F1メカ解説:大幅アップデートの効果は? マクラーレン新ノーズを解説

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F1メカ解説:大幅アップデートの効果は? マクラーレン新ノーズを解説
Gary Anderson
執筆: Gary Anderson
協力: Giorgio Piola
2018/05/18 10:36

マクラーレンはスペインGPにアップデート版のMCL33を投入した。斬新なノーズのデザインを持つこのマシンを、元F1デザイナーのゲイリー・アンダーソンが解説する。

 マクラーレンは先日行われたスペインGPに、アップデート版のMCL33を持ち込んだ。この仕様は、チームが当初開幕戦に持ち込もうとしていたパッケージだが、オフシーズンテストで多数のトラブルに見舞われたため開発が思うように進まず、欧州ラウンドの開幕戦となるカタルニア・サーキットにようやく間に合わせることができた。

 このノーズデザインは、昨年以降メルセデスが使い続けているものに、実はよく似ている。ただそれをベースに、いくつかの最適化が施されている。

 アゼルバジャンGPまでマクラーレンが使用していたノーズは、モノコックの先端と同じ太さのまま、ノーズ先端までがデザインされていた。そして、前後に非常に長いフロントウイングステーを備え、ここに開いた複数の穴からマシンの床下部に空気を導いていた。

McLaren MCL33 front wing Spanish GP
スペインGPに投入されたマクラーレンMCL33の新ノーズ(Photo by: Giorgio Piola)

 新型のノーズは途中から急激に細められている。しかしその分、両サイドにはターニングベイン(4)が取り付けられた。

 このターニングベインにより、この近辺の気流をコントロール。ノーズの側面を沿うように空気が流れ、ノーズの裏側に発生する負圧域を埋めることを狙っているようだ。

 ノーズ先端には、3つの開口部が設けられた。中央の開口部(1)は、レッドブルのマシンにも存在する開口部に酷似している。またその両側の開口部(2)は、フォースインディアやザウバーに似たものだ。

 この開口部から取り入れた気流は、ノーズ内部を通り、板状になったパーツの下に噴出すようになっている。また、吹き出し口も取り入れ部同様に三分割されている。これは、メルセデスも同様の手法を採っている。 

McLaren MCL33 front wing Spanish GP
マクラーレンMCL33の新ノーズ背面(Photo by: Giorgio Piola)

 これらはすべて、シャシー中央部分の下を流れる気流を増やすことを狙ったものである。そして、板状のパーツの後端を離れる際の気流の方向を整えている。

 この板状のパーツ(5)は、ノーズとの間を垂直方向に立てられたベイン(3)によって繋がれているが、これは乱気流や横風の影響を受けやすいかもしれない。

マクラーレン、その他のアップデート

1. モノコック下の空力パーツ

McLaren MCL33 technical detail
マクラーレンMCL33 モノコック下の空力パーツ(Photo by: Mark Sutton)

 マクラーレンはこの他にも、スペインGPに多くのアップデートを持ち込んできた。特にモノコック下の多くのフィンが変更されていて、これらのほどんとは、新しいノーズに応じたものだと考えられる。

2. ディフレクター

Stoffel Vandoorne, McLaren MCL33 with aero sensors
多くのエアロセンサーを取り付けたマクラーレンMCL33(Photo by: Mark Sutton)

 マクラーレンのデザイナーたちは、ノーズのアップデートが投入される前のバーレーンGPの段階で、この新しいディフレクターを投入し、このエリアの作業を開始していた。

 このディフレクターは大きく3分割され、一番前に位置する板は縦に長く、後方の2倍は上下の高さこそ短いものの、前後方向の幅が広くなっている。また、これら3つのディフレクターは、金属パーツで繋げられている。

3. フロア、リヤタイヤ直前エリア

McLaren MCL33 floor comparsion
マクラーレンMCL33のフロア後端部分(Photo by: Mark Sutton)

 フロアの後端、リヤタイヤ直前の部分は、空力的に非常に敏感なエリアである。近年ではこの付近に様々な処理を施し、タイヤ内側の縁で乱される気流を整え、ディフューザーの作用に悪影響を及ぼさないようにすることが目指されている。

 2017年からは周囲を完全に囲われたスリット(以前は外縁部が開いていなければならなかった)をフロアに設けることができるようになったため、各チームがこれに対するアプローチを変更してきた。昨年は多くのチームがこの領域をあまり活用しなかったが、今年は一気に流行化。毎レースのように革新的な解決策が用意されるようになった。

 マクラーレンも、つい最近改良版のフロアを投入したばかりだった(写真右上のサークル内)。にもかかわらず、スペインGPにはさらに改良が施されたフロアを持ち込んだ。

 旧バージョンにあったリヤタイヤ直前で立ち上がるフェンス状の部位は取り除かれ、代わってフロア後端のより車体中心に近い部分に、大きめの開口部が設けられている。

4. ディフューザー

McLaren MCL33 diffuser comparsion
マクラーレンMCL33のディフューザー(Photo by: Mark Sutton)
  また、ディフューザーにも変更が加えられている。中央部分は、フィン状のパーツが2枚から3枚に増加、さらにディフューザーの外縁を取り巻くガーニーフラップ状のパーツも形状が変更されている(左上サークル内は、前バージョンのディフューザー中心部)。
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この記事について

シリーズ F1
チーム マクラーレン
執筆者 Gary Anderson
記事タイプ 分析