インタビュー:フェルナンド・アロンソ「来季計画の発表は10月頃」

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インタビュー:フェルナンド・アロンソ「来季計画の発表は10月頃」
執筆: 赤井邦彦
2018/08/20 11:07

今季限りでF1を退く決断をしたフェルナンド・アロンソ。WECシルバーストン6時間レースに参戦するため、シルバーストンを訪れた彼に話を訊いた。

 今季限りでF1を退くことを発表したフェルナンド・アロンソ。将来F1に復帰する可能性は残したものの、事実上の引退と言える。

 そのアロンソは今季、F1と並行してWEC(世界耐久選手権)にもフル参戦し、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミと共にトヨタTS050 HYBRIDの8号車を走らせている。

 スパ6時間、ル・マン24時間と開幕2連勝を果たしたトヨタの8号車だが、第3戦シルバーストン6時間レースでは、トップチェッカーを受けたもののスキッドブロックに規則違反が見つかったとされ、レース結果から除外の処分を受けた。

 そのアロンソに、改めてル・マン優勝、そしてF1から退く決断をしたことなどについて訊いた。

来年ル・マンに勝てるか分からない。だから勝てて良かった……

 アロンソは以前から、世界三大レース(F1モナコGP、ル・マン24時間、インディ500)完全制覇を目指すことを公言。今年ル・マンを制したことで、二冠制覇ということになり、残りはインディ500のみだ。

 今年のル・マン優勝が持つ意味について尋ねると、アロンソは次のように語った。

「多くの意味がある。幸せだし、誇りだ。ドライバーにはル・マンのような伝統のビッグ・レースで勝ちたいという気持ちがある。だから僕はこのプロジェクトに参加して、スーパーシーズンに参戦した。そこで初めての参戦でル・マンに勝ったんだから、特別なフィーリングだし、僕の人生で特別な勝利だ」

 そうアロンソは語る。

「それから何週間か経ち、何カ月か経ち、24時間レースに勝ったということがより大きな意味を持つようになった。レース中は多くの出来事が起こると予想したが、GTカーと接触することもなく、技術的トラブルもなく、夜中にも問題なく走ることが出来た。とにかく実に多くの要素が詰まった結果としてル・マンに勝利できたことを大変誇りに思っている。将来またル・マンに勝てるかどうかなんて分からない。しかし、そのレースで一度勝てたということは特別なことに違いない」

 ル・マンやインディに参戦するアロンソの姿は、F1の時よりも楽しんでいるように見える。そのことと、F1を辞める決意をしたことにはどんな関係性があるのだろうか?

「F1とWECやインディは異なるレースの様に見える。でも、ドライバーにとって実際にはそれほど違いはない。ドライバーズミーティングを行い、レースへの準備としてピットストップの練習をし、前のレースからステアリングの内容を変更するなど、ドライバーがやることは同じだ。それに、全てのレースを楽しんでいる。F1も、インディも、WECもだ」

「F1とWECを比べることはできない。それに、僕は両方を楽しんでいる」

「ただ、F1は自分ひとりのために完璧なクルマを作ろうと、エンジニアと共にあらゆることを突き詰める。しかし、WECでは完璧なクルマを目指すのではなく、3人のドライバーが最高の状態で走ることが出来るようにクルマの状態を保つことが必要なんだ」

「例えばル・マンでは3人で何度も運転を交替するが、チームメイトを信頼することが第一。自分が運転していない時には少しリラックスすることが出来るが、それでも自分が走っているのと同じように気持ちを持っていっていなければいけない。我々はシーズン開始前から共にテストを繰り返し、同じ時間を共有し、信頼を高めている。それがあるから、仲間の誰が走っている時でも、安心していられるのだ」

「今年のル・マンのように、24時間をトラブルなしに走ることが出来たのは、恐らく初めてだと思う。結果的に我々の8号車が勝ったが、7号車が勝っても不思議ではなかった。これまでトヨタが積み重ねて来た努力の賜だと思う」

F1はスポーツ。だからもっとポジティブであってほしい

 アロンソは冒頭でも述べたように、今季限りでF1から退くものの将来復帰する可能性については排除していない。これについては、次のように説明する。

「F1への復帰の扉が開かれているというのは、おそらく今の僕は、キャリアの中でドライビングにいいて最高のレベルにあるからだ。それであれば、扉が閉ざされる理由は見当たらない。これから先何が起こるか分からないが、僕はまだ45歳にはなっていないし、まだ若い。今年はF1とWECを合わせて27レース走っているが問題はない」

「僕がF1を離れる本当の理由は、F1自体が余り大きなチャレンジが出来なくなっているからだ。F1はスポーツであり、もっとポジティブであって欲しい」

「僕はこれまでの17〜18年のドライバー人生を大いにエンジョイした。振り返ると、2001年にF1に来た時に予想していたよりはるかに大きなことが達成できた。しかし現在のF1でコース上で行われているアクションは、僕がF1に来たときに夢見ていたモノとは違う」

「僕の(今回の)発表は、過去何年かの間の哀しみ、フラストレーションによるものだ。18年間のF1ドライバー人生で勝利も上げたが、フラストレーションの塊でもあった。それは望んでいたモノではなく、まさに今の状況だ」

「私の意見としては、コース上の戦い(アクション)は非常に貧弱だ。今のF1に関して語られることはレースのことじゃなくて政治のことや下らないメッセージなど……それがやめるサインになった。それに引き換え、コース上での戦いはとても脆弱。今のF1に必要なのは戦いであったり、喜びであったり、幸福感だ」

インディカー参戦を検討中。発表は10月頃?

 三冠最後の一冠制覇を目指し、来季はインディカーにフル参戦するのではないかと言われるフェルナンド・アロンソ。これについて尋ねると、アロンソはインディ参戦を検討していることをあっさり認めた。

「ああ、考えている。2カ月後ぐらいには発表できると思う。10月頃かな。色々言われているけどね」

 昨年、すでにオーバルコースの走行は経験しているアロンソだが、ロードコースでのテストも予定されているようだ。

「まだ分からない。やると思うけど、決まるのは寸前だろう。去年のインディ500は楽しんだけど、ロードコース用のクルマはまた違うから、少し時間をかけてテストしないといけない。でも今はWECに全力投球しないとね。WECの第一の目的はル・マンに勝つことだった。でもそれは叶えられたので、次はタイトルを獲ることが目標だ。WECのスーパーシーズンは来年のル・マンまでで、3月にはセブリングもある。そのレースはF1オーストラリアGPと日程が重なっているけど、もう頭を悩ますことはない。だってもうF1は走らないのだからね」

結末が分からないインディと、結末が予測できるF1

 ここまですでに3戦を戦ったスポーツカーレース。アロンソにとっては初めての経験だが、これは大きな意味を持つことになるだろうと言う。

「僕にとって大きな可能性があると思う。これまで数戦闘ってきたが、すぐに力を発揮出来た。これまでのレースではスパで勝ち、ル・マンで勝った。トヨタは目的意識のハッキリしたチームで、プロ意識に徹しており、仕事の仕方、準備の仕方が徹底しているところは僕は大好きだ」

「WECというシリーズも開放的で、僕は1日目からそのやり方が気に入っており、誰かが誰かを幸せにしていると思う」

 アロンソが今後勝たなければいけないレース、インディ500について彼は、24時間レースのように結末が予測できないと語った。

「インディ500はまったく予測の出来ないレースで、いわば24時間レースのようだ。本当に多くの要素が詰まっており、ポールポジションのドライバーが逃げ勝つといったレースではない。最後の10周で、予選24番手のドライバーがトップに躍り出て勝つといったレースだ。ゴールまで残り50周というところでイエローフラッグが振られ、セーフティカーが出てくるギャンブルのようなレースだ」

「そうしたレースだということを認めた上で、準備してもう少しテストに時間をかけられたら良かったと思う。しかし、(2017年は)F1を走っていたので時間は限られており、午前中にシミュレーターをやり、午後にはフリープラクティスを走った。もう少しリラックスしてテストが出来ればより準備が出来たと思う」

 一方でF1は、すべてが予測できてしまうとアロンソは言う。その状況について、彼は悲観しているのだ。

「マクラーレンにいた2015年から今年まで、クルマはどんどんバージョンが新しくなったが、僕はその間1レースも勝てなかった。でも、スパやモンツァといったコースではとても予測が出来ない。小さなミスをひとつ犯しただけで、グリッドは15番手に落ちてしまう」

「でも冬のテストでバルセロナに行くと、その1日目の結果から、11月の最終戦アブダビまで何をしなければならないかが分かってしまう。非常に厳しい。僕には大きな問題ではないが、若いドライバーには本当に厳しい。次の年にチームがどれだけ良いクルマを作ってきてくれるか期待するか、あるいは他のチームからかかってくる電話を待つだけだから」

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この記事について

シリーズ F1 , IndyCar , WEC
ドライバー フェルナンド アロンソ 発売中
チーム マクラーレン 発売中 , Toyota Gazoo Racing
執筆者 赤井邦彦
記事タイプ インタビュー