、ダウンフォース不足を補うための改良版のバージボードを持ち込んだ。
フェラーリSF90のフロントウイング
パワーに優れ、最高速でライバルを圧倒した2019年のフェラーリ。しかしそれでも満足せず、超高速のモンツァには、最も上部のフラップを非常に薄いモノにしてきた。
フェラーリSF90のフロントウイング
ダウンフォース不足に苦しんだフェラーリは、これを解決するため、シンガポールGPに新しいノーズのソリューションを投入した。これには、2019年シーズンに流行したケープの考え方が含まれている。
フェラーリSF90ウェイストゲートパイプ
ウェイストゲートパイプとは、ターボ内の余剰な排気ガスを排出するためのパイプだ。フェラーリは2020年に向けて、このウェイストゲートパイプを2本に分岐させたモノを最終戦で試した(イラスト左。右は通常仕様)。これは、レッドブルはシーズン後半で使ったデザインにかなり似ている。
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