ハートレー「F1とWECのマシンに、大きな違いがあるとは思わない」

今季トロロッソ・ホンダのドライバーとしてF1フル参戦デビューを果たしたブレンドン・ハートレーに、WECとF1の違いなどを訊いた。

 昨年のアメリカGPでF1デビューを果たしたブレンドン・ハートレー。今季もトロロッソに在籍し、しかもホンダ製パワーユニットを搭載しているとあって、大きく注目を集めている。

 ハートレーはF1参戦前にはスポーツカーレースで大活躍。2015年と2017年にはポルシェ・チームの一員としてWEC(世界耐久選手権)の王者に輝き、うち2017年にはル・マン24時間レースも制している。

 そのハートレーに、F1マシンとWECマシンの違いについて訊くと、ドライビングスタイルの違いを次のように説明してくれた。

「それほど大きな違いがあるとは思わない。WECとF1の一番大きな違いは、使用燃料量に制限があることぐらいだ」

「もっとも大きく異なる点は、トラフィックのマネージメント、つまり遅いクルマをいかに巧みにかわして速く走るかという点なんだ。WECではそこにエネルギーの使い方が密接に関わってきて、どこで燃料をセーブしながら前車を抜くか、パワーをいつかけるか、いつブレーキを掛けてエネルギーを溜めるか……そういった細かい作業が要求される。F1ではその中のいくつかの作業は不要だが、基本的な運転は同じだと思う」

 ただタイヤについては、違いも感じているようだ。

「WECはミシュラン、F1はピレリ。特にF1のピレリタイヤは予選、決勝と異なったコンパウンドを使い、スイートスポットが非常に狭い。だからドライバーは、タイヤから最高の性能を引き出そうとかなり神経質になる」

 ハートレーは今季開幕戦オーストラリアGPのスタート直後に、派手なロックアップをするシーンがあった。これによりタイヤにはフラットスポットができ、すぐさまピットインしなければならず、レースを棒に振る形となったしまった。この”ミス”についてハートレーは、次のように説明した。

「ははは、やっちまった。(F1のタイヤは)すごく簡単にフラットスポットができる。LMP1ではフロントタイヤをモーターが駆動する4輪駆動なので、F1の様にロックすることは殆どない。だから、ドライバーからすればF1はより神経質にならざるを得ない」

 またハートレーは、自分が好きなクルマの”傾向”について、次のように語った。

「ドライビングスタイルを分析するのは難しい。毎週末違ったコースで運転するわけで、僕は自分の感覚に正直に運転している。エンジニアは基本的に安定した走りをするクルマを作りたがるが、僕は僕の感性にしたがって運転している。結局は速いクルマが好きなわけで、結果的に良いタイムが出ればそのクルマは良いクルマということになり、ドライバーも幸せというわけだ」

 つまり、ドライバーはある程度マシンに合わせる必要があると、ハートレーは感じているようだ。

「そうだね。F1でも妥協が必要だろう。WECでは3人のドライバーで1台のクルマをシェアするので、そこには明らかに妥協が要求されるが、自分をカスタマイズすることはどんな仕事でも必要だと思う」

 WECの方が、長い時間継続してマシンに乗ることを強いられることがある。しかしながら体力的には、F1マシンの方が厳しいと、ハートレーは言う。

「クルマの中にいる時間は僕は全然苦にならない。でも体力的なことを言うと、F1の方がWECよりはきつい。加減速などは直接的にドライバーの身体に影響を与えるので、首とか鍛えておかなくてはいけない」

「そのためにジムに行ったりしている。シーズンオフは自転車で走っていたが、シーズンが始まるとそれほど時間が取れない。しかし、さっきも言ったけど首とか体幹を鍛えなくてはいけない。クルマに乗るのが一番良いのだが、そうもいかない」

 身体には厳しいとはいえ、エンジンの差はそれほど感じないとハートレーは言う。

「あまり感じない。出力もほとんど同じで、違う点といえばその出力全てを後輪で使うのがF1、4輪全部で使うのがWECのLMP1。LMP1は4輪駆動だから」

「F1は全てのトラクションが後輪に行くので、それをいかに上手く使うかということに尽きる。そして、ブレーキングの時にフロントが十分なグリップを得られるようにセッティングしていないと、続くコーナーを上手く回れない」

「F1エンジンもターボ、電気と非常に複雑だけど、ドライバーとしてはあまりそういうことは考えない。セッティングはエンジニアがやってくれ、我々ドライバーはとにかく速く走ることだけを考える。そういう意味ではWECのパワーユニットもF1のそれも違いはない。僕もピエール(ガスリー)もドライバビリティなどに関しては意見は言うけど、全面的に技術者を信じている。僕らはスピードが欲しいだけ。それが普通だと思う」

 なお今季第2戦バーレーンGPでは、チームメイトのガスリーが4位入賞を果たす健闘を見せた。しかしハートレーはまだ無得点。これについて「嫉妬しないか?」と尋ねると、次のような回答があった。

「嫉妬はしないけど、自分の成績を彼と比べると残念だ」

「(バーレンGPでは)最初から無線が聞こえなかった。そのためにフォーメーションラップにやらなきゃいけないことの半分も出来なかった。タイヤ温度もギヤの温度も分からず、準備が出来なかった。でも、そのままグリッドに着いてスタートを待った。これまで無線なしでレースしたことがないので戸惑ったんだ」

 今季のトロロッソ・ホンダは、昨年後半にF1デビューを果たした”若手”ドライバーのコンビである。フレッシュというメリットはあるものの、一方で”経験不足”という懸念もある。これについて問うと、ハートレーは次のように語った。

「そうかもね。でも、僕はもう若くないよ。28歳だ。それなりのレース経験もある」

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この記事について
シリーズ F1
イベント名 中国GP
サーキット 上海国際サーキット
ドライバー ブレンドン ハートレー
チーム トロロッソ
記事タイプ インタビュー