ハース小松礼雄インタビュー「今年は昨年とは違う。中団トップが目標」

ハースF1チームのチーフエンジニアを務める小松礼雄氏に、今季の戦いについて訊いた。

 先日、早くも第3戦が終了した今年のF1。昨年と比較して特に大きな飛躍を遂げているのが、ハースF1チームである。彼らは開幕戦オーストラリアGPでレース中一時4-5位を走り(残念ながらタイヤ交換のトラブルにより2台共にリタイア)、第2戦バーレーンGPでもケビン・マグヌッセンが5位に入るなど、トップ3チームに次ぐポジションを着々と固めつつある。

 そのハースのチーフエンジニアを務めるのは、小松礼雄である。小松はチームが新設された2016年からハースに在籍し、重要な役割を担ってきた。

 その小松に、今シーズンのチームについて、話を訊いた。

ーー今年は大幅な進歩が感じられます。クルマが良くなったのですか、それともチームが経験を積んできたのですか?

「両方だと思います。クルマの基本性能が上がったことは確実ですが、シーズン前の準備が去年と比べものにならないほど上手くいきました」

「もちろん去年から引き継いだものもあります。エンジニアの強化を図りましたが、中心になるレース・エンジニア、パフォーマンス・エンジニア、コントロール・エンジニアは2016年のチーム設立時から変わっていません。だから、お互いを理解しています」

「シミュレーターもやっていますが、昨年と比べて準備に時間をかけたので、より価値のある情報が得られています。クルマの空力などハードウエアの部分も昨年と同じ時期と比べるとかなり進化していると思います」

ーーシーズン前のテストはいかがでしたか?

「バルセロナのテスト前の時点でエンジニアのグループは万全の準備が出来ていたみたいです。テストを走ってみると、予想通りにクルマは良くなっていました。信頼性の問題が少し出ましたがすぐに解決できましたし、バランスの問題、タイヤの選択などにおいてクルマの性能を100%引き出すことが出来ました」

「どの時点でもどこのサーキットでも最大限の力を絞りだそうとしています。クルマが良くなったのはその結果でもあります。良い例が昨年のオーストリアです。そこでもトップ3チームに次ぐ速さを発揮しました。今年はクルマが良いことは確認出来たので、どこに行っても中段のトップを走ることが出来ると思います。今年はメルボルンでそれを証明し、バーレーンでは苦戦しましたがそれでも予選7番手、決勝5位でした。これは我々に力が付いてきた証拠だと思っています」

ーー昨年はアップダウンの繰り返しでした。

「良いクルマがあればコンスタントな成績が得られます。今年のクルマは良いと確信していますので、よりコンスタントな成績が得られると期待しています。これから先、ダウンフォース量が中ぐらいのバクー、ダウンフォース最大値のバルセロナと続きます。そこまで終われば我々がどれだけ進歩したか確認出来ます」

ーーあなたのアイデアがチームでは活きていますか?

「僕だけではなく、多くの仲間のアイデアが生きています。ひとりではなくグループで話し合いをし、共に成長しているのは良いことだと思います。素晴らしいことで、楽しいですね。それもチーム誕生時から同じ顔ぶれですから。信頼性担当のエンジニアとストラテジストが加わっただけです。あ、それからタイヤ担当のエンジニアが加わりました。我々がこれまで苦戦していた部分がタイヤでしたから。その他は2年半一緒です」

ーーギュンター・シュタイナーがタイヤ関係の強化を図ったと言っています。

「はい、元ブリヂストンのエンジニアが加わりました。タイヤのデータは非常に複雑なので、そのデータから何が読み取れるのか理解出来る経験者が欲しかったのです。我々のところに来てくれたエンジニアは、タイヤの設計をしていたことのある大変に経験が豊富な人です。彼の加入でタイヤに関しては任せられるので、我々はそれぞれの担当個所に集中できることになりました。以前は私も含め、レース・エンジニア、性能担当エンジニアがすべてを見ていました。専門のエンジニアがいるとそれぞれが専門分野に集中できます」

ーードライバーはふたりとも経験を積んできました。

「”継続は力なり”です。グロージャンは初年度から一緒ですし、マグヌッセンは2年目。マグヌッセンは予選が苦手だったのですが、今年は良くなりました。グロージャンとマグヌッセンのスタイルは違いますが、お互いにプッシュし合って良い関係です」

ーーグロージャンはメカニックを讃えています。

「大切なことです。メルボルンは最悪でした。4位、5位を走っていたのですが、ピットストップで台無しになりました。レッドブルの1台は捕らえられていたと思いますが、そうはいかなかった。ピットストップのミスは全員の責任です。これがF1がチームスポーツと言われるところです。グロージャンはそのことが分かっているので、メカニックを責めたりしません」

ーーグロージャンは成長しましたか?

「私と彼とはお互いの理解が深まりました。彼はクルマを世話してくれる人たちを信頼しているし、居心地が良いと感じていると思います。リラックスしているし、落ち着いています」

ーー昨年はブレーキ問題に悩まされました。

「苦労しましたが、今年はまったく問題ありません。誰もブレーキのことを話さないし、グロージャンも指摘しません。小さなチームでこうした問題が続くとなかなか大変です。でも、今年は問題なし。最高です。グロージャンもブレーキ問題が無くなってから自信を持ってレースに臨んでいます。我々のクルマの性能向上に集中できます」

ーー昨年はクルマの開発が進みませんでした。今年は?

「昨年はクルマの開発と言えるほどのものは行いませんでした。バルセロナとオースチンでそれぞれアップグレードしただけです。でも今年は違います。シーズンを通して開発を続け、好位置につけたいと思っています」

ーートップチームに迫るのは良い気分ですか?

「トップチームは非常に速く、我々が本当に彼らと争っているとは思っていません。彼らがミスを犯すと我々の後塵を浴びることになるでしょうが、そうはならないでしょう。我々はトップ3以外のチームとの戦いに勝つことが目標です。でも、バーレーンではトロロッソにやられました。メルボルンではルノーにもやられました。(ニコ)ヒュルケンベルクのQ2は本当に速かった。彼らをやっつけるには更にステップアップが必要です」

interview by Oleg Karpov

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この記事について
シリーズ F1
チーム ハースF1チーム
記事タイプ 速報ニュース