F1 イギリスGP

乱戦を戦い抜く天才ランス・ストロール。僅か4周だけ履いたソフトタイヤが、好結果を生む「デグラデーションは大きかったけど、結果は良かった」

F1イギリスGPで7位になったアストンマーティンのランス・ストロールは、好結果を手にしつつも、デグラデーションが大きすぎたと訴えた。

田中 健一 Michael Banovsky

公開日時: 2025/07/10 3:33

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Lance Stroll, Aston Martin Racing

Lance Stroll, Aston Martin Racing

写真:: Zak Mauger / LAT Images via Getty Images

 アストンマーティンのランス・ストロールは、F1イギリスGPの決勝レース序盤にソフトタイヤに履き替える戦略を成功させ、17番グリッドからスタートしながら7位でフィニッシュした。この結果についてストロールは満足しているものの、タイヤのデグラデーション(性能劣化)が大きかったと、嘆いてもみせた。

 ストロールは予選ではうまくいかず、17番手。Q1敗退となった。しかし決勝レースはウエットコンディション。ただ既に雨が上がっているという難しい状況でスタート時刻を迎えた。

 各車ともフォーメーションラップにインターミディエイトタイヤを履いてスタートしたものの、すぐに完全なドライコンディションになると読んだ数台のマシンが、スターティンググリッドに並ばずにピットへ向かい、いきなりドライタイヤに履き替えた。

 アストンマーティン勢は、このタイミングではまだドライタイヤを履くには路面が濡れすぎていると判断し、スターティンググリッドにマシンを並べた。この戦略は成功だった。ドライタイヤを履いてピットから飛び出した各車のペースは優れず、インターミディエイトタイヤを履いたままのマシンに大きく後れを取った。

 そんな中ストロールは6周目にピットインし、ドライタイヤに履き替えた。結果的にこれが大成功。当時はすでにドライタイヤに適した路面コンディションであり、インターミディエイトタイヤを履くマシンよりも速く走り、順位を上げた。その後再び雨が降ったが、スタートからインターミディエイトタイヤを履き続けていたドライバーたちのタイヤも既に消耗し切っており、ピットイン。ストロールも再びインターミディエイトタイヤに履き替えたが、全車が交換を終えた時には3番手に上がっていた。

 2020年のサヒールGP以来となる表彰台への期待も高まったが、ペースを保つのは難しく、ニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)やルイス・ハミルトン(フェラーリ)にポジションを奪われ、結局7位でのフィニッシュとなった。

「結果は良かったと思うよ。でも、タイヤのデグラデーションがかなり大きかった。そのデグラデーションに対処することができなかったんだ」

 ストロールはレース後にそう語った。

「最後のスティントだけじゃなく、インターミディエイトタイヤでもデグラデーションが酷かったんだ。正直に言って、今回のデグラデーションのことを考えると、これ以上良い結果は出せなかったと思う」

「ソフトタイヤは、完全にグレイニング(ささくれるようになってしまう摩耗)が起きていたから、終盤は辛うじてコース上に留まることができたというだけだった」

「インターミディエイトでは、レース中にザウバーに比べて20秒もタイムを失ってしまった。やっぱりデグラデーションが大きかったからだ。だから、こういう日に戦うのは大変だろうね」

「とはいえ、良い結果を手にできたし、戦略もうまくいった。よかったと思うよ」

 結果的に6周目にソフトタイヤを投入したことが、好結果を掴む最大の要因となったわけだが、非常に素晴らしい判断だったと、チーム代表のアンディ・コーウェルも自賛する。

「ソフトタイヤに切り替えるという決断、そしてそれに向けての思考プロセスは、とても明確だった」

 コーウェル代表はそう語る。

「天候が変化しているのが見えたし、路面が乾き始めているのも見えていた。だから、もう少し早めに判断するところだった」

「でも、レーススタート前にタイヤを交換したドライバーたちは、結局はうまくいかなかった。ランスがタイヤを交換したタイミングは、おそらく正しかっただろう。そう思っているチームは、数多くいるはずだ」

 フォーメーションラップを終えた時点でピットに入ろうか……そういう誘惑に駆られることはなかったのかと尋ねられたコーウェル代表は、次のように言う。

「先頭集団と、ドライタイヤに交換した集団の差を見ると、それがどんどん広がっていくのがわかった」

「だから戦略家とタイヤエンジニアによる、明確で的確な判断だった」

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